「買い置きのアイス」
お盆が終わっても、体温並みの気温の日々。
「台風も発生しないなんて、本当におかしいよね、今年は」
そう言うと、姉はパタパタと団扇で仰ぎながらキッチンへ向かった。
「げっ!アイスもう無いじゃん!」
「そういや親父が昨日風呂上がりにチョコモナカジャンボ食ってた」
「ほんとに?あんたじゃなくて?」
姉のアイスを食べるなんて、そんな恐ろしいこと俺ができるわけないだろう。
「うーん……お父さんならまぁ……許す」
「ファザコンかよ」
「あー、はいはい、そうですよ、ファザコンですよ。仕方ない、買ってくるか」
「あ、じゃあ俺の分も」
「なんって図々しい!働かざる者食うべからず!」
たしかに、親父はお盆休みなく働いているし、俺はバイトもせずグータラ……いや、高校二年の夏休みを満喫してるけど。
「家事はしてるよ!」
掃除の下手な姉の代わりに!
「はいはいはいはい。代金は後払いね」
姉は俺にだけ厳しい。
────終わらない夏
2025.08.17.
8/18/2025, 6:36:28 AM