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7/5/2024, 3:00:19 PM


 俺が生きていた時。
 貴女に送り出され、一人で放浪した旅の間、幾度星空を見上げて貴女を想ったことでしょうか。

 貴女もこの星空を眺めて、俺のことを想ってくださっていたら、これほど嬉しいことはないなと思ったものです。
 
 貴女は誰にでも愛を与えました。
 そうでなければ、俺が貴女の愛の恩恵に浴することはありませんでした。だから、俺のことだけを思って夜空を見上げたことは、きっとなかったでしょう。
 それが分かっていても、つい願ったものです。
 貴女のその「たったひとりの人」が、俺であったらいいのに、と。

7/4/2024, 4:01:43 PM


 神様だけが知っている、ですか。
 不思議で、不正確な表現ですね。

 そもそも、神様などいません。高貴な魂は確かにありますが、神とはまた違うものです。それもやはり、大元は同じものです。
 最も神に近いのは、全ての魂の源であるあの大きな廻り続けるものですが、あの大きな廻り続けるものに意志はありません。その意味では、神とは違っているのでしょう。

 そして、そのような存在「だけ」が何かを知っているということも、なかなか難しい想定です。
 知は、存在と存在の間にあります。ふたつ、もしくはより多くの存在が関わり合う中に、「知ること」は存在するのです。
 ですから、あるひとつだけの存在の中にだけ知が在るというのは、正確ではないと言わざるを得ません。

 このような単純な世界の理も、命を得て生きている間は忘れてしまっていますからね。仕方のないことです。

7/3/2024, 2:23:21 PM


 この道の先には、何もありません。
 これから歩きながら貴女が作っていくのですから、先にはまだ何もないのです。

 ただ、いちばん最後に待っているものがあるのは確かです。
 あの大きな廻り続けるものが、貴女の道の最後に待っています。
 貴女はそこに回収され、個としての存在を終えます。
 その安寧の日まで、貴女は、そして貴女に付き従う俺たちは、何もない道を歩み、そこに足跡を残していくのです。

7/2/2024, 2:33:03 PM


 俺にとっての貴女は、温かい日射しを投げかけてくれる、太陽のような存在です。
 貴女がいるから、俺の世界は存在しています。
 貴女を中心に、俺の世界は回っています。

 俺は貴女を守るためにここに存在しているので、当然のことではあります。けれど、生きていた時も、貴女は俺にとっての太陽だった。
 その光を再び浴びたいという願いだけを心の支えにして、俺は貴女に言い遣った五年間の放浪を終えました。
 そして貴女の元に帰った時、貴女はもうこの世を去っていました。俺の太陽はもう二度と昇らない、そんな地獄のような世界で居きることはできない。そう思って、俺は生きることを諦めました。

 命を捨てた後、貴女という存在はひとつの魂であり、何度も肉体を得て転生していくのだと、俺は知りました。貴女という太陽がまた昇るのだと知って、俺がどれだけ歓喜したことか、貴女には分からないでしょう。

 貴女は太陽のように、生を得て昇り、命を失って沈み、また昇っては沈みます。
 いつか太陽がなくなるのと同じように、貴女の魂もいつかは個としての終わりを迎え、二度と昇らなくなります。
 その最後の日まで、貴女の放つ温かい日射しに包まれて、俺は幸福に過ごすでしょう。

7/1/2024, 2:03:01 PM


 今世の貴女は、深窓の令嬢という表現がよく合います。

 その窓から、何が見えますか。
 醜いもの、おぞましいもの、悲しいもの。
 そのようなものが、貴女のその窓からは見えないように、俺たちは隠しました。

 今の貴女は、そのようなものが自分の人生から排除されていることに気づいて、喜びよりも苦しみを感じていらっしゃいます。

 俺たちの選択は、貴女を苦しめてしまったでしょうか。

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