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12/20/2024, 9:36:33 AM

『幸せな子供を見ると、とってもラッキーなことが
 起きるらしい』とは、最近よく耳にする噂話だ。
それが『子供だけでもそうであれ』という夢物語なのか、『そんなことはありはしない』という皮肉なのかは、果たして定かではない。
氷すら区別出来ない路地裏では関係のない話だと、嘯いた奴はこの間凍りついて消えていた。
そも幸せなんてこの世界に有ったろうか、ソレはどんな形をしているのか。
例えば、そう、表通りを行く、小さな背の。
温かなコートと帽子に埋もれた、小さな影の。
両隣を歩く大人と繋がれた、小さな手の。
子供が。
赤い頬をした子供が。
黒い眼をした子供が。
視線の合った瞬間に笑って、後ろに呼び掛けて。
「……あ、あぁ」
弾かれたように走ってくる大人が二人。
何処かで見たような顔の、
何処かで聞いたような声の、
自分によく見るような色の、
大人が二人、手を伸ばして、


路地にはよく貧民の死体が転がっている
今日も昨日も転がっている
幸せそうに笑った子供が一人
けれど誰にも見返られずに

‹寂しさ›

12/19/2024, 6:00:47 AM

机があるなら布団を置いて
こたつがあるなら蜜柑とお茶
いやいやそこはアイスじゃない?
お鍋と〆でしょ御冗談
のんびりテレビとゲームが至高
うたた寝読書がお幸せ
どやどやわらわら争い尽きねど
誰もおこたから出てかない

‹冬は一緒に›


今となってはどうでもいいけど
あの人を好きなのは君だけじゃないんだよ
今となってはどうでもいいんだ
あの人に君がいるからね
でもね だからね
「どうでもいいこと」って言わせてね
「どうでもよくない」って思わせないでね
あの人を悲しませるような
そんなことはしないでね?

‹とりとめもない話›

12/16/2024, 1:57:37 PM

7つ前までは神の内、
昔の子供の死亡率を、謳ったものとか違うとか。
「残念でした、7つはとうに過ぎたよ」
覗き込んできた死神に、意趣返しと舌を出す。
熱に霞む視界の中、ソレは僅かに首を振り、
 の を指差した。

‹風邪›

12/15/2024, 11:16:17 AM

雪が好きだった
それが自身の姓名に拠る物かは知らないが。
静かに、或いは嵐のように降り積もる、
冷たくやわらかな白が好きだった。

青く青く晴れ渡った快晴を睨めども
灰雲が覆うにはまだ暖かく。
景色の全てを覆う白を
今日ほど望む日は無かったのに。

‹雪を待つ›

12/14/2024, 1:28:36 PM

空を光が駆け上り
見る間に絵を描いていく
どこの家も街路樹も
華やかに彩られ輝いている
そう楽しそうに指をさす
その視界を覆うゴーグルは
全て善いモノへ変える色眼鏡
知られぬまま葬られる惨状を
どうか最期まで知らぬままで

‹イルミネーション›

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