お題『終わらせないで』
かつて私はこのアプリをやる前、『小説を書きたいのにネタがない』という悩みにぶちあたっていた。
好きで好きで仕方なかった(今も現在進行系で好き)コンテンツのBL二次創作をしていて、五万字近くの自分としては大作を書ききってしまった後、ふと、書きたいものがなくなってしまった。
私は焦った。
「書きたい。書きたいけど他人から受けそうなネタがない」
そこでインターネットの海を泳いで、「ネタがない時」で検索をかける。そこには「書きたいものがなければ書かなければいいじゃない」という言葉があって絶望した。
どうすればいいんだと思い悩み、投稿サイトへ行って、単発企画に参加してはあまりの読まれなさに絶望して、横のつながりを持って義理の評価をし合っている人たちを「ケッ」と思いながら見つめて、「なんとかならないかなぁ」といろんなSNSに参加したりした結果、ここを見つけることが出来た。
このアプリは毎回お題が出て、それについて書くことが出来る。それにたくさん評価をいただけている。このSNSぴったりだなぁ、一年は途切らせないようにしようと目標に決めて続けている。
相変わらず書きたいネタみたいなものはまったく思い浮かばないけど、「毎日書いてる」というのが自分にとっては精神安定剤みたいなものになっているのだ。
お題『愛情』
私のゴミみたいな処世術。
今付き合っているべつに好きでもない恋人に対して、「好き」「愛してる」と言ってわざと気持ちを高める。本当にこれだけ。
べつに好きではないんだけど、かといって別れる気はない。タイプではないけど周囲から「イケメン」って言われてるし、学歴は高いし、年収も高い。彼は私を愛してくれているらしい。
だけど、私は愛というものを知らないで育った。
もう絶縁してる支配的な親から自分の思い通りに私が育たないと暴力をふるうか泣いて騒がれたりしたし、いじめられてきたから友達の作り方なんてわからない。
大学になって、一人にようやくなれて、そんな中で私はあるサイトで見た「行動から感情がわきあがるもの」というものを実践して、どうにか人間関係をうまくやり過ごすことが出来るようになった。好意的な言葉を他人に言い続けたり、優しくしたりすれば嫌に思う人はいないらしいということを知った。
今の恋愛も言霊に乗せて自分の気持ちを高めることで実践している。
自分でもクズだと思う。だけど仕方ないじゃん、私はこんなことでしか人を愛する方法を知らないんだから。
お題『微熱』
熱を測ったら三十七度ちょうど、微熱だった。
真面目な会社員であれば無理してでも会社行くんだけど、私はそうではない。
内心意気揚々と直属の上司に申し訳なさ満載の文章で「本日は体調不良のため、休ませていただきます」とメールを送った後、ベッドに寝転がって止まっていたソシャゲのメインストーリーを読み進めようとした。
だが、しばらく読んでいるうちに目が痛くなり、それどころか体もだんだん熱くなっていく。なんだかもうゲームをやる気にはなれず、水を片手に寝ていたいと思うようになった。
ふと思い立って熱を測ると、三十七度八分に上がっている。
「だめだぁ……」
布団から這うように出て薬を飲むと、遊ぶ気にもなれずにそのまま泥のように眠りについた。
お題『太陽の下で』
友達と学校から出たら外がとんでもなく寒かった。それでも膝より上の短い丈のスカートをはく私たちにはどうしようもない。なんでうちの学校は靴下まで学校指定のもので、せめてタイツじゃないんだろうと思う。スラックスだってはいていいってなっていいと思う。
そんなことを考えてると、となりにいた友達が白い息を吐きながら言った。
「あのさぁ」
「ん?」
「連想ゲームしない?」
「なんで?」
「寒すぎるからせめて、夏を感じたい」
「えー、でも今年の夏すごく暑かったじゃん」
「じゃぁ、そこまで暑くなってない想定で」
「なにそれウケる」
しばらく笑った後友達が「太陽」と呟いた。
ここで「かんかん照り」と答えたら、今年の汗が止まらない暑すぎる夏を思い出す。それは嫌だなと思って
「海」
と言った。それから
「砂浜」
「水着」
「ボール」
「浮き輪」
と続いて、ふと友達が「外国人」と答える。
「なんで?」
思わずつっこむと、友達が
「なんか、海行きたくなってきた」
「でも、なんで外人?」
「ハワイだよ、ハワイ」
「あぁ」
そんなやり取りをしてたら、本当に海、いや、ハワイに行きたくなってきた。その考えを見透かしてたのか友達が言う。
「うちらさ、大学になってバイトできるようになったらさ。ハワイ行こうね」
「なにそれ、ずいぶん先」
「うちの学校、バイト禁止じゃん」
「うわー、校則が厳しいのマジでしんどーい。はやく大学生になりたーい!」
「うちら受験勉強あるよ」
「うげぇ」
勉強が嫌いな私が心底げんなりしていると、不意に友達が
「現実逃避」
と呟いた。
「えー、別に良くない?」
「連想ゲーム、連想ゲーム」
「あっ、そか……えと、旅行」
「飛行機」
「グアム」
そんな感じで、できるだけあったかそう……いや、暑そうなものを思い浮かべながら私達は連想ゲームを友達と途中で別れるまで続けた。
お題『セーター』
冬になると、家の中ではセーターしか着ない。ただおしゃれなセーターを持ってないので、外では無難に見えそうなカシミヤ生地の服を着て、会社行ってもおかしくないパンツを履くんだけど、家に戻ると秒でセーターに着替える。
足下までセーターっぽい靴下をはいてこたつの中に入る。
冬が苦手すぎる寒がりは、こうやって冬は引きこもりがちになるんだ。