西の護符屋

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8/10/2024, 1:24:10 PM

降車ボタンを 押したいのか
終点の 一つ手前の バス停で
飛び跳ねるように 降りる親子
バスと同じ向きに 歩いて行く

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 「次、停まります」という魔法のボタン
 多分、おうちは終点の方が近いよね。

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終点の 無いかんじょうせん ぐるぐると
初めての 駅に降り立つ 勇気を養っている

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大阪環状線の場合、名目上の終点を寝過ごして気付いたら、関空なんてこともあるとか、ないとか。不正乗車はダメ。絶対。

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 行ったことのない終点駅の名前に未来を感じる。
 沿線の延長と開発がセットでされてきた歴史に、どこか希望を感じるからか。

 私の人生の終点駅のまちにも開発を行えたら良いな。いつか私を思い出す人が、少しでも笑顔になるようなまちってどんなかな

8/9/2024, 3:43:32 PM

恥かける 電子データが 相手なら

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 ゲームの世界が羨ましいと思うことが度々あります。
 覚えたことや達成できたことを忘れないレベルシステム、間違えてもやり直せるセーブandロード、そしてあらゆることを練習できること。
 上手くいかなくても良いのは、相手に取り返しのつかない迷惑をかけない場合のみだろうから。
 英会話もピアノもAIがある程度練習させてくれる時代。

 次はあなたとの会話も、仕事も、練習させてくれないかな。


 …でも現実は思いもかけないことばかりだから。

 例え上手くいかなくても、反省は必須でも、自分を責め続けることは何の役にも立たぬと、挑戦した自分を、相手を、許す叱咤を頭の中で繰り返しています。

8/8/2024, 2:37:47 PM

「娘は私と妻が、蝶よ花よと育てたのだ。よくも知らぬ男と夜遊びするなど許すはずがない!」

 塾の帰り道、エイミを迎えにきた父に、ただ花火大会を男女混合のグループで行く許可を得ようとしただけなのに。エイミは、過保護を自負するような父の発言に赤面した。たまたま一緒に行くクラスメイトのササキくんも近くにいるというのに恥ずかしいったらない。

「いやだからササキくんの他にも女の子達もいるって…。」
「おとうさん、エイミさんが蝶のように美しいのはその通りですが、そろそろ虫籠から出して自由にしてあげたらどうですか。」
「何言ってんの?ササキー!?」

 エイミの訂正に被せるように父を挑発する発言をするササキに、エイミとその父は目を剥いた。まるで恋愛小説のなんちゃって中世で婚約を申し込む貴公子のような物言いだが、ササキはただの現代のクラスメイトだし、エイミとそのような関係ではない、

「お前におとうさんと呼ばれる謂れはない!だいたいエイミが青虫毛虫の頃から育てていたのに蝶になったとたんチヤホヤする奴になんやかんやと言われるのはおかしい!」

「…私、青虫毛虫呼ばわりはちょっと嫌だな。父さん。」

 父が激昂するのもやむを得ないと思いながら、少しズレを感じる父とササキの会話にエイミは腕をさすった。黙って行くのも心配をかけるだろうし、実際に会って話した方かいいかと思っていただけなのに、なんだか話の流れがおかしい。

「落ち着いてください。エイミさんが蝶なら僕は花です。」

「はな」

 父娘の反応が思わず被った。ササキくんは何を言っているのだろう。親に許可をもらう時に側にいて大丈夫な人選を完全に間違ったかもしれないとエイミは遠い眼をした。信用してもらうにはぴったりな頭が良さそうな優等生だと思っていたのだが。

「葉を食べる青虫毛虫を駆除してもらい、適切な切り戻しに、決して根腐れしないようやり過ぎない水遣り、焼けない程度の日あたりの確保に、適切な時期の肥料、温度湿度の管理、雑草も抜いてもらって生きてきました。」

「くじょ…」

 エイミの独り言も気にせずササキはそこで胸をはった。

「その結果が僕という花です!」

「はぁ。」

 父娘の気の抜けた返事もそのままにササキは目を落として続けた。

「僕は、悪いことをしたいという人間ではありませんし、勉強も運動もそれなりにできる方だと思いますし、真面目だとも言われます。しかし、他人との会話がどこか噛み合わないのです。」

 それはそうと父娘は顔を見合わせた。

「花には蝶が、蜂が、虫達が必要なのに、これではどうすればいいかわからないまま満開の大人になってしまいます。蝶にだって、蜜を吸う花が、卵を産み付ける葉を選ぶことがいずれ必要な筈です。」

 その表現方法はそれでいいのかなと額に手を当てながらもエイミはササキの言いたいことが少しわかってきた気がした。

「….ササキくん、花は蝶を害したりはしないよね?」
「僕は食中植物として育てられていません。」

 その答えに口角を上げてエイミは父に向き直った。

「父さん、花火大会にくるのはササキくんだけじゃなくて、女の子の友達もたくさんくるの。男の子もササキくんだけじゃないけど、クラスメイトで、女の子の方が多いくらいよ。ひとけのない所なんていかないし。途中で写真も送るから。少しは信頼してよ。じゃないと免疫がなさすぎて、チョロい女になっちゃうよ。」

