いつからだろう。現状が満足いかないはずなのにそれを維持しようとする自分がいる。
お金がない、時間がない。友人がいない。理由は様々だけれど自分が動かないのに周りにケチをつけることで自分を正当化しようとあがく。
そんなことしても何も変わらないのに
そうしなければ動いていない自分を保てないから
今の現状に甘んじて諦めて生きているからと無理やり納得して
最後に夢に向かって飛び出したのはいつだったのだろう
それすら思い出せない
けれどその気持ちを思い出そうとするだけできっかけはできた
あとは自分次第
あれからどれくらい経ったか。
その日々を数えるのは難しいと思うほど忙しくて。
遠い昔、楽しかった毎日が色褪せるほどここまできてしまった。
どこまでも続く澄み渡った青空を初めて見た日。
揺れる木陰が冷たい風と共に揺れるのが涼しくて。
静寂で穏やかな日々がいつまでも続くと思っていた。
けれど大人になると青空は見なくなった。代わりに地面や周りの情報に振り回されて混乱する日々。
気を使い円滑に回さないとピリピリする環境で。
心休んだ日はいつだったのだろう。
贅沢は言わないから一瞬でもいい。
またあの青空を見上げたい。
窓から見える景色
近年温暖化が進んでいるからと、エアコンかガンガンに効いている部屋でふと、普段気にしていなかった雲一つない青空に目が行った。
よほど外の気温が暑そうだと、そう感じるレベルでの澄み切った青空。
ふと、その青空にポツリと白い雲が浮かんでいた。
その形は、かつて自分が幼かった頃こことは違って遠い昔の時代で出会ったあの侍の象徴としてつけていた印ににていて。
好きな人には赤面し、敵には力強く勇敢に立ち向かって。
最後は悔いがないと、そう言って息を引き取った。
当時のこみ上げる気持ちを抑え、また自分は窓から見える青空をみつづけた。
あの頃から成長してしまった己を彼が見たらどのように反応するかと思いながら。
正直、期待はしていなかった。
周りは敵だらけで信じられるのは自分。少し前まではそう思っていた。
目前にあるおむすび。視線を持ってきた本人ーニコニコ笑う幼子は今か今かと受け取ってくれると信頼しきった目で少年を見ていた。
どうして,自分なのか。特に何もしなかったのに。内心そう思ったけど。
(悪くない。)
久しく感じなかった無償の信頼、好意を無碍にはできないと、おむすびに手を伸ばした。
何も入っていなかったがどんなおむすびよりも美味しかった。
きみがいるから世界は色づく
珍しく少年と青年が別々の人と組み依頼を受けていた時のこと。
少年は先に終わり青年の帰りを自室で待っていた。青年と一緒にご飯を食べたかったのもあるが依頼でのことを話したかったからだ。
待てど待てど帰ってこない。少年がなかなか帰ってこない青年に内心やきもきしていると、廊下が騒がしくなった。
何ごとかと思ったのと勢いよく自室の扉が開いたのは同時で。
血相を変えた上司が入ってきたのを見て心がざわついた。
―・-・-・-・―
ところどころ包帯を巻いている青年がベットで眠っていた。依頼中に迷い込んだ子供をかばうため無茶をしたと。
何か言ってるような気がしたが少年は青年しか目に入らず。よろよろと近づいた。
意識はなく、顔色も悪い。左手を両手で包む。冷たくて、いつも少年をやさしい声で呼んでくれるのに意識はなくて。
暖かくて鮮やかだった少年の世界は、寒くて青年のいない無色の世界へあっという間に侵食された。
あれから青年の目が覚めるまで少年は一人だった。周りは少年のことを心配して声をかけてくれていたが、少年は大丈夫と空元気で返すだけ。
毎日、青年のベットへ行き一日の事を話し手をずっとつないでいた。
ご飯のこと、天気のこと、依頼のこと道に咲いていた花、義妹が心配していること。毎日、青年が起きるまで言った。
このまま起きなかったらどうしようとは思わないようにした。そうしないと少年の気が狂いそうだった。
いつの間にかペットに突っ伏して寝ていたみたいで。
慌てて起きると、青年と目が合った。
少年は夢かと一瞬疑ったが、青年がガラガラの声で少年の名を呼んで見て、それがうれしくて。
青年に飛びついた。生きていると、目が覚めたと実感したくて、青年がやさしく手で背をたたくのに思いがこみ上げて。
無色の世界が再び暖かくて鮮やかか世界に戻って、少年は声を張り上げて泣いた。