一人の少年が、墓の前で手を合わす。
感謝や報告を心の中で済ませ、穏やかな顔で墓を見つめる。
遠くから、自身の名を呼ぶ声が聞こえる。
そちらの方を振り向き、親友達の顔を見た後、また墓に視線を移す。
別れのように、軽くお辞儀をし、親友達の元へ向かう。
空には、ハッピーエンドのような、秋晴れが広がっていた。
お題『秋晴れ』
綺麗さっぱり忘れたかった
僕が皆を殺したあの日を
皆を見殺しにしたあの日を
最後に彼女と目が合ったあの日を
助けようと手を伸ばしたあの日を
彼女の体がバラバラにになったあの日を
残ったのは残骸と死体のみだったあの日を
一人だけ残してしまったあの日を
裏切るきっかけになったあの日を
忘れたい
お題『忘れたくても忘れられない』
何も見えない視界の中、近くからくぐもった声が聞こえる。
何を言っているか、良く聞き取れない。
どうやら、男女が話し合っているようだ。
ふと、真上から何かが開く機械音が聞こえた。
自身の周りの水が無くなっていく
どうやら、私はカプセルのような物に入っていたようだ。
カプセルが開き、やわらかな光が差し込んでくる。
目の前に居る、白衣姿の男性が私に話しかけてくる。
「$%=なんだな!?本当に!」
上手く名前が聞き取れず、首を傾げる。
「あぁ、起きたばかりですまなかった。今は少し休んでいてくれ」
その言葉を聞き、私の視界がぐるぐると回り始める。
ぐるぐるぐるぐるぐるぐると
最後に待っていたのは、暗転だった。
お題『やわらかな光』
化け物が、漆黒の鎧を身に纏った化け物が、鋭い眼差しで俺のことを見下す。
哀れだなと、言われているかのような目で、見下す。
何もできない
だが、終わりたくない。
まだ、あいつの願いを叶えていない。
そんな必死の願いが、何処かの誰かに届く。
この世界の闇、裏側。全てを知り、背負う覚悟はあるか?
低く、重苦しい声が頭に響いた。
その覚悟で、今死なずに済むんだったら。
いいぞ 背負ってやる
答えた瞬間、辺りが眩い光に包まれる。
光が収まった俺の手には、自分の体よりも大きな、漆黒の鎌を持っていた。
漆黒の化け物が、俺を見て怯む。
さっきのお返しと言わんばかりに、俺はそいつに鋭い眼差しを向けた。
さぁ、戦いを始めよう。
お題『鋭い眼差し』
見返してやる
そんな思いで始めたこの物語
あいつらの世界の光を落とし
全てを漆黒の闇に
高く高く 天よりも高い城を築き
あいつらを恐れて慄かせてやる
さぁ、光の下の人間ども。
戦争を始めよう
暗闇の中で、誰かが言った言葉。
お題『高く高く』