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6/29/2024, 9:32:05 AM

音が聞こえる

セミの鳴き声
草葉のざわめき
気化する打ち水
軽やかな風鈴
喚く室外機
賑やかな歓声
滴る汗
封切られたボトル

音が聞こえる
生命賛歌の音
命限りに叫ぶ音

あるいはこの季節を
超えられぬ音がする

‹夏›


家の扉を開けたら冒険の始まりで
魔王になって倒されたかと思ったら
王城で勇者の誉れを受けた
小さな隙間には四つ足の猫になって
伝説を確かめに空駆ける龍になる
穴に落ちたら学校の帰り道
一人の筈がナニカに追われ
車の下に隠れ逃げたら
オープンカーで海風を受けた
てんでバラバラめちゃくちゃで
怖くてびっくりすることもたくさんで

目を開けたら全部砂絵のスクリーン
脳味噌は現世をなんだと思ってるんだか

‹ここではないどこか›

6/27/2024, 9:19:34 AM

桜吹雪に霞みゆく君に
消えないでと髪を引いた
向日葵畑に隠れる君に
行かないでと袖を引いた
色付く葉々に迷う君に
一人にしないでと裾を引いた
白い無音に溶ける君に
一人で行かないでと足を引いた

でも
二度と戻れぬ覚悟をさせてしまうなら
飲み込んだ恐怖が笑顔を形作るなら
硝煙と血香の中で相対するくらいなら

甘ったるい我儘なんて噤んで
空が青く世界が美しい内に
この手を離すべきだった

‹君と最後に会った日›

6/25/2024, 10:40:56 AM

触れれば散る様な儚さであれば
君は隣にいてくれただろうか
見えずとも明白な馨しさがあれば
君は隣で安らいでくれただろうか
甘く満たす果を粉を振り撒けたなら
君は隣で笑ってくれていただろうか

それでも私は凛と立つ
嵐にも折れぬ万年花
緑の影に誰をも守る
強く鮮やかな花でありたい

‹繊細な花›

6/25/2024, 9:12:01 AM

「あの日だって、最後まで楽しくて」
「でも在り来りに色褪せる思い出になると」
「……思ってたんだよ、馬鹿」

‹1年後›


眩しく温かな未知と
ちょっとだけ暗く怖く
美味しい楽しさと
苦手な嫌い
痛むような暑さ寒さも
柔らかな影に隠れて
伸ばされる手の柔らかさに
愛し合いされること

素敵な世界だと
思ってた

‹子供の頃は›

6/22/2024, 1:59:03 PM

ぺたりと机に頬をつけた。
窓から降り注ぐ日差しと賑やかなグラウンド。
目を閉じていれば今にも、
君がペン先で突付き起こしてくれそうな。
そんな柔らかな昼下がり、

だったら。

がらんとした教室で
荒れ放題の教室で
取り止めなく独り夜を待つ
太陽光に燃え尽きる人たちを
その悲鳴に耳を塞いで

‹日常›


「夜みたいな色が良いの」
「暗いけど澄んでいる、重たくて華やかな色」
「それを」
「何という名で呼ばれ括られているのか」
「私にはどうも分からないけれど」

‹好きな色›


「愛ってなんだろう」
「守り支えるってなんだろう」
「君の為に何が出来るだろうって」
「この間まで何にも悩まなかったのにさ」
「一人なら何でもなかったのにさ」
「笑ったり泣いたり、楽しそうだったり」
「……あと、たまにはね、怒ってたりとか」
「そういう全部、君との全部」
「最後まで全部、傍で見ていたいって」
「……何だか照れくさいけどね」

‹あなたがいたから›

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