8/25/2025, 8:36:52 AM
「いつもより遅い帰り道」
もうすぐ使わなくなる定期券をかざして、降りたことのない駅で降りる。
ずっと素通りしていた街。
華やかで、眩しくて。
キラキラきらきら。
居心地の悪さで、視線を落としそうになる。
鮮やかで、痛いほどに。
まるで異国のように思えた。
もうすぐ使わなくなる定期券をかざす。
────見知らぬ街
2025.08.24.
8/23/2025, 12:28:01 PM
「二十キロ」
雷が聞こえる。
毎日のように聞こえてくる空の音は、たいていあの山の辺りから。
街の雷と山の雷の音は違う。
昔はそれが実感出来たけど、ここ数年はその差が縮まっている気がする。
「ひと雨ほしいねー」
パートのおばさまが空を見上げて呟く。
スマートフォンに大雨注意報の通知。
雨雲が接近中。
「でも、たいていこっちには来ないんだよ」
ここは、護られている街だから。
なぜかぽっかりと雨雲が避けていく。
「たいてい、降ったとしても夜中だよね」
午後四時。気温三十二度。
予報は今日も当たらない。
────遠雷
2025.08.23.