玉響

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10/18/2023, 1:03:04 PM

空気がつん、と澄んでいる秋晴れの朝の、
なんと気持ちのよいことでしょう。
空気がきらきらと煌めいて、
なのにどこか物寂しく肌寒く感じるのは、
私があなたに会うための口実を、
探しているからでしょうか。

10/15/2023, 3:47:51 AM

高く、高く浮遊する。
地上に足をついてはいけないわ。
だって足をついてしまったら、
全部忘れてしまえるもの。

10/14/2023, 9:36:20 AM

「子供のように眠って、坊や。」
 魔女のひんやりとした手が、僕の額をゆっくりと撫で、熱を密かに吸いとっていきました。僕はもう17歳ですが、魔女の手が撫でている間は、子供の頃に戻ったようでした。
「…これは魔法でしょうか」
 うつらうつらとしながら、僕は魔女にそう問いました。魔女は笑って、こう言いました。
「いいえ、これは愛というの、坊や。」

10/11/2023, 6:22:52 AM

唐突に、前触れもなく流れる涙の理由が分かったなら、あたしたちはもっと幸せになれたかもしれない。
でもそれはきっと寂しくつまらないことだと、そう思うのは、あたしがここを漂っているせいだろうか。

10/8/2023, 5:48:58 PM

「あたしたちきっと、忘れてるの」
 深夜3時、ベランダで煙草を吸いながら、彼女は囁くような声でそう言った。
「何を?」
 僕はそう問いかける。
「浮遊すること」
 彼女は時々、不思議なことを言う。それも唐突に。僕は彼女の言葉の意味をはかりかねて、首をかしげる。そんな僕を見て、彼女は柔らかく笑った。
「…眩しいの。色々なものが。きらきらして、魅力的だから目を離せなくなるけど、ずっと見つめていたら疲れてしまう。」
「浮遊したら、そうじゃなくなるの?」
「地に足をついていたら、帰るべき場所がわからなくなるから、あたしたちは一生眠れなくなる。だから浮遊するの。帰るべき場所を思い出すために。」
「…僕にはわからない」
 そっか、と彼女は頷いた。いいの、と呟く。いいの、それでいいの。
「ねえ、もう眠ろうか」
 煙草の火を消して、彼女は僕に言った。月明かりに照らされて、長い黒髪がきらきらと光っている。
「浮遊しようか、」
 僕は、今そう言わなければならない気がした。彼女が驚いたように少し目を開いて、そして微笑んだ。
「…うん。」
 僕らは浮遊する。これは束の間の休息である。

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