小絲さなこ

Open App
6/25/2024, 4:03:32 PM

「高原に行こう」



山荷葉(サンカヨウ)
水分を含むと白い花びらがガラス細工のように透明になる花。


「あぁそういえば、聞いたことある気が」
「毎年この時期になると、サンカヨウ開花のニュースやってるじゃん」
「そうだっけ……で、そのサンカヨウがどうしたの?」
「見に行かない?」

もはや趣味とは言えなくなってきているレベルのレジンアクセサリー作りの参考にしたいのだという。

「いいけど、どこに咲いてるんだ」
「高山植物だっていうから、高原でしょ」


繊細なアクセサリーを作る彼女だが、性格はだいぶアバウトである。



────繊細な花

6/24/2024, 9:47:16 PM

「足枷を外して」


夏が来て、秋が訪れ、冬になり、春になる頃。
私は、ここから出ていく。
それは、もうだいぶ前から決めていたこと。
だけど、どこへ行くのか、何をするのかは、決めていない。

来年の今頃、私はどこで何をしているのだろう。


やりたいことはあるけど、それを仕事にしようとは思えない。自信も度胸もない。


それでもわかったことがある。
このままここに居てはいけないということ。
足枷には鍵がかけられていないということ。


夏が来て、秋が訪れ、冬になり、春になって──来年の今頃、どこで何をしているのかわからないけど、私は私だけのために生きていきたい。



──── 一年後

6/23/2024, 3:52:33 PM


「きっと同じだったから」


あの頃は、何も躊躇わずに言えた「だいすき」
それはきっと、同じ目線だったから。

手を繋ぎたいと思う前に手を繋いでいた。
それはきっと、同じくらいの大きさの手だったから。

中学生になってから、急に伸びた背。
低くなる声。大きく角ばっていった手。
一緒にいるだけで揶揄われた、あの頃。


今は、どうやったら自然なカタチで側にいられるかを、必死になって考えている。



────子供の頃は

6/22/2024, 3:29:42 PM


「diary」



ふと見上げた空の色や、雲の形。
街路樹の葉の色の鮮やかさ。季節の花。


あたりまえにあるものだと思っていること──そのすべてが、ひとつひとつの奇跡だと気付いた。

何もないのではなくて、その奇跡に慣れてしまっている。



今日あった『嬉しかったこと』を三つだけ選んで日記に書いていく。

ひとつひとつの奇跡への感謝を忘れないように。


────日常

6/21/2024, 3:08:59 PM

「ぶりっこの色」




「小学生の頃『ピンクはぶりっこの色』っていう風潮があって、嫌だったなぁ」

「あー、あった、うちの小学校もあったよ、それ」

「そうそう……で、水色選ぶんだよね」

「私は水色好きじゃなくて、黒選んでた」

「紫選んだら『いやらしい色だ。変態の色だよ』とか意味わからないこと言われた」

「あー、あったね。紫はヘンタイとか」

「なんだったんだろうね、あれ」


それぞれ別々の小学校どころか地域も違うのに、同じ年頃に同じようなことがあったということは『女の子らしくなりたくない』という気持ちが湧き起こる、そういうお年頃、というものだったのだろう。


「『ピンクってぶりっこの色だよ』ってしつこく言ってくる子がいて、ムカついたから『人の好きなものをヘンなふうに言う意地悪な子は嫌い』って言ったら、その子泣いちゃってさ……」

「うわぁ」

「その子、前から私の好きなものにケチつける子だったから、子供ながら鬱憤たまってたんだろうね……つい、口から出てた」


今、その子はどこで何をしているのか知らない。
でも、私に言われたことが泣くほどのことだったのなら、誰かの好きなものを貶したりケチつけたり……そういうことをもうしていないと思いたい。


────好きな色

Next