「そんなに俺に会えなくなるのが寂しい?」
「なんでもない」と、ひたすら繰り返す。
「俺のせい?」自惚れたような表情。
「そうだよ」なんて、絶対言わない。言えない。言いたくない。
すべて私のせい。
彼女持ちの人を好きになった私のせい。
────なぜ泣くの?と聞かれたから
2025.08.19.
「秋の足踏み」
足音は聞こえているのに、なかなか姿を見せてくれない。
そんな感じがする。
赤く染まる空の向こう。
────足音
2025.08.18.
「買い置きのアイス」
お盆が終わっても、体温並みの気温の日々。
「台風も発生しないなんて、本当におかしいよね、今年は」
そう言うと、姉はパタパタと団扇で仰ぎながらキッチンへ向かった。
「げっ!アイスもう無いじゃん!」
「そういや親父が昨日風呂上がりにチョコモナカジャンボ食ってた」
「ほんとに?あんたじゃなくて?」
姉のアイスを食べるなんて、そんな恐ろしいこと俺ができるわけないだろう。
「うーん……お父さんならまぁ……許す」
「ファザコンかよ」
「あー、はいはい、そうですよ、ファザコンですよ。仕方ない、買ってくるか」
「あ、じゃあ俺の分も」
「なんって図々しい!働かざる者食うべからず!」
たしかに、親父はお盆休みなく働いているし、俺はバイトもせずグータラ……いや、高校二年の夏休みを満喫してるけど。
「家事はしてるよ!」
掃除の下手な姉の代わりに!
「はいはいはいはい。代金は後払いね」
姉は俺にだけ厳しい。
────終わらない夏
2025.08.17.
「今だから言えること」
あの街から飛び出してからの日々は、忙しくも充実していて、つい忘れそうになる。
きっとあの人は、今も追い続けているんだろう。
もう私には関係ない。
あの街で過ごしていたことも。
あの人が見ていたものも。
それでも、あの人の願いがいつか叶えば良いと思う。
あんなことがあったけど、今の私がいるのは、間違いなくあの人の出会いがあったから。
────遠くの空へ
2025.08.16.
「運命の出会いなんて信じてなかった」
興味がないわけではなかった。
でも、興味がないふりをしていたんだ。
三次元なんて興味がない。今は推し活で充分──などと言って。
友人が恋人に裏切られる話を聞くたびに、恋愛って面倒だなぁと思っていたのもある。
それになにより、自分に自信がなかったのだ。
だけど、面倒そうだと思っていても、自信がなくても、それはいきなりやってきた。
『雷に撃たれたような出会いだった』
フィクションでは見かける表現。
そんなことあるわけないって、思ってた。
あなたに出逢うまでは────
────!マークじゃ足りない感情
2025.08.15.