白糸馨月

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3/16/2025, 2:42:26 AM

お題『心のざわめき』

 友人が結婚すると聞いた時、心がざわついた。
 たしかに私くらいの年齢になると、結婚する人や子供を持つ人が増えていく。そのなかで私も彼女も現在付き合っている人がいなかったので、二人で今までどおり友人関係を続けていくものばかりだと思っていた。
「おめでとう!」
 とざわついている気持ちを表に出さないように精一杯お祝いした。普段頼まないワインまで頼んでそれはもう豪華に。
 でも、家に帰って一人になり、私一人だけが取り残されている気持ちになり今度は一人で缶チューハイを開けてやけ酒をすることにした。

3/15/2025, 2:03:29 AM

お題『君を探して』

 喧嘩して彼が出ていった。きっかけはささいなことだ。
 それが次第に口論に発展して、「もういい」と言って部屋を出ていった。
 最初はあんなやつとか、もう決別かとか思っていたのに時間が経つと彼のことが心配になってくる。
 時計は深夜0時を回ろうとしていた。
 僕は部屋を出て君を探すことにした。
 なんとなく行き先の検討はついている。近くの公園へ行くと、やはり彼がベンチに座って腰を丸めて俯いていた。
 僕は二つ分の缶コーヒーを買うと彼に近づいてあつい缶コーヒーを彼の髪に触れさせる。
「うわっ、あっつ!?」
 彼が顔を上げ、僕の顔を見ると気まずそうな顔をして俯いた。
「ここにいると思った」
 僕のそこ言葉に君は答えない。ふてくされるように視線をそらす。
 それを無視して僕は彼の隣に座った。
「……俺を探しに来たの? あんな喧嘩をしたのに」
「どうせ行くところないんでしょ」
 僕のその言葉に弱々しく彼は「うん」と返事した。その言い方がなんだかいじらしくなって僕は思わず微笑んだ。

3/14/2025, 3:43:18 AM

お題『透明』

 好きなアーティストのライブのチケット抽選に外れた。
 何度も何度もチャレンジしたけど、無理だった。
 ライブビューイングという方法もあるけどやはり生で見てみたい。
 ライブ会場前でプラカード持ってチケットを求めている人もいるけど、私はせっかく持ってる能力を奥の手として使う。
 ライブ会場に着くと、私は瞬時に自分の姿を消した。
 私は透明人間になれるのだ。
 開場が始まり、しれっと列にまざる。ライブ行ける人はスマホを見せてゲートを通過する。
 私もその流れに乗じてゲートを通過しようとして、ブザーが鳴った。
 あわてて駆けつける警備員。
「透明人間がいたぞ!」
 そう、これは透明人間検知ゲートだ。チケット抽選に外れた輩が紛れ込むのを防ぐために作られたもの。
 私は一目散に逃げた。やっぱりライブはちゃんと抽選に当たったり買えたりした者だけが参戦できる特権だ。
 でも、でもさぁ、ライブ行きたいじゃない?
 私は外に逃げ出した後、諦めきれず外から漏れる音を聞き続けていた。参戦できない悔しさと、音漏れするライブの様子が楽しそうで私は思わず鼻水を垂らしながら涙を流した。

3/12/2025, 3:36:57 PM

お題『終わり、また始まる』

 私がこの「書く習慣」を始めてそろそろ一年が経とうとしている。このアプリ、一年経ったらどうやらまた同じお題を繰り返すらしい。そうネットに書いてあった。
 はたして本当にそうなのか。
 そこでふと、ACジャパンのCMを思い出してしまった。
「証拠はある。知らない人がXで呟いてるんだよォッ!」って言いながら取り調べする刑事の存在を。
 ネットの情報をたどらず真実は自分の目で確かめるのが一番いいのだ。きっとそうに決まってる。

 それにしても、自分はこのアプリで一年もほぼ毎日書き続けたことになる。意外と続いていることに自分自身驚いている。

3/11/2025, 4:24:01 PM

お題『星』

 初めて行くお店を選ぶ時、食べログやホットペッパーなどの星の評価を基準にしている。
 正直言うと、星が三つのものでも私にとっては異常に料理の味がはまり、リピートすることがある。
 だが、初めて行くお店というのは、おすすめを聞いたところで味のイメージが出来ず、そこで活用するのがお店検索アプリの星の評価である。
 ちなみに目に見える星の評価で「アァ、あのお店星二つだ。もうすし評価が高いお店あるかな」と素通りされてしまうのはお店としては気の毒だなと思う。私は評価が可視化される世界で生きている人のことを無条件に尊敬するのだ。

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