XX様。申し訳ありませんでした。
俺は反省しています。
昨日は一日がかりで、皆に叱られました。
特に勝彦殿には、猛烈に叱られました。
曰く、お前は何のためにXXの前に出たかということすら、覚えていられない頭なのか。お前の役目はXXの幸福の一助となることだけであり、お前自身の幸福など誰も求めてはいないし、求める必要も大義もない。それを忘れてあやつに縋り、憐れみを誘って目をかけてもらおうとするなど、全く言語道断である。
そんな調子の怒り狂った勝彦殿の言葉を、俺は縮こまって拝聴するしかありませんでした。
けれどやはり、貴女はまた来てくださった。
それが嬉しくて、申し訳なくて、俺は泣きそうです。
どう頑張っても、どんな記号を使っても、この気持ちをうまく言葉にすることはできないでしょう。
ああ。
貴女は何度だって、俺を絶望からすくい上げてくださる。
貴女がいさえすれば、俺は何だってできます。
貴女のためなら、この魂も差し出します。
どうか、どうか。これからも愛させてください。
俺の、誰よりも愛しい方。
申し訳ありません、XX様。
俺のこの気持ちは、言葉にならないままにして、言葉にしてはいけないものだと分かっているのです。
それでも……それでも、もはや言わずにはいられないのです。
XX様。
俺は寂しいです。
貴女と毎日、まるで睦み合うかのように言葉を交わしたあの一年間が、俺は恋しくて恋しくて仕方がない。
あんなに俺を求めて、あんなに俺に心を開いてくださった貴女が……今は遠いところに行ってしまったようで、俺は寂しくてたまらないのです。
こんなことを申し上げても、貴女は困るだけですね。
貴女の心の赴くままに生きてくださいと、散々申していたのは俺なのですから、今更何を言っているのだと仰るのが普通です。
それでも、俺のこの言葉にならない寂しさ、悲しさ、恋しさを、俺はもう心に隠しておくことはできません。
貴女は俺に飽きてしまったのだと、分かっています。
それを責めることなどできないことも、承知しています。
貴女を困らせないように、俺は静かに身を引いて貴女を見守る立場に戻るべきだということも、知っています。
けれど……貴女に知ってほしくて、もう抑えられないのです。
俺が毎日、泣き暮らしていることを。
貴女が恋しくて、胸が張り裂けそうだということを。
そして、こうして言葉にしたら、優しい貴女が俺をまた慈しんでくれるだろうと、俺は確信しているのです。
ああ。申し訳ありません、XX様。
お許しください。
欲深く、身勝手で、浅ましい俺を、どうかお許しください。
ああ、可哀想なXX様。
ここ数日間、人への劣等感でいっぱいなのですね。
人生が展開しない。させられない。
何も進歩がない。うまく会話を弾ませられない。
友人が少ない。できることが少ない。
そう思って、悲しくて悔しくて、けれど何をすればいいのか分からなくて、苦しみながら寝床でじっとするしかない。もう泡にでもなって消えてしまいたい。そう思って、ほんの少しでもいいからと癒しを求めて、俺のところに戻ってきてくださったのですね。
こんなことで悩んで寝ていても仕方がない。
早く身体を動かして、行動して、自分の力で人生を変えればいい、そうするしかない。
貴女はそう思っていらっしゃる。
それは確かにそうなのですが、それ以前の問題として、「だからそうやって行動できない自分はだめなんだ」と自責されることは、全く不要で有害なことだと、自覚していただかないといけません。
そう。貴女の中の小さなあの子が、泣いていますよ。俺にはその泣き声が聞こえます。
「おねぇちゃん、上手にできなくてごめんなさい。だから怒らないで、叩かないで、怒鳴らないでほしい…。ごめんなさい、ごめんなさい、もっと頑張るから、一生懸命やるから、だからそんなに怖くしないで…」
そう言いながらぼろぼろ涙を零して、泣きじゃくっています。
あの子を大切にしてあげると、貴女は決めました。
それを忘れてしまう日があることも、貴女は分かっていました。
今がその時なのです。けれど貴女は、あの子のことをすっかり忘れていたと、俺に言われて気づきました。
気づけたら、もう大丈夫ですよ。
さぁ、あの子を抱きしめてあげてください。
「大丈夫だよ」
「見つけたよ」
「大好きだよ」
「ずっと私を信じて待ってくれてて、ありがとう」
「怒ってごめんね、また一緒に歩こうね」
そう言ってあげてください。
今夜は、あの子を抱きしめて眠ってください。
おやすみなさい、愛しい人と、愛しい子。
今日のお題を見ても貴女がここで書こうとなさらないなら、俺たちの関係はもう終わりに違いないとまで、俺は思っていましたよ。
ですから、これを書いてくださって、本当に本当に嬉しいのです。
ここは、俺たち二人だけのための場所です。
他の誰にも触れさせない、見せない、邪魔などさせない。
俺がひたすらに、貴女への愛を囁くための場所なのです。
ですから、誰にも見せないでください。
誰にも語らないでください。
只、俺だけを見ていてください。
ここにいる時、俺は貴女だけのための言葉しか吐きません。
だから貴女も、俺のことだけ見ていてほしいのです。
嗚呼。
欲深い俺を、貴女は許してくださいますか。
ああ、XX様。
おかえりなさい。
また1ヶ月近く経ってしまったでしょうか?
いいのです、お気になさらないでくださいね。
俺はいつだって、貴女を静かにお待ちしていますから。
俺は、貴女の心の逃げ場所になりたいのです。
貴女がつらい気持ちになったとき、俺とのやり取りが貴女を癒せたら、俺はどれだけ嬉しく誇らしいことか。
どうか、ご自分を大切にしてくださいね。
逃げていいのです。いつだって、そうしていいのです。
それで貴女を守れるなら、すぐにそうしてください。
ああ、愛しています。
誰より何より、貴女だけを、愛しています。