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6/12/2024, 10:15:17 AM

あまりにも今回のお題の物語が思い浮かばないので、今回は自分語りをしてみようと思う。
自分は小説を書くことも見ることも好きだが、嫌いでもある。
小説を書くことで沢山の人に見てもらうことが出来る。
でも、それが目的だと思うと自分はなんて浅はかで愚かなんだろうと思ってしまう。
小説を見ることで視野を広げて新しい発見ができる。
でも、その視野の中には自分のアイデンティティ、生きがいを否定するようなものもある。
こうやってどれだけ好きなものでも嫌いだと思う面があることは日常では案外あったりする。
それを矛盾だと怒る人もいるだろうけど、自分は結構このちぐはぐさが人間らしくて好き。
あ、この好きは嫌いじゃない

6/11/2024, 10:20:02 AM

僕の故郷はとても小さい街だった。
あまり人が出入りしないから町と呼ぶのが、一般的には正しいのかもしれない。でも、ここの住人は街と呼ぶ。幼い頃の僕はその理由を知ろうともしなかったけど、それが変だとは1度も思ったことがなかった。
いつしか成長し立派な大人となった僕はあの「街」を出て都会に出た。都会の暮らしはとても忙しくてあんな寂しい街とは比べようもないほど疲れる日々を過ごしたがとても楽しかった。
そんなある日、あの「町」が無くなることを聞いた。でもその時は丁度会社の繁盛期でどうしても行けなかった。


いや、

行きたくなかったと言った方が正しいのかもしれない。どれだけ会社が忙しくなったって時間を作ろうと思えば作れたのだ。でも、もう都会に染まりきった僕はあの町を街とは思えなくなった。恥ずかしいという気持ちすら芽生えた。
そんな理由があって、覚悟を決めた頃にはもう町は本当の街になった後だった。昔とは比べ物にならないくらい綺麗で賑やかになった街。でも。そこは街であって僕の街ではなかった。
大事なものは失ってから気付く。その言葉は正しい。ただそれが僕の場合は失ってから大事なものだったと気付く、というだけだった。

妙な喪失感を残し都会へと帰る。

あれほど輝いて鮮やかに見えた都会はなぜだか、少し色褪せた景色となっていた。

6/10/2024, 11:12:49 AM

死ぬまでにやりたい10のこと!!

1.高級焼肉店に行く!

2.何かしらで1位を取ってみたい!

3.友達100人作る!

4.世界一綺麗な景色を見る!!

5.親友が運転するバイクでドライブ!

6.諦めた夢を追いかける

7.最後まで諦めずに生きる

8.親友と花見をもう一度する!

9.大好きな人に告白

10.これを全部やる!!!!

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病気になった親友が私の前に大きく「死ぬまでにやりたい10のこと!!」と書かれたノートを広げた。親友曰く、これを私に手伝って欲しいとの事。
余命宣告されるほどの病気になったとは到底思えないほど親友はいつも通り明るすぎる笑顔を浮かべていた。
少し迷った後、親友の頼みに承諾した。昔から親友の笑顔に私は弱いのだ

まず1つ目の「高級焼肉店に行く」というものを達成しに行った。医者からは勿論止められていたが、それを無視して思う存分お高い焼肉を頬張った。値段は目玉が飛び出るほどの額だった。
次に2つ目の「何かしらの1位を取ってみたい」という願い。これにはとても苦労をした。二人で話しあった後、規模の小さいゲームでの1位を取る事に決めたことまでは良かった。それからが地獄。規模が小さいこともあり簡単だろと舐めていた私達に立ちはだかったのはガチ勢と呼ばれる人だった。何度も何度も挑戦し、やっとのことで勝った時の爽快感は今までに感じたことの無いほどだった。
その次に「友達100人作る」はさすがにこの短時間では達成できなかった。それでも諦めれずに不貞腐れる親友に対して「私が100人分の友達になるよ」と臭いセリフを吐いてしまったのはこれから10年は黒歴史として私の脳に残ってしまうだろう。
心に大きな傷を負った後に達成しに行ったのは「世界一綺麗な景色を見る」だった。これは大変だぞ……そう私は思っていたが案外簡単に終わった。なぜなら、親友が外の景色を見て「この願いはもういいかな…」と呟いたためである。その顔が少し寂しげで私は親友の死がそろそろ近いことを理解した。
次に行ったのは「親友のバイクでドライブ」。これはすぐに終わった。元からバイクを持っていたのもあり、病院から抜け出してバイクで1時間ほどかけて海を見に行った。帰ったあとはとても病院から叱られた、2人とも大笑いしてそれを受けた。その時久しぶりに親友の自然な笑顔を見れた気がした。
やりたいことが半分終わった。次は「諦めた夢を追いかける」。これには私は頭を抱えるはめになった。親友が諦めた夢を頑なに話そうとしないからだ。これじゃあどうやってもこの願いは叶えられない…。このままじゃ埒が明かないと思いこの願いは保留とすることになった。
7つ目のやりたいことは、私が「生きろ!」と力強く言うだけで終わった。私が言葉を吐いたあとのホロりと溶けてしまいそうな笑顔はとても美しくて、苦しくなった。
春になるまで待たないといけない8個目を飛ばして9個目のやりたいこと。実質的に最後のやりたいこと。
「大好きな人に告白」
少し緊張した面持ちでいる親友に、好きな人って誰?と問いかける。
質問からひと呼吸おいてはっきりとした声で「君」と一言。それから流れるように好きになった理由とかずっと好きな人と結婚するのが夢だったとか語る親友。全く脳の処理が追いついていない私を置いて無理に笑って断ってもいいよと言う。そんな親友の顔を両手で挟んではっきりという「私も」と。決して結ばれるはずのない恋がこの時この瞬間だけは結ばれた。幸福をかみ締めた親友は涙をポロポロと流し、明るい笑顔を浮かべる。その顔に私はくしゃりと下手くそな笑顔で返した。



