月凪あゆむ

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3/28/2023, 12:08:19 PM

見つめられると


アルバムを開くと、いつもそのなかの君は笑っていた。
時にとても、屈託なく。
時に、柔らかく。

それが、今の君は。
どうして、そんなにも怯えた眼をするようになってしまったのだろう。

じっと見つめると、まるで眼がカナシバリにでもなったかのように。
怯えてるくせに、そらさない。……いや、そらせないのか?
それこそ、蛇に睨まれた蛙のような。


どうしたら、君は笑えるようになるのだろうか。
そう思ったら、勝手に手が君の目尻に触れていた。
──ああ。頼むから、そんなに怯えないで。

3/27/2023, 3:52:05 AM

ないものねだり


子どもの頃はよく、
「ふつうってどんなだろう」
とか思ってた。

周りの子は
「お姉ちゃんがほしかった」
「妹がいたらなあ」
なんて言うけど。

私には、いわゆる
「普通のきょうだい」がいない。
だから家ではいつも、ひとり遊びが大半。
トランプもなければ、サッカーボールもない。
 代わりとなると、人形やぬいぐるみくらい。


その頃はきっと
「普通が欲しいか?」
なんて、聞いてくる人なんていなかったけど。
今聞かれても、私の答えは同じ。

「わからない」

なんとなく思う。
ふつうならふつうの。
こちらにはこちらの。
それぞれのねだり事があるのだろう。

そんなことを本気でねだっても、ただ虚しくなるだけで。
小学生には、なんと酷な願いか。

大人になっている今となっては。
現状を、わりかし受け入れている自分がいる。

とはいえ。
ふつうに恋焦がれ、家を離れる人も居る。
逆に、受け入れ、その道に進む人も居る。

どちらが善か悪かなんて、そんな単純な話ではない。

ないものねだりとは、とても贅沢な
「夢」だ。

3/25/2023, 11:09:36 AM

好きじゃないのに

私自身は昔から、基本的には気の合う人でないと
「いつの間にか居なくなる」
方式でいたいタイプだからなのか。


小学校とか。周りみんな、けっこう仲がいいなあ
とか思ってたら。

裏では
「私、あいつほんとキラーイ」
え? さっき親友って言ってなかった?

「あー、あれと話すのは疲れた」
ん? なんかすごいニコニコしてたのは、まさか演技?


子どもって恐い……と、当時思ってた。
(自分も子どもだったのに)

3/24/2023, 11:34:51 AM

ところにより雨


どうしてだろう。
みんな、心に雨が降って傷ついたら、或いは傷つかないように傘をさす。又はさしてくれる。
でも、あなたは拒否しちゃった。

大人の手も振り払い、家族にも虚勢を張る。
そんなことしたら、心の雨は土砂降りになるのは分かってるはずなのに。
どうして、自ら辛い事を選ぶの?

ちゃんと見てよ。
世界は、そんなに雨ばかりでも、傘をさしてくれるひとはいるよ。
ちゃんと見てよ。
世界は、晴れの日だってあるでしょう?

そんなに雨続きだと、いつか沼になって溺れちゃうよ。


ねえ、たったひとこと
「助けて」

どうしたら、あなたはそれが言えるようになるのかな。
いつになったら、あなたの心は晴れるようになるのかな。
ねえ、傘から逃げないで?

3/23/2023, 10:42:44 AM

特別な存在

私ね、子どもの頃は自分からは全然喋らない、静かな子だったの。
その分、ひとの秘密とか、悩みとかも、他の人には言いふらさなかった。
(言うほどの相手もいなかったし)

だからなのかな。
よく
「実はね、……」
って、秘密の話。
あるときは、その子の家のなかの悩み。
あるときは、ほんとは嫌いなあの子の話。
そういうのを、帰り道で聞いては。
「……そう、なんだ」
と。
特別驚くとかでもないけど、アドバイスとかもしなかった。できなかった。

それでも、同じ人から
「前に話したやつなんだけど……」
そうして聞く事が何度かあった。


「ほんとは誰かに聞いてほしいけど、広まってほしくはない」
「アドバイスなんて求めてない。ただ、話して少しスッキリしたい」

そういう意味では、私は適任だと判断されてたのかも。
人は、秘密やゴシップが大好きだからね。
でも、上から目線や、下手なアドバイスはきっと求められてはないんだよね。


「特別な存在」って、なにもクラスのリーダーとか、よく話す友達に限るわけではないと思う。

その人のちょっとした行動や、言動次第で、なろうと思えば勝手に誰かの「特別な存在」になってるんじゃないのかな。

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