小絲さなこ

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8/23/2025, 9:10:04 AM


「夜のほろ酔いさんぽ」

都心の喧騒から離れて、初めてのふたり旅。
あえて駅から離れた場所のホテルを予約した。夕食なしのプランを選んだのは、夜道を歩きたかったからだ。

夜空に浮かび上がるように佇む建物の灯り。

「やっぱり、ここじゃ星は見れないね」

ほんの少しだけ期待していた。

「一応、この辺りはまだ市街地みたいだからなぁ。やっぱり山奥とか行かないと満天の星空は無理だろ」
「そうだね。でも、これはこれで幻想的だと思う」

天の川を見るのはまたの機会に。



────Midnight Blue
2025.08.22.

8/22/2025, 9:12:51 AM

「ぐるぐる回って」


彼女が振り向いて、笑顔を見せた。
流れる涙を拭いもせず、駆け寄ってくる。
抱き止めるように受け止めて、そのままぐるぐると回ってしまった。
周りの迷惑になったかと、一瞬思ったが、周囲も似たような雰囲気で、誰も俺たちのことを気にしていない。

「合格おめでとう」
「おめでとう」

「またよろしく」
「うん、これからもよろしくね」

たぶん、きっと、ずっとこれから何年どころではなく。何十年先も。
まるでプロポーズみたいなことを言いそうになってしまい、いや、今じゃ無いだろ。と空を仰いだ。

────君と飛び立つ
2025.08.21.

8/21/2025, 7:46:05 AM

「一日でも永く」

「今日のこと、一生忘れない。記憶喪失になっても」
「その言い方、フラグっぽいぞ」
「私がもし忘れても、思い出させてくれるでしょ?」

忘れてもいい。
すべて忘れてもいいから、一日でも永く隣に居たい。ただ、それだけ。

こんなこと、重過ぎて自分でもドン引きするから、言えない。言わない。


────きっと忘れない
2025.08.20.

8/20/2025, 9:18:59 AM

「そんなに俺に会えなくなるのが寂しい?」


「なんでもない」と、ひたすら繰り返す。
「俺のせい?」自惚れたような表情。
「そうだよ」なんて、絶対言わない。言えない。言いたくない。

すべて私のせい。
彼女持ちの人を好きになった私のせい。


────なぜ泣くの?と聞かれたから
2025.08.19.

8/19/2025, 9:04:13 AM

「秋の足踏み」

足音は聞こえているのに、なかなか姿を見せてくれない。
そんな感じがする。

赤く染まる空の向こう。



────足音
2025.08.18.

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