月凪あゆむ

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特別な存在

私ね、子どもの頃は自分からは全然喋らない、静かな子だったの。
その分、ひとの秘密とか、悩みとかも、他の人には言いふらさなかった。
(言うほどの相手もいなかったし)

だからなのかな。
よく
「実はね、……」
って、秘密の話。
あるときは、その子の家のなかの悩み。
あるときは、ほんとは嫌いなあの子の話。
そういうのを、帰り道で聞いては。
「……そう、なんだ」
と。
特別驚くとかでもないけど、アドバイスとかもしなかった。できなかった。

それでも、同じ人から
「前に話したやつなんだけど……」
そうして聞く事が何度かあった。


「ほんとは誰かに聞いてほしいけど、広まってほしくはない」
「アドバイスなんて求めてない。ただ、話して少しスッキリしたい」

そういう意味では、私は適任だと判断されてたのかも。
人は、秘密やゴシップが大好きだからね。
でも、上から目線や、下手なアドバイスはきっと求められてはないんだよね。


「特別な存在」って、なにもクラスのリーダーとか、よく話す友達に限るわけではないと思う。

その人のちょっとした行動や、言動次第で、なろうと思えば勝手に誰かの「特別な存在」になってるんじゃないのかな。

3/23/2023, 10:42:44 AM