「お前はどこに行ってもいじめられる」
初めて付き合った彼氏に別れたときに言われた。
それ以前もそれ以降も、
確かにどんな場所に属しても馴染めなかった。
私が「こういう人間だ」と必死にアピールしても
逆の「冷たい人間」のレッテルを貼られる。
あの人の言ったことは当たっている。
認めたくないけど、当てはまっている。
だから、今の職場でも爪弾きにされたりして
泣くことは何度でもあった。
辞めたいと思うことも無数にあった。
でも、私が必死に仕事を打ち込むことで
気を配ったり、
ホウレンソウをきちんとすることを積み重ねて
今は宝物のような人脈を得ることができた。
「自分はここにいていいんだ」
初めてそう思えることができた。
私は今の生活が幸せだと思う。
普通に笑い合える。
普通に任せられる。
普通に働けることはこういうことなんだとわかった。
今までの自分の経験に感謝して
現在やこれからの人脈という宝物を大切に
一日一日を噛み締めていこうと改めて思った。
クリスマスの夜に僕がいなくても寂しくないように
と言って彼が私にプレゼントしてくれたのは
モスグリーンのキャンドルだった。
深緑といえば私が好きな色。
なぜなら、彼がいつも身につけるモスグリーンの
星型のピアスの色だから。
あのピアスを見るたび揺れるたび
私は彼の優しさの象徴がキラキラしてるように
心が落ち着き、また前向きになれる。
引きこもりから脱出してからのほうが
たくさん思い出がある。
障害者として社会に出るために
紡いできた経験が一つの本になるくらい
たくさん思い出がある。
恩師といえる方々も
そのほか知り合った初対面の人たちも
みんなはじめは障害者という色眼鏡で見たり
よそよそしいところがあったけど
関係を深めていくうちに
「なんだ本当はこういう人なんだ」
と私の長所や短所をわかってくれた。
その経験をした後に再会した同級生は
恐る恐る話しかけてきた。
そして私を裏切り爪弾きにしたことを泣いて謝った。
それを私は笑顔でチャラにした。
本当は許せないこともあるけど
過去をチャラにできるくらい私は
強くなれたかもしれない。
その同級生は普通の幸せを手に入れていた。
でも、私と離れた後の経緯を知って泣いていた。
たくさんの思い出が重なって
今の私が形成され素知らぬ顔であの同級生と話せた。
はじめは誰だって相手がどんな人かわからない。
だけど、お互いに色眼鏡なしに関われるかどうかで
その人との未来の思い出が変わってくる。
自分自身の未来の性格も変わってくる。
そんなことをお題から今日改めて思った。
「冬になったらイルミネーションを見ようね」
そう約束した今年の夏をあの人は覚えているかな?
私はあの頃をまだ思い出にできないから
できればあの人に伝えたい。
「楽しい頃の雪が溶けても心にはまだ積もってるよ」
「絶対にお迎えに来るからね」
その一言を言った時の母の顔は脳面のようだった。
「本当のお迎えなんてないんだろう」
そのとき私は幼心にそう思った。
これからこの施設という学校のような場所で
どんな暮らしをするのか不安しかなかった。
母とはなればなれになって半年が経った。
今でも思う。
母はこれからもずっと迎えなんかに来ない。
今だから思う。
私はこれからもずっと新しい友達と遊べる。
母とはなればなれになったけど
同じ境遇を経てる友達だからこそ
分かり合えるものがあって
母の心はずっと想像もできないんだ。