「君は今、何をしているの?」
僕は虚空へ向かって話し掛ける。…いや、僕の目の前には確かに“君”がいるんだ。
【アア、絵ヲ描イテイルンダ。見ルカイ?】
「見せて。」
浮き上がってきた絵は、鮮やかな色彩で。今にも眩しすぎて消えてしまいそうだった。
「とても綺麗だね。まるで過去の君みたいだ。」
【チョット、今ノ僕ガ汚イミタイジャナイカ。】
「うそうそ、今も綺麗だよ。」
なんて、少しお世辞混じりな言葉を言う。
彼は、今ドス黒いなにかに覆われている。それは…
僕にも分からない謎のもの。
ねえ、聞いてる?本当の“君”。
「君は今、何をしているの?」
カンカンカンカン、ガタンガタンガタン。
踏切の前で俺らは足を止める。
「なあ、今更聞いても遅いけどよ」
「うん?どうしたの?」
「…マジで、引っ越すんだよな。」
「…そーだねえ。マジだね。」
隣のコイツは、明日には学校に居ない。
今日、深夜に引越し先に向かうらしい。
「……寂しい。」
「僕だって寂しいさ。」
「俺ら、ずっと一緒だよな」
「もちろん」
そう言って、そいつは俺の手を思い切り握る。
「ね!また会える事をここに誓おうよ!」
「…いいな!いつも通ってた踏切の前で誓いを立てんのか…」
俺らは自然と向き合う。
「言う言葉は揃うと思う?」
「ああ。」
【またいつか、この場所で。】
「ねね、聞きたいんだけどさ」
「どしたの?」
会話が続かない、電話中の画面の中から声が聞こえた。
「手、繋ぐ距離短い?」
「え」
そう、よく私たちは帰り道の途中で手を繋いで帰ってる。でもそれはほんの少しで、もうちょっと長くいたいと思っていたけど...
「...うん。もうちょっと長い方がいいな」
「りょーかい。じゃ、長く繋げるように遠回りで帰ろうか」
「うん!」
私達はまた、手を繋いで。
「ねーねー今日も一緒に帰れるー?」
「うんいいよ」
そうやって彼は言ってくれる。今日は何の話をしようかな。
「ねえ、多世。僕君に言わないといけないことがある」
「どうしたの?改まって」
彼は悲しそうな顔をする。そんな顔されたら、私も泣きたくなってしまう。
「聞いてよ。喜んで欲しい。」
「…うん」
彼は少し間を空けて言った。
「僕、彼女が出来たんだ」
その一言で、隣で歩いていたはずの足が遠のいていく。私の頭の中には困惑が入り交じっていた。
知らない間に彼女が出来ていたなんて。
誰、なんで、どうやって、いつから?
「…多世?」
「……あ、ああ!おめでとう!」
多分、ぎこちない笑顔だったと思う。
「…いつから?」
「今日、告白されたんだ。ついさっき。」
「だから遅れたのか」
そう、いつもはすぐ来てくれるけど今日は遅かった。
「…良かったね。てか、新しい彼女と一緒に帰らなくてよかったの?」
「あーうん。」
彼はニカッと笑って私に言った。
「女友達が待ってるからって言った。ちょっとキレてたけどね」
そりゃそんなん言ったら怒るだろう。そう言ってやりたかったけど、そんな冗談な感じで言えなかった。
「…ねえ、和鹿。」
「ん?」
顔を合わせずに聞く。
「……ずっと好きでいてもいい?」
「…うん。別にいいよ」
「ありがとう」
目を合わせられない。なんで、悲しいから?
「じゃあね、和鹿。お幸せに」
「ありがと〜。多世にもきっと良い人が出来るよ」
返事は、出来なかった。
私にはあの人しかいないと思っていた。
私はこれから…
どうすればいいの?
私事ですが、最近日記を書いてるんです。
ほとんど好きな人との会話を綴っているだけですが…。
鳥頭なので、すぐに忘れちゃうんです。
でも、彼との思い出はずっと忘れたくないので日記を綴るようにしています。
物事をやる場合、いつも三日坊主な私ですが…
この日記だけは2、3週間継続させて頂いてます。
綴っている文、言葉一つ一つが、私の宝物です。