やさしさなんて
私の事を沢山の人が歓迎してくれたバイト先
私が転校した時に1番に話しかけてくれた友達
不安だった気持ちを慰めてくれた友達
相談事を優しく聞いてくれた友達
皆優しいな...
そんなことを考えながら毎日学校
その後にバイト先に出勤
今はバイトをしている途中だ
私のバイト先はマクドナルド
とてもキツくて、大変だけど皆が優しくて皆支え合って働いている
現在私がお客様の注文を聞いていると、はっきりと聞こえてきた私の名前
厨房の方から聞こえてくる
私は注文の内容を全て聞き取らないとイケナイので、集中してお客様が言うメニューを聞いているけど...
ある言葉が気になって私は完全に厨房の方に集中してしまう
「アイツさー、仕事出来てないよね」
「それな、毎日優しくしてるからって調子乗り過ぎだよね」
「なんかさいつも思うけど、社長なんであんな奴雇ったの?って感じ」
「それな!」
「良いところ何も感じられないもん」
「マジできもいわ」
まるでお客様全員に聞いてと言っているような、耳障りな大きな声で言っている
いつも私に話しかけているような声とは別人のような怒り口調の声で言っている
仕事が成功すると自分のように喜んでくれた
涙が出そうになるが堪える
何故だか寒さが一気に私を襲うようだ
私の事を陰でそんな風に思ってたの?
私が1つでも仕事をこなすと大袈裟なくらい褒めてくれた
私が何か失敗をしても頭を撫でてくれたりしてまで慰めてくれた
何もしてないよ
私はただ言われた事をして、自分で仕事を見つけて...
社長だってお前は出来てるって言ってくれた
全部嘘だったの?
嘘つかないでよ
出来てないならちゃんと出来てないって言ってよ
するとこんな内容が入ってくる
「やめなよ、陰口しか言えないの?言いたいんだったら直接言いなよ。そういうの私は良くないと思うけど」
優しい人...だな
けれど...
「でも正直私もアイツはないわ」
「え?!やっぱりそう思う?」
「うん、だってキモイもん、社長から可愛がられてるじゃん?何がいいのって思うよね」
「ガチでそれな」
「アイツだって言われた事しか出来ないじゃん、笑顔気持ち悪いし」
私は堪えていた涙が一気に溢れ出す
なんだ...
そっか、優しさなんて...
この世には...無いんだな
泡になりたい
私は海に居る
属に言う人魚
陸にいる人間には人魚がどういう風に見えているのだろうか
安らかで楽そう、泳げて楽しそう、息が出来るのだろうか、とか思ってるのかな...
まるで夢のようなどを思ってるのだろうか
実際マーメイドはそんなに楽しくない
楽でも、安らかでもない
それじゃあ、なんなのか
ただ辛い海の生物
では何故そう思うのか
毎日サメから逃げて、私よりも大きな魚から毎日逃げるのが普通
そんな生物を避けながら毎日食料探し
サメなどに見つかってしまえば、終わりだ
即死だ
それに加えてイジメ
陸にいる人間はイジメとかあるのかな...
私は思う
1番楽なのは泡では無いのか
泡は何からも逃げなくても良い
何をしなくてもいい
ただ上へと上へと向かっているだけ
食料なんかいらない
食料なんか探さなくていい
陸にいる人間からねらわれない
イジメられない
何も考えなくていい
自由だ
私は...私は...泡になりたい