街には優しい
クリスマスソングが流れ
色とりどりのイルミネーションが
輝き
過ぎゆく人にも笑顔が浮かぶこの季節
だけど どうしてだろうね
一人でいても誰かといても
いつもよりもの寂しい気分になるのは
#寂しさ
「なあ、姫子。クリスマス俺と一緒に過ごそうぜ」
「……!」
相変わらず天野くんはオープンだ。周りの目などお構いなしに誘ってくる。
今も校内の廊下ですれ違いざま。周りの男子がおおー、勇者だねーと冷やかしていく。
「ちょっと。声が大きいよ、何なのいきなり!」
物陰に押し込んで抗議する。
でも彼はけろっとしたもので、
「今から誘いますって宣言してから誘う奴いる?受けるー」
「……あのねえ」
頭痛くなってきた。
「すまんすまん。姫子と冬も一緒に居られるの、なんか嬉しくてさ。盆と正月がいっぺんに来たみたいなんだよ。浮かれてごめん」
あんまりストレートに言うものだから、私は言葉に詰まる。
天野くんは笑った。
「クリスマスなのにおかしいよな。でも一緒に居たいのは本気。予定ないなら俺とどう?プラネタリウムとか」
「……天野くん、それって私に織姫の頃の記憶取り戻させようと、狙ってるでしょ?」
そう突っ込んであげると、あはは、それは裏読みすぎ、と笑い飛ばされた。
「まぁ前向きに考えといてよ」
じゃな、と手を振って行ってしまう。
ほんとにもー強引なんだから。私はため息を吐きながら、彼を見送る。
まぁ天野くんとプラネタリウムで星を見るのもいいかなと思った。
織姫の記憶がどうこうと言うより、純粋に一緒に過ごしてもいいかなという気持ちになっていた。この、開けっぴろげな彼と。
彦星の生まれ変わりと信じて疑わないひとと。
#冬も一緒に
老夫婦、わけあって北国に移住しました 3
北国では、降雪による破損被害を防ぐため、家屋に板塀を渡したり、木板を窓ガラスに打ち付けたりして、雪囲いをする。
庭の植木も同様。
「雪って重いんだろうねえ、こんなに厳重に囲うんなら」
庭師さんを呼んで、作業をしてもらっているのを見守っていたじーさんが言うと、
「雪かきも大変だっていうよね。腰を痛めるって」
「こわいなあ」
「ほんとだねえ」
でもね、と二人は目を見交わしてふふふと笑みを交わす。
「ちょっとだけ楽しみなんだよね。雪、降るの」
「そうだよね、ここだけの話ね。地元の人に不謹慎だって言われたらたいへん」
ばーさんも目を細める。
「雪が降ったらさ、こっそり雪だるま作ろうか」
「いいねえ。でも、でっかいと腰痛めるかもしれないから、ちっさいのね」
「雪合戦とかしたいなあ。夢だったんだよね、陣地を作って、相手に雪玉投げるの」
「たしかに、楽しそうだったよね。テレビで見たとき」
知らず、声が弾む。
人を童心に返す力がある。雪には。
じーさんとばーさんは、縁側で肩を並べて空を見上げる。そして、二人は曇天から雪が舞い始めるのを楽しみに待つのだ。
#雪を待つ
僕と君は、遠距離でイルミネーションを見に行くデートもままならないから、
同じ星空を見上げよう。
Youtubeの天文台ライブカメラにアクセスして。同時視聴するんだ。
「あっ、今流れたね!」
「見えたよ、綺麗だねえ」
ワイン片手にそんなやりとりをすれば、それなりにロマンティック。
今夜はふたご座流星群。ダイナミックな宇宙のイルミネーションを君とふたり、堪能するのさ。
#イルミネーション
コーヒーを丁寧に淹れるときって、あれ、飲み物を作っているっていうより、愛情を注いでいると思うんだよね
じっくり 深く
はい、どうぞ
#愛を注いで