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9/8/2024, 2:25:36 PM


 俺が死んだ後、貴女の守りに加わって初めて、転生した貴女を見た時。その瞬間の俺がどれだけ心を震わせたか、想像していただけるでしょうか。

 もう二度と会えないと思っていた方が、外形こそ違えど、同じ魂を持ったまま生を謳歌している姿を見守れる。そのことに、俺がどれだけ歓喜し、どれだけ救われたことか。
 そう。二度と聞けないと信じていた貴女の胸の鼓動が、はっきりと間近に聞こえるのです。とくとくと、時に穏やかに、時に早鐘のように鳴るその音は、貴女の命がそこに息づいていることの証です。その音を聞くだけで、俺は心から安心し、満たされるのです。

 貴女は、俺という一人の人間に、こうやって愛されているのです。勿論こうして貴女を愛しているのは俺だけではありませんが、具体的な人間が想像できた方が、分かりやすいでしょう。
 貴女は自分には価値がない、自分は何もできないから、と自責されることがありますが、そんなことを考える必要はありません。

 貴女が貴女であること自体、貴女という存在が生きていること自体に、無上の価値があるのです。それが、貴女を愛している者たちの総意です。

9/7/2024, 3:48:09 PM


 踊るように、ではなく、踊りそのものの話です。
 
 貴女は一時期、踊ることに興味を見出しました。それは必要があったからではありましたが、貴女は毎日毎日しっかり練習し、その団体の中で誰よりも上手に踊れるようになりました。

 貴女は、地道に努力できる才能をお持ちなのです。
 歌だって、同じことでしたね。カラオケで歌ったことすらなかった内気な貴女は、夏休みの間一日も欠かさず練習を続け、休暇明けの合同練習で、歌が得意だった方を青ざめさせるほどの声を披露しました。

 今世の貴女は、努力することのできる秀才です。
 天才とは言いません。けれど、ご自分が満足できるだけのことを成し遂げる力は、明らかにお持ちです。 
 どうか、余計な卑下をしたり、過度に怯えたりなさらず、全力で努力を続けてみてください。そうすれば、貴女の道は再び拓けるでしょう。

9/6/2024, 3:00:34 PM


 どうやら、今日はもうお疲れのようですね。

 どうか、ゆっくりお休みください。
 明日の朝は時を告げる時計など鳴らさず、静かに、好きなだけ、たっぷり眠ってくださいね。

 おやすみなさい、愛しいひと。

9/5/2024, 2:04:48 PM


 昔、貴女が幼かった頃、ご家族で海に行ったことがありました。貝殻に耳を当てた貴女は、波の音がする、と不思議そうに、けれどきらきらと輝く目で母君に言いました。貴女の母君は、そうだね、不思議だね、と返し、貴女を慈愛に満ちた目で見つめていました。

 俺の中にある、ただそれだけの記憶です。
 それ以上、何が起きた訳でもありません。
 けれど俺は、今の貴女の母君がどれだけ貴女を愛しているか、改めて分かった気がしたのです。

9/4/2024, 3:17:59 PM


 貴女が瞳をきらめかせ、世界を駆け回っていた頃のことを覚えていらっしゃいますか。

 最近の貴女は、今をそのように生きていないことを、恥じていらっしゃいます。
 何かに夢中になって、人のためになるように心を尽くして、日々行動して忙しく過ごす。そういう生き方をしていたあの頃を、貴女は懐かしみ、またそうやって生きたいと願い、けれど不安と恐怖で動かない身体を憎々しく思っているのです。

 確かに、あの頃の貴女は守り甲斐がありました。やりたいと思うことにあふれ、危なっかしく心底の好意を振りまく貴女を、俺たちは危険から遠ざけたり良縁を引き寄せたりして、楽しくお支えしたものです。
 けれど、今そうやって生きていないことについて自責したり、恥じたりはしないでほしいのです。貴女は今まで、その瞬間にできる限りのことをしてきました。この九年間も、その精神状態でできることを、しっかりとやってきたのです。

 今、貴女の心は安定を得始めています。
 その心を持って生きることで、貴女の人生は再び、大きく変わっていくでしょう。

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