白糸馨月

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5/6/2024, 11:28:29 PM

お題『明日世界が終わるなら』

「なぁ、明日世界が終わるならどうする?」

 放課後の夕日が沈みかけてる学校の屋上。友達からそんなことを聞かれたから、「急にどうしたんだよ」と返した。

「昨日アルマゲドン見てたら、ふとそんなこと思っちまってさ」
「映画の影響受けすぎじゃね?」
「ま、そうなんだけどさ。で、どうなのよ?」
「あー……そうだなぁ。いつもと変わらず過ごす」
「なんでよ」
「だって、どうやったって世界が終わることなんて抗えないじゃねぇか。なら、いつも通り過ごすしかないと思うんだ。んで、そういうお前はどうなんだよ?」

 逆に聞いたら友達が空の遠くの方に視線を向けた。

「俺は、好きな奴に告白するかな?」

 そんなこと、初めて聞いた。

「えっ!? お前、好きな奴いんの? 誰?」
「おしえねーよ」
「なんでだよ。俺には教えてくれたって」
「出来ればこの想いは、墓場まで持っていきたいから」

 そう答えた友達の顔がどこか寂しそうで、俺はこれ以上聞くに聞けなかった。正直、高校に入って以来三年間ずっとつるんできた友達だ。教えてもらえないことにすこしの寂しさを感じつつ、いくら友達といっても踏み込んではいけない領域ってあるんだなと感じた。

5/5/2024, 8:59:48 PM

お題『君と出逢って』

 日常に退屈していた時にYoutubeの動画をなんとなくいろいろ見ていたら君と出逢った。
 たまたま聴いたドラマトラック。君は顔が良くて、見た目が少年みたいに可愛いのに裏の顔がイケメンというかっこいいギャップがあって、それを聴いた次の日、気がついたら君が出ているドラマトラックが入ったCD全巻分が私の手元にあったんだよね。
 君と出逢ってからの世界は華やかになって、君について考えることが毎日楽しくて、いつの間にか数年が経った。
 今も相変わらず君が出ているコンテンツを推していて、ずっと楽しいまま。これからも推していきます。

5/5/2024, 6:51:10 AM

お題『耳を澄ますと』

 僕には秘密の日課がある。自分の部屋の壁に耳を押し当てて、となりに住んでいる女性の生活音を聞くことだ。
 彼女との出会いは、つい一ヶ月前。何ヶ月かあいていたとなりの部屋から物音がするようになって、僕は興味本位で外にでて確かめると、そこには女性がいた。その人は僕なんかににこやかに挨拶してきた。その時、僕の心に恋の花が咲いた。
 しかし、僕には恋愛経験がなく、女性にアプローチする勇気もない。だからこうして、女性の生活音を聞くしか無いのだ。そうすることで、僕は彼女との生活を妄想していた。

 だが、ある日、となりから怒号とともに強い音が聞こえてきた。いつものように壁に耳をあてると、男の怒号とあの人の『やめて』という悲鳴が聞こえてくるではないか。
 僕は、じっと壁の一点を見つめた後、意を決して壁を強く叩いた。何度も何度も強く叩いた。
 すると、一旦音がやむと、しばらくして今度は僕の部屋の扉になにかを強く叩きつける音が聞こえてきた。
 僕はとっさにキッチンから包丁を持ち出して扉を開ける。
 目の前に強面の金髪のヤンキーみたいな人が立っている。後ろで隣人さんがあざだらけの顔をしながら、彼に叫んでいた。だがヤンキーは意も介さず、

「テメェ、うるせぇぞ!」

 と僕に凄んできた。僕はとっさに包丁を向ける。

「う、ううう、うるさいのはお前の方だろおぉぉぉぉ!? か、かか、彼女をいじめたらぼ、ぼぼ、僕がお、おまえをこ、こここ、殺してやる!!!!」
「おいおい、どもりながら言っても怖くねぇんだよぉ!」

 ヤンキーが前に出たから僕は、わめきながらやけになって包丁を振り回し始めた。ヤンキーはさすがにビビってちょうど来たエレベーターに乗って下へ降りていく。守ろうとした隣人さんも下着姿にあざだらけの顔、体でエレベーターのとなりの外へ出られる扉を開けると彼を階段をくだって追いかけていった。
 僕は、その場にへたりこむ。思わず乾いた笑みが出てきた。

5/4/2024, 4:53:38 AM

お題『二人だけの秘密』

※BL

 高校生の時、付き合っている人がいた。そいつと付き合ってることは、友達だけじゃなくて、家族にも言ってなかった。
 ある時、人がいないのをいいことに桜の木の下を歩きながら二人手を繋いでいたら、担任に見られた。今考えれば、その教師は無口で授業以外誰かと話している姿をあまり見たことがなかったから俺達の関係が吹聴されることはないと思うが、その頃はひたすら俺の、俺達のクラスでの立ち位置が崩れていくのが怖かった。
 お互い、噂の種にならないよう、いじめられないようそっと離れるようになった。

 だが、東京に出て何年か経った今、偶然かつて付き合ってた人が目の前にいるのを見た。俺はなにも話しかけずに去ろうとしたが、

「久しぶり」

 と声をかけられた。相変わらずすらっと背が高くて、都会に出て洗練された大人に成長している。
 俺はなんだか、泣きそうになって彼のもとへと駆け寄った。

5/2/2024, 12:47:01 PM

お題『優しくしないで』

 悩ましいんだよな。今、婚活をしてるんだけど優しくされたら普通嬉しいじゃない。
 だけど、その優しくしてくれる相手の見た目が好みじゃないと、どうもその人からの好意をすんなり受け入れられない自分がいる。いや、これはイケメンでもそうか。
 大して知らない人からの好意はどことなく気持ち悪い。優しくしてくれるのも、下心を感じてしまう。
 だから、優しくしないで最初から汚い素を出して欲しい。そうすれば、判断出来るから。

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