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2/26/2024, 8:36:34 PM

太陽のごときまばゆさでわたしを照らすひと。わたしに嫉妬という感情を与えたひと。羨望の視線はかの人へ届くよりはやく焼き尽くされ、焦げついたにおいに気づかれぬよう地を這うて逃げ出すほかない。お前さえ、お前さえ現れなければ。ひかりの届かないところまで行ったとて、あの忌まわしく輝きひとを疑わぬ笑みを惜しまず向けてくるあいつが、結局わたしの頭の中を占めている。


// 君は今

6/7/2023, 6:35:01 PM

もうここで生きてはいられないの、と俺を悲しませないためだけの笑顔の下に、隠せてるつもりでいる苦しみに気づかれてないってほんとうに思っているなら君はとんだ臆病者だ。君の生きている狭くて小さなここを飛び出して、誰にも知られないところに逃げる覚悟も準備も俺はとっくに終わらせてるんだから。だから、俺の手を取って、


// 世界の終わりに君と

3/15/2023, 7:16:09 PM

大きな目から、堪えきれずに涙がぽろぽろとこぼれていく。綺麗だと思った。慰めるための言葉を一番最初にかけてあげる権利をきみからもらったのだと考えていたけど、まばたきの度にやわらかな曲線の上を流れては固く握られた手に落ちあっけなく散る涙に、目眩がしそうだった。きみの王子様は僕の役目ではないみたいだ。


// 星が溢れる

1/20/2023, 8:25:31 PM

電気の消された部屋の中にエアコンの稼動音だけがあった。ほかに人のいない、静謐な空間に揺らぐ厚いカーテンの合間から、月明かりがちらちらと差し込む。岩陰から水面より上を夢見る気分だった。月が水面に落ちてまやかしてくれるように、どうか手の届くもののふりをしてはくれないだろうか。座り込んだ傍らに落ちた白い明かりに触れると、ひどくあわれな気分になった。


// 海の底

1/14/2023, 7:59:31 PM

お互い誰かと付き合うまでは一緒に遊ぼうか、なんて楽しそうに笑ったあなたに心を奪われっぱなしなのに。知らない人の隣で笑うあなたを想像して、私はやけになって恋人を何度も作ったのに。勘違いでもいいから、聞きたくなるよ。何度もフラれる私を、何回もひとりで迎えてくれるあなたを見てると、


// どうして

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