足音
一人暮らしの家
一軒家
7畳の部屋で、一人眠ろうとしている
私以外誰もいない家
そんな家に今...足音が聞こえてきた
ドスッバタッ
結構ガタイのいい人が歩いてそうな音
足音が大きくて大きそうな足の裏の音
息遣いの太さがとても男性を感じるような息遣い
近くに来た足音がさらに近づいてくる
怖くて私はついスマホの電源を切って眠ったフリをする
けれど足音は近くなっていくばかりだ
足音の人物は私の布団をめくりあげた
不審者のキツイタバコの臭いが私の鼻に降りかかるようにくる
その臭いに息が詰まり、咳が出てしまった
低い声で言われる
「お前寝てるフリしてるの分かってるぞ?」
恐怖で目を開いてしまう
足音の人物は黒いマスクをして全身黒い服装
一重で切れ目だからか、恐怖が増す
終わった
そして最後を迎える気持ちで覚悟をし、私は立ち上がる
元々握っていたスマホをそのまま持って逃げ出す。
慌ててしまったせいで少しだけ躓く
冷静に...冷静にならなくちゃ
振り返らないようにして鍵を棚から取り出す
サンダルを履き玄関を出る
ドアの鍵を閉める
一応、ベランダから逃げ出すことも想定して2階のベランダの方を見つめながらドアの前で警察に電話する
掛かったことを確認した瞬間私は慌てて、警察が言葉を発する前に声を張り上げて言う
「助けてください!不審者が…不審者が!」
「それ以上何も言わないでください。直ちに向かいますね」
電話の切れる音がする
少し安心して気づく
私から潮のような汗の匂い
全身鳥肌が立ち、肌がブツブツしている
きっとずっと涙が出ていたのだろう
顔面の肌が少し乾燥している気がした
涙が口に入ってしょっぱい味がする
それに手や足まで小刻みに震えている
とにかく、と私はベランダを見つめながらお祈りするような仕草でお願い、早く来て...
8/18/2025, 12:25:50 PM