お題『まだ見ぬ景色』
旅行は楽しい。
ガイドブックやら、観光サイトの写真を見て「うわぁ、きれい」と思っても実際に足を踏み入れ、景色を目の当たりにするとまた違った感想が産まれる。
一つの旅行が終わったら、『次はどこへ行こう』とまだ見ぬ景色に思いを馳せたりするのも楽しい。
お題『あの夢のつづきを』
気がつくと、俺は高層ビルの最上階にいた。その広い場所は俺の家らしくて、上から見下ろす景色がミニチュアみたいに小さい。それに運河が見える。それにまわりには美女が何人もいる。全員俺の妻らしい。
普段、女性からキモがられがちだが俺が近づかずとも向こうから近づいてくる。それにいきなりシェフが現れたかと思うと大きなオムライスを出してくれる。
こんなきれいな場所で、美女がいて、おいしい食べ物にありつけて、しばらくそれを堪能したいと思っていた。
だが、気がつくとなんの変哲もない天井が目に入る。部屋はせまく、めんどくさくなって放置したカップラーメンの器がはしの方に積まれているのが見える。もちろん美女はいない。料理を作ってくれるシェフもいない。
現実に絶望した俺はもう一度目をつむって、夢の続きに行こうとしたが、いくら待っても眠気がくることはなかった。
お題『あたたかいね』
急いで家を出たらマフラーを忘れた。一生の不覚。おかげで首元がめちゃくちゃ寒い。
そんな時、後ろから友だちが「おはよー!」って声をかけてきた。友だちの首は長くてあたたかそうなマフラーに巻かれていた。そのおかげで友だちのちいさな頭が埋まってしまうんじゃないかと思うくらいに。
「おはよ。ってか……うぅ、さっぶ……」
と震えていたら友だちがマフラーを外して私の方にかけてくれた。突然のことに驚いていると、友だちがにこっと笑って
「これであったかいね」
と言った。ほんとだ、たしかにあったかいし、私にもマフラーをかけた状態になると友だちの頭が埋まって見えなくなる。
「ほんとだね」
私は内心友だちの優しさにときめいているのを隠して、しばらく友達とマフラーで二人三脚みたいなことをしながら学校へ向かった。
お題『未来への鍵』
またGemini芸人になってみる。
最初は、いつも通り短い小説を書こうと思っていた。Geminiにネタ出しを手伝ってもらいながらその中から書けそうなものを見つける。
だが書き始めたら、どうも自分の中で腑に落ちない部分が出てきてしまった。
そこで私はふとある考えにたどりつく。
『Geminiを使ってネタ出ししてもらいながら小説書くのって今の時代に合っているのでは?』と。
今まではネタ出しするにしても結局自分一人でやるしかなかった。だがそれをGeminiにやってもらうことで、世間的にウケが良さそうなネタを見繕ってくれる。自分ひとりで考えなくて済むのだ。
ようやく未来への鍵が入った気持ちで今はいる。
お題『星のかけら』
物心ついた時からぼんやり光るかけらを持っていた。そのかけらは「星のかけら」といい、お母さんから「それは運命の人に出会うまで、ずっと持っていなさい。決してなくさないように」と言いつけられていた。
それが納得できなくて、私は時折わざとそのかけらを簡単に見つからないであろう場所に置いておいた。運命の人は私の手で見つけるって思っていたから。
だけど、やはりかけらの存在が忘れられなくて必ず見つけ出してしまうことに複雑な思いを抱いていた。
なくしてしまおうにもなくせず、いつしか形見放さず持ち歩くようになったある日、大学から家に帰ろうかと思った矢先、かけらがひときわ強く輝きだした。
どういうことだろう、と思って顔を上げると、私と同じようにかけらが強く輝き出した男性の姿があった。
目が合ってさっかくした。彼こそが運命の人だと。
私たちはひかれるように近づき、それとなく挨拶を交わした。
何年か経って、その運命の人は今は私の夫になっている。最近、娘が産まれた。その子の手には光り輝くちいさな星のかけらが握られていた。