ミカン缶

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11/16/2024, 4:44:00 PM







ずっと一緒に居たかった。それだけが私の望みだった。それだけで私は満たされていた。のに。

[時間は進む。無常にも。]

11/15/2024, 5:41:43 PM

 雨降る街の中、道の端の電柱に、傘が一本、何かを守るように開かれたままで置かれている。
 傘の下、タオルの敷かれた箱の中で、小さな黒い塊が6つ、微かにうごいている。隅にいる塊が小さく『にゃお』と鳴けば、それに呼応するように『にゃお』『にゃお』と声が上がる。
 雨降る街の中、通行人は誰もいない。
それでも小さな生命達は、必死に生きようと、まあ『にゃお』と鳴いた。

『にゃお』『にゃお』
 母親を呼ぶように。

『にゃお』『にゃお』
 誰かに気づいて貰えるように。

『にゃお』『にゃお』

『にゃお』『にゃお』

『にゃお』『にゃお』……



 雨が上がり、街に光が降り注ぐ。
 傘を閉じた通行人は、腕の中にあるダンボールをしっかりと抱え直し、中にいる塊をさらりと撫でる。まるで壊れ物を扱うかのような、暖かなその手に答えるように、小さく黒い塊は、大きく『にゃお』と鳴いた。
 

[新しい家、新しい家族。もう雨に濡れることはない。]

11/9/2024, 5:00:43 PM



物陰に隠れて一息つく。巻いたばかりの包帯に血が滲む。
きっとまだ敵は沢山いる。
味方とははぐれてしまった。
向こうから銃声音がしなくなって数分は経つ。
……隠れられていると信じたいが、きっとその可能性は低い。
昇格すると同時に部下も出来て、調子に乗って「お前らのことはこの俺が守る!ついてこい!」なんてカッコつけていたらこのザマだ。
作戦は失敗。部下を全員死なせ、一人でのこのこ帰ろうもんなら……いっそここで死んで、英雄にでもなった方がましかもしれない。
それでも。
俺は死ぬ訳にはいかないのだ。
這ってでも帰らなければならない家がある。
俺を待っている人がいる。
彼女の言葉が、脳裏によぎる。

『また賭け事でお金溶かしたの?今日のおやつは抜きですからね!』

ちょっと今それどころじゃない。



[脳裏に過ぎってほしかった言葉はそれじゃない。]

11/8/2024, 11:53:12 PM




君とくだらない話が出来ることの、なんと素晴らしいことだろう!
中身のない、空っぽな会話。適当に相槌をして、
そうやってまだ君と話をしていたい
君の紡ぐ言葉を永遠に聴いていたい!
……でもすぐに、この時間にも終わりが来てしまう
だからせめて、太陽がこの世界に飽きるまで
君の隣にいることを、君は許してくれるだろうか?



[いつまでも、意味の無い話をしていよう。私はそれを望む。]