 チョロいという言葉に少しショックを受けたような父親だったが、知っているエイミの女友達がくることがわかって、チラチラとササキを見ながら、渋々エイミの花火大会の夜間外出に頷いた。

「おい、鳥や狼からエイミを守ってくれよ。」
 ササキは別れ際にエイミの父からそう言われて
「僕、花なので、葉とかで頑張ってエイミさんを隠します。」
と答えていた。
 ササキくんって少し変な奴だけど、とっても良い人だとエイミは破顔した。
「ササキくん、巻き込んでゴメンね。父の話に付き合ってくれてありがとう。」
 やはり恥ずかしくてササキの目を見ては言えないエイミだった。

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 久方ぶりの小説。

 「蝶よ花よ」という言葉と「チヤホヤ」という言葉は、かの清少納言の仕えた定子の和歌から来ているんですって。
 帝の妃という立場から、前例のない第二妃に政争で敗れ時の人ではなくなったことを嘆く定子に、慰める清少納言。それに対する返歌に含まれるそう。

"みな人の 花や蝶やと いそぐ日も わが心をば 君ぞ知りける"

 知らなかったです。主従の愛尊い。
 もともと、今をときめく人をただ持て囃すことを言っていた言葉が大事に育てるという意味を含むようになったことが面白いなぁと思って作ってみました。
 
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 英語では過保護な親をヘリコプターペアレンツ、フランス語では雌鶏と言うんだとか。それもまた面白いなと思っています。
 特にフランスの方に鶏とっても愛されてるんですね。鶏を差す言葉も、それらに関する慣用句もたくさんあるようで楽しかったです。
 過保護の親の表現としてでてくる雌鶏は、甲斐甲斐しくヒヨコの面倒をみる母性の象徴でもあって、「混乱を極めること」を「雌鶏が子どもを見失うくらい」と表現する慣用句があるのには、鶏に対する愛があってニヤリとしました。

 

8/8/2024, 7:21:03 AM

舌出して 立秋探す ナワバリに
向かい立つ 若狐の群 芒の穂

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 脳内のイマジナリーフレンドとして大型犬を飼っています。
 もふもふ装備を脱げない(イマジナリーなんだからどうにでもなるけど)彼にも、体力のあまりない私もこの夏の暑さは厳しいもの。
 そんな我等にもちゃんと立秋の日はやってきました。最初から季節のめぐることはわかっていたとはいえ、ちゃんと秋は来ているものですね。

 真夜中に空気の入れ替えをしたくて窓を開けても熱風が入ってくるだけの日々だったのに、昨日と今日は、早朝蝉の鳴く前に窓を開ければ、ほんの少しだけ涼しい風が入ってきて驚きました。涼風至(すずかぜいたる)の暦、まだ使えるやんと嬉しくなりました。

 散歩に行けば、いつの間に育っていたのかまだ瑞々しい芒の穂が出ていました。まだ色も白銀で、垂れることなくすっくと輝く姿は若い狐の尻尾のよう。うちの大型犬(妄想)の尻尾にも負けないその姿に立秋を見て、まだまだ盛夏と言ってもよいくらい殺人的な陽射しに目を細めてきたのでした。

 秋桜の種、今からプランターにばら撒いても間に合うかな。

8/7/2024, 2:39:05 AM

愛おしきは 濃い木陰
燦燦と照る 湖面を滑れ
拙き音色は リコーダー

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 今日の脳内BGMは、「手のひらを太陽に」でした。「ぼくの血潮」という普段は使わない言葉が生きている実感があって特に好きです。今確認のために検索して、やなせたかし先生が作詞者であることを知りました。なるほど。大人になってからアンパンマンマーチの歌詞に涙ぐんだ私が好きなわけですね。「時は 早く 過ぎる 光る星は 消える だから 君は いくんだ ほほえんで」

 ピアノを習っていた私は芯からインドアな人間ではあるのですが、夏の太陽が作る木陰の下で演奏できる楽器に憧れがあります。ウクレレやギターも憧れるけれど、久しぶりに誰もが持っているリコーダーを練習するのも悪くはないかもしれません。
 はじめ湖ではなく海にしようかと思っていたのですが、プラスチックに溢れた砂浜の記憶が頭から離れずやめてしまいました。楽器練習する気になんないですよね。あれは。焼石に水だし、偽善と言われそうだ等と思いながらも行く度にゴミ拾いをしてしまいます。

 美空ひばりさんの愛燦燦のお陰か、燦燦という言葉も好きです。英語で太陽がSUNな偶然もなんだか嬉しくなります。
 三浦大知さんの燦燦も好きだし、星野源さんのSUNも好きだから、私太陽の歌も結構好きなんだなぁと新たな発見にもなりました。太陽よりも月の歌が好きなのだと思い込んでいました。

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