「ねーねー今日も一緒に帰れるー?」
「うんいいよ」
そうやって彼は言ってくれる。今日は何の話をしようかな。
「ねえ、多世。僕君に言わないといけないことがある」
「どうしたの?改まって」
彼は悲しそうな顔をする。そんな顔されたら、私も泣きたくなってしまう。
「聞いてよ。喜んで欲しい。」
「…うん」
彼は少し間を空けて言った。
「僕、彼女が出来たんだ」
その一言で、隣で歩いていたはずの足が遠のいていく。私の頭の中には困惑が入り交じっていた。
知らない間に彼女が出来ていたなんて。
誰、なんで、どうやって、いつから?
「…多世?」
「……あ、ああ!おめでとう!」
多分、ぎこちない笑顔だったと思う。
「…いつから?」
「今日、告白されたんだ。ついさっき。」
「だから遅れたのか」
そう、いつもはすぐ来てくれるけど今日は遅かった。
「…良かったね。てか、新しい彼女と一緒に帰らなくてよかったの?」
「あーうん。」
彼はニカッと笑って私に言った。
「女友達が待ってるからって言った。ちょっとキレてたけどね」
そりゃそんなん言ったら怒るだろう。そう言ってやりたかったけど、そんな冗談な感じで言えなかった。
「…ねえ、和鹿。」
「ん?」
顔を合わせずに聞く。
「……ずっと好きでいてもいい?」
「…うん。別にいいよ」
「ありがとう」
目を合わせられない。なんで、悲しいから?
「じゃあね、和鹿。お幸せに」
「ありがと〜。多世にもきっと良い人が出来るよ」
返事は、出来なかった。
私にはあの人しかいないと思っていた。
私はこれから…
どうすればいいの?
11/21/2023, 11:39:30 AM