物陰に隠れて一息つく。巻いたばかりの包帯に血が滲む。
きっとまだ敵は沢山いる。
味方とははぐれてしまった。
向こうから銃声音がしなくなって数分は経つ。
……隠れられていると信じたいが、きっとその可能性は低い。
昇格すると同時に部下も出来て、調子に乗って「お前らのことはこの俺が守る!ついてこい!」なんてカッコつけていたらこのザマだ。
作戦は失敗。部下を全員死なせ、一人でのこのこ帰ろうもんなら……いっそここで死んで、英雄にでもなった方がましかもしれない。
それでも。
俺は死ぬ訳にはいかないのだ。
這ってでも帰らなければならない家がある。
俺を待っている人がいる。
彼女の言葉が、脳裏によぎる。
『また賭け事でお金溶かしたの?今日のおやつは抜きですからね!』
ちょっと今それどころじゃない。
[脳裏に過ぎってほしかった言葉はそれじゃない。]
11/9/2024, 5:00:43 PM