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死ぬまでにやりたい10のこと!!

1.高級焼肉店に行く!

2.何かしらで1位を取ってみたい!

3.友達100人作る!

4.世界一綺麗な景色を見る!!

5.親友が運転するバイクでドライブ!

6.諦めた夢を追いかける

7.最後まで諦めずに生きる

8.親友と花見をもう一度する!

9.大好きな人に告白

10.これを全部やる!!!!

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病気になった親友が私の前に大きく「死ぬまでにやりたい10のこと!!」と書かれたノートを広げた。親友曰く、これを私に手伝って欲しいとの事。
余命宣告されるほどの病気になったとは到底思えないほど親友はいつも通り明るすぎる笑顔を浮かべていた。
少し迷った後、親友の頼みに承諾した。昔から親友の笑顔に私は弱いのだ

まず1つ目の「高級焼肉店に行く」というものを達成しに行った。医者からは勿論止められていたが、それを無視して思う存分お高い焼肉を頬張った。値段は目玉が飛び出るほどの額だった。
次に2つ目の「何かしらの1位を取ってみたい」という願い。これにはとても苦労をした。二人で話しあった後、規模の小さいゲームでの1位を取る事に決めたことまでは良かった。それからが地獄。規模が小さいこともあり簡単だろと舐めていた私達に立ちはだかったのはガチ勢と呼ばれる人だった。何度も何度も挑戦し、やっとのことで勝った時の爽快感は今までに感じたことの無いほどだった。
その次に「友達100人作る」はさすがにこの短時間では達成できなかった。それでも諦めれずに不貞腐れる親友に対して「私が100人分の友達になるよ」と臭いセリフを吐いてしまったのはこれから10年は黒歴史として私の脳に残ってしまうだろう。
心に大きな傷を負った後に達成しに行ったのは「世界一綺麗な景色を見る」だった。これは大変だぞ……そう私は思っていたが案外簡単に終わった。なぜなら、親友が外の景色を見て「この願いはもういいかな…」と呟いたためである。その顔が少し寂しげで私は親友の死がそろそろ近いことを理解した。
次に行ったのは「親友のバイクでドライブ」。これはすぐに終わった。元からバイクを持っていたのもあり、病院から抜け出してバイクで1時間ほどかけて海を見に行った。帰ったあとはとても病院から叱られた、2人とも大笑いしてそれを受けた。その時久しぶりに親友の自然な笑顔を見れた気がした。
やりたいことが半分終わった。次は「諦めた夢を追いかける」。これには私は頭を抱えるはめになった。親友が諦めた夢を頑なに話そうとしないからだ。これじゃあどうやってもこの願いは叶えられない…。このままじゃ埒が明かないと思いこの願いは保留とすることになった。
7つ目のやりたいことは、私が「生きろ!」と力強く言うだけで終わった。私が言葉を吐いたあとのホロりと溶けてしまいそうな笑顔はとても美しくて、苦しくなった。
春になるまで待たないといけない8個目を飛ばして9個目のやりたいこと。実質的に最後のやりたいこと。
「大好きな人に告白」
少し緊張した面持ちでいる親友に、好きな人って誰?と問いかける。
質問からひと呼吸おいてはっきりとした声で「君」と一言。それから流れるように好きになった理由とかずっと好きな人と結婚するのが夢だったとか語る親友。全く脳の処理が追いついていない私を置いて無理に笑って断ってもいいよと言う。そんな親友の顔を両手で挟んではっきりという「私も」と。決して結ばれるはずのない恋がこの時この瞬間だけは結ばれた。幸福をかみ締めた親友は涙をポロポロと流し、明るい笑顔を浮かべる。その顔に私はくしゃりと下手くそな笑顔で返した。



それから、二人でありふれた日々を過ごした。その日々はこれまでに比べて少し味気ない気もするけどとても充実した日々だったと私は思う。きっと彼女も。
彼女はとうとう、春を迎えることが出来ず先に空へと帰った。本当に白状なやつ、そう心底思った。
今日は絶好の花見日和、こんな日は憂鬱な仕事をするよりも彼女と共に花見をした方がいい!そう思い立った私は仕事を休み桜の木の下に今いる。片手には彼女が書いた「死ぬまでにやりたい10のこと!!」のノートと指輪。
桜の木の下、ノートに赤ペンで花丸を書いて指輪と共に埋める。
頬に伝う水に気付かないふりをして不器用な笑顔を浮かべる。
「これで、私のやりたいことも叶った!」
左手の薬指にはきらりと指輪が光っていた。

6/10/2024, 11:12:49 AM