Open App
6/22/2024, 1:59:03 PM

ぺたりと机に頬をつけた。
窓から降り注ぐ日差しと賑やかなグラウンド。
目を閉じていれば今にも、
君がペン先で突付き起こしてくれそうな。
そんな柔らかな昼下がり、

だったら。

がらんとした教室で
荒れ放題の教室で
取り止めなく独り夜を待つ
太陽光に燃え尽きる人たちを
その悲鳴に耳を塞いで

‹日常›


「夜みたいな色が良いの」
「暗いけど澄んでいる、重たくて華やかな色」
「それを」
「何という名で呼ばれ括られているのか」
「私にはどうも分からないけれど」

‹好きな色›


「愛ってなんだろう」
「守り支えるってなんだろう」
「君の為に何が出来るだろうって」
「この間まで何にも悩まなかったのにさ」
「一人なら何でもなかったのにさ」
「笑ったり泣いたり、楽しそうだったり」
「……あと、たまにはね、怒ってたりとか」
「そういう全部、君との全部」
「最後まで全部、傍で見ていたいって」
「……何だか照れくさいけどね」

‹あなたがいたから›

6/20/2024, 11:29:34 AM

頭を傾けて空を伺う、その裾を引いた。
濡れるから、と引き込んだ傘の下、
僅か泣きそうに表情が歪んでいた。
雨が降ってるよ、と震える口元、
そんなの良いからとその目を覆った。
まだ降っているんだよ、と傾く頭、
それでも良いからと掬い上げた。
そんな事言うから、そんな事言うから、
ほら、罰が当たってしまったよ、と。
水溜りに泥を染めて、表情が消えていく。
可愛い可愛いてるてる坊主、
頸を落とされ雨に沈む。

‹相合傘›

6/19/2024, 3:56:56 AM

内腑のひっくり返る感覚
たった3秒前のような
あるいは15年は前からのような
風を泳ぐ袖口が
ずっと擽ったかったような
引き千切れるように痛かったような
目の前の景色より
脳内の光景が光速に過ぎて行くような
悔しさも苦しさも全部置いて
でも自由には程遠いような
そんな永遠のような
けどずっと刹那のような
そんな

潰、

‹落下›


それは光り輝く美しいものでしょうか
誰もに万遍無く与えられるものでしょうか
カウントダウンに等しいものだったでしょうか
不公平に奪われ消費されるものだったでしょうか
あるいは
あるいは、
そうきっと、
航海の先、君にとっての宝島となる、
その未知を選び掴めるなら。

‹未来›

6/17/2024, 12:05:02 PM

波が足跡を攫っていく
裸足の君は遠く見守る
水平線の沈黙を
深くに沈む墓標を
永遠に隣に並ばぬ脚を
君は見守る
遠く見守る
揺蕩い散りゆく花束を
透かし通して拾うことなく

‹1年前›


南総里見八犬伝が好きです。
暗い過去のある敵や光堕ちした味方も良いけど、
悪は悪、善は善な、完全無敵の勧善懲悪は
今時、逆に少なく思うので。

‹好きな本›

6/15/2024, 9:50:37 AM

「曇ってないか?」
「観測範囲の20%晴れてれば晴れらしいよ」
「つまりハズレの80%引いたと」
「まあそういうこと」

「曇ってないか?」
「雲一つ無い晴天って無いんだわ此方」
「まーじーぃ?」
「まじまじ」

「曇ってないか?」
「……まあ、これから氷河期になるんじゃない」
「っ、お前」
「まあ、雲の向こうから見物しといて」
「なんで……」

‹あいまいな空›


移り気なのだと、振り返った口元は笑っていた。
雨によく似合うその花は、土で色を変えるからだと。
赤に紫のグラデーションが美しい中、
一つだけ鮮やかな青い花弁で立ち止まる。
少しだけ盛り上がった土と置かれた丸石。
桜が赤くなるのは迷信だけど、
酸性の土で青くなるのは本当だと。
そっと、静かに、手を合わせた。

‹あじさい›

Next