「曇ってないか?」
「観測範囲の20%晴れてれば晴れらしいよ」
「つまりハズレの80%引いたと」
「まあそういうこと」
「曇ってないか?」
「雲一つ無い晴天って無いんだわ此方」
「まーじーぃ?」
「まじまじ」
「曇ってないか?」
「……まあ、これから氷河期になるんじゃない」
「っ、お前」
「まあ、雲の向こうから見物しといて」
「なんで……」
‹あいまいな空›
移り気なのだと、振り返った口元は笑っていた。
雨によく似合うその花は、土で色を変えるからだと。
赤に紫のグラデーションが美しい中、
一つだけ鮮やかな青い花弁で立ち止まる。
少しだけ盛り上がった土と置かれた丸石。
桜が赤くなるのは迷信だけど、
酸性の土で青くなるのは本当だと。
そっと、静かに、手を合わせた。
‹あじさい›
6/15/2024, 9:50:37 AM