白糸馨月

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お題『明日世界が終わるなら』

「なぁ、明日世界が終わるならどうする?」

 放課後の夕日が沈みかけてる学校の屋上。友達からそんなことを聞かれたから、「急にどうしたんだよ」と返した。

「昨日アルマゲドン見てたら、ふとそんなこと思っちまってさ」
「映画の影響受けすぎじゃね?」
「ま、そうなんだけどさ。で、どうなのよ?」
「あー……そうだなぁ。いつもと変わらず過ごす」
「なんでよ」
「だって、どうやったって世界が終わることなんて抗えないじゃねぇか。なら、いつも通り過ごすしかないと思うんだ。んで、そういうお前はどうなんだよ?」

 逆に聞いたら友達が空の遠くの方に視線を向けた。

「俺は、好きな奴に告白するかな?」

 そんなこと、初めて聞いた。

「えっ!? お前、好きな奴いんの? 誰?」
「おしえねーよ」
「なんでだよ。俺には教えてくれたって」
「出来ればこの想いは、墓場まで持っていきたいから」

 そう答えた友達の顔がどこか寂しそうで、俺はこれ以上聞くに聞けなかった。正直、高校に入って以来三年間ずっとつるんできた友達だ。教えてもらえないことにすこしの寂しさを感じつつ、いくら友達といっても踏み込んではいけない領域ってあるんだなと感じた。

5/6/2024, 11:28:29 PM