ここにある
なぁ、ワイのスマホどこにあるか知ってる?
あぁ、ここやで。
ここって何処?
ここはここや。
なぁ、何処なん...
もう一歩だけ
僕は6歳なのにまだ歩けなかった。
お母さんにはいつも何故か嫌そうな表情をされる。
今日も歩く練習。
もう一歩...もう一歩と歩こうと僕はしているのに何故か歩き出せない。
お父さんはそんな僕を見て小馬鹿にしているような表情。
どうして?
僕が歩けないとお母さんもお父さんも僕の事を嫌うの?
僕はそんなの嫌だ!と思い頑張って立ち上がる。
僕は...右足を前に出して頑張って歩き出そうとする。
お母さんとお父さんはそんな僕を驚いているような表情で僕を見る。
あと...あともう一歩だけ!
そして...僕は歩き出せた。
けれどすぐに倒れこんでしまった。
お父さんとお母さんの表情を見てみると...あれ?どうして?どうしてそんな風に僕を見つめるの?
お母さん...お父さん...僕を嫌いにならないで?
足音
一人暮らしの家
一軒家
7畳の部屋で、一人眠ろうとしている
私以外誰もいない家
そんな家に今...足音が聞こえてきた
ドスッバタッ
結構ガタイのいい人が歩いてそうな音
足音が大きくて大きそうな足の裏の音
息遣いの太さがとても男性を感じるような息遣い
近くに来た足音がさらに近づいてくる
怖くて私はついスマホの電源を切って眠ったフリをする
けれど足音は近くなっていくばかりだ
足音の人物は私の布団をめくりあげた
不審者のキツイタバコの臭いが私の鼻に降りかかるようにくる
その臭いに息が詰まり、咳が出てしまった
低い声で言われる
「お前寝てるフリしてるの分かってるぞ?」
恐怖で目を開いてしまう
足音の人物は黒いマスクをして全身黒い服装
一重で切れ目だからか、恐怖が増す
終わった
そして最後を迎える気持ちで覚悟をし、私は立ち上がる
元々握っていたスマホをそのまま持って逃げ出す。
慌ててしまったせいで少しだけ躓く
冷静に...冷静にならなくちゃ
振り返らないようにして鍵を棚から取り出す
サンダルを履き玄関を出る
ドアの鍵を閉める
一応、ベランダから逃げ出すことも想定して2階のベランダの方を見つめながらドアの前で警察に電話する
掛かったことを確認した瞬間私は慌てて、警察が言葉を発する前に声を張り上げて言う
「助けてください!不審者が…不審者が!」
「それ以上何も言わないでください。直ちに向かいますね」
電話の切れる音がする
少し安心して気づく
私から潮のような汗の匂い
全身鳥肌が立ち、肌がブツブツしている
きっとずっと涙が出ていたのだろう
顔面の肌が少し乾燥している気がした
涙が口に入ってしょっぱい味がする
それに手や足まで小刻みに震えている
とにかく、と私はベランダを見つめながらお祈りするような仕草でお願い、早く来て...
遠くの空へ
「由奈!これから…ずーっと親友だからね!」
「うん!ずーっと親友!」
私達はお互いに笑顔で言う。
そして窓の前に経って、さっきお互いの名前を書いた紙飛行機を遠くの空に飛ばす。
私達はずっと親友だ
言葉にならないもの
あっと驚いて衝撃すぎて…いつの間にか感動で泣いていた
そんな風景
言葉にならないもの
友達と遊んでいたある日…
「沙耶!今日はね…特別な場所に行こう」
「え?!急になんで?」
「とにかく…ついてきて!車で送るから!」
「え?!今?」
「うん!早く早く!」
私の腕を無理やり引っ張って、外に連れ出す。
外に出た瞬間真夏の暑い紫外線が私の肌を攻撃する。
友達の奈々が車に私を突っ込むように乗せる。
「ちょっと…痛いよ…」
奈々は私がそういうと苦笑いをして運転席に向かった。
謝らないんかい…
そして運転席の扉が開いて奈々が乗ってくる。
「飛ばすよ!」
「え?!危ないよ…」
「大丈夫大丈夫!ここはド田舎だから」
そういう問題じゃないよ…
そしていつもよりもスピードを出して、車が走り出す。
走っている途中、スピードが段々落ちて遂に止まってしまう。
「あ〜、ガソリン切れちゃったか…仕方ない、今から歩こう!」
「え〜そんな無茶な事言わないでよ」
「大丈夫ここから後、40分で着く!」
「40分…結構あるじゃん」
私は無理やり足を上げて歩き出す。
まさか歩かされるなんて思っても無かった…水筒持ってきてないから暑いし喉がカラカラ…
奈々に支えてもらいながら、ようやく目的地らしき場所に着く。
「ねぇ…ど…」
私は何処に用があるの?と聞く前に声が出なくなる。
息をするのも忘れるくらいに綺麗な景色。
草原が太陽の光を反射させて、まるで雨上がりの様に緑が輝いている。
風が私に向かってくる。
その瞬間、草と土の自然豊かな匂いがふわりと香る。
静かな風が草原をサラサラと音を立てている。
蝉の鳴き声がいつもうるさくてたまらないのに、この景色に音楽を流してくれているかの様な綺麗な蝉の鳴き声。
凄い…綺麗…ヒンヤリとした風が私の汗を流してくれる。
「凄いでしょ?これを見せたかったの。昨日ドライブに行ってたら突然この景色が見えて…衝撃で言葉も出なかった」
奈々が笑顔で私にそう言う。
奈々の存在さえも、この眩しい太陽と草原にマッチして眩しい美少女そのものだ。
私はいつの間にか感動で涙が溢れていた。