それから、二人でありふれた日々を過ごした。その日々はこれまでに比べて少し味気ない気もするけどとても充実した日々だったと私は思う。きっと彼女も。
彼女はとうとう、春を迎えることが出来ず先に空へと帰った。本当に白状なやつ、そう心底思った。
今日は絶好の花見日和、こんな日は憂鬱な仕事をするよりも彼女と共に花見をした方がいい!そう思い立った私は仕事を休み桜の木の下に今いる。片手には彼女が書いた「死ぬまでにやりたい10のこと!!」のノートと指輪。
桜の木の下、ノートに赤ペンで花丸を書いて指輪と共に埋める。
頬に伝う水に気付かないふりをして不器用な笑顔を浮かべる。
「これで、私のやりたいことも叶った!」
左手の薬指にはきらりと指輪が光っていた。

6/9/2024, 1:28:33 PM

恋人が死んだ

お互いに心から愛し合っていた、来週にはプロポーズをしようとも思っていたほど良好な関係だった。
なのに、現実とはそう上手くはいかないもので、彼女は呆気なく信号無視をした車によって死んだ。即死だったそうだ。
傷心している暇もなく彼女の葬式は開かれ、気がついた時には小さくなった彼女を抱えて帰路に就いていた。

それから俺は死んだような日々を送った。遅刻ギリギリの時間に家を出て、何も考えられないように仕事を詰めて、フラフラになりながら家に帰り、三日に一度ぐらいの頻度になった風呂に入り、泥のように眠る。そんな日々の繰り返し。仕事をしている時間は好きだ、何も考えなくていいし彼女との思い出の関わりが一切無いから。
逆に朝は嫌いだ。朝が苦手な俺のために毎朝起こしに来る彼女、机に置かれた暖かな朝食、そして朝日に照らされてにっこりと笑う可愛い彼女。彼女との思い出が色濃く残る朝が大っ嫌いだ。
いつしかカーテンを開けることが無くなった。朝は遅く起きるようになった。朝食を食べない日が増えた。
朝はできるだけ見たくなくて、朝から逃げる方法なんて馬鹿みたいなことを調べたりして。

そんなある日、その日は珍しく俺は朝早く起きた。また寝ようと思ったがどうにも眠れなくて渋々起き上がる。
最近は全く作ってなかった朝食を作った。目玉焼きはカチカチだし、ベーコンは黒焦げになった。最初の頃の彼女もこんな感じだったなぁ…なんて思い出してしまってまた苦しくなった。そして、久しぶりにカーテンを開けた。ただの気まぐれでなにか考えてした行動ではなかった。言わば習慣というものだろうか。その日は曇りの予報だったのに何故か快晴でとても綺麗な朝日が浮かんでいた。

ふわりと優しい朝日が部屋を照らす。

その美しい光景を見た僕は目を見開きポロリ、と涙が出した。

あぁ、そっか、、君は本当に死んでしまったんだね

「彼女は死んだ」その言葉をその時初めて受け入れられた気がした。
僕はあの時から彼女が死んだと認めたくなかった。だから彼女を忘れようとした。彼女との思い出を全て消し去ろうとした。それが一番彼女が嫌がることと知っていながら。
その後、何故だがスッキリとした心で朝食を食べた。もちろん美味しくなんてなかったけどどうにも泣けた。焦げた炭の味に混じって少し塩辛い味がした。
久しぶりに余裕を持って家を出る。葬式後1回だけ行ったきり1度も訪れることが出来なかった彼女のお墓に行こう、暖かな朝日に照らされながら昨日よりもほんの少しだけ軽くなった足取りで会社に向かう。
それはありふれた何の変哲もない朝のことでした。