〘テキーラ·サンライズ〙
―材料―
・テキーラ 30ml
・オレンジジュース 90ml
・昇りくる太陽のシロップ 2tsp.
・氷 適宜
・スライスオレンジ 1枚
―作り方―
①タンブラーの8分目まで氷を入れ、テキーラとオレンジジュースを注ぎステアする。
②昇りくる太陽のシロップをグラスに静かに注ぎ沈め、層を作る。
③スライスオレンジを飾る。
―備考―
※「昇りくる太陽のシロップ」は、最寄りの宇宙商店でお買い求めください。手に入らない場合は「グレナデン·シロップ 2tsp.」で代用可能です。
〘テキーラ·サンセット〙
―材料―
・テキーラ 30ml
・レモンジュース 30ml
・沈みゆく太陽のシロップ 1tsp.
・氷 1cap
・スライスレモン 1枚
―作り方―
① テキーラ、レモンジュース、沈みゆく太陽のシロップを氷とともにミキサーにかける。
② ①をグラスに注ぎ、スライスレモンを飾る
―備考―
※「沈みゆく太陽のシロップ」は、最寄りの宇宙商店でお買い求めください。手に入らない場合は「グレナデン·シロップ 1tsp.」で代用可能です。
―――銀河レシピより抜粋
#34【太陽】
夜半
ジャンジャンジャン
けたたましい音がする
ジャンジャン
ああ、五月蝿い
ジャンジャンジャン
暗がりで目を開ける
ジャンジャン
外が騒がしい
ジャンジャンジャン
"山火事じゃ!皆早う逃げろ!"
ジャンジャン
カーテンを開ける
ジャンジャンジャン
人々が逃げ惑っている
ジャンジャン
裏山の上の方に赤い炎が見える
ジャンジャンジャン
雷でも落ちたか
ジャンジャン
それにしても今時、
ジャンジャンジャン
〇〇で知らせるって珍しいな
ジャンジャン
ああ、逃げなきゃ
ジャンジャンジャン
足がもつれる
ジャンジャン
前方へつんのめる
ジャンジャンジャン
壁へ頭を打ちつけて意識が遠のく
ジャンジャン
ジャンジャンジャン
ジャンジャン
…
目が覚める
壁に投げつけられた目覚まし時計が、変な鳴り方で鳴り続けている
ああ、夢か
カーテンを開けて裏山を見る
緑豊かでどこも燃えていない
ホっとひと息ついた瞬間、ふと思い出した。
そうだ、あれは半鐘、半鐘だ。
半鐘の記憶を夢に見たのだ。
―――鐘の記憶
#33【鐘の音】
「つまらないと思って嫌々するより
つまらないことでも興味を持って
取り組んだ方が身になるよ」
って、つまんねぇもんはつまんねぇんだよ!
何言ってんだ、このバーカ!
とか思ってゴメン、中学の時の校長センセ。
だって、話が無駄に長くてつまんなかったんだもん♡
#32【つまらないことでも】
[洋風ワンプレート] [和風ワンプレート]
・全粒粉パン ・雑穀ごはん
・ジャム ・海苔
・チーズオムレツ ・玉子焼き
・ウインナー ・焼き鮭
・グリーンサラダ ・小松菜のおひたし
・キャロットラペ ・胡瓜のぬか漬
・ミニトマト ・梅干
・オニオンスープ ・ワカメと豆腐の味噌汁
・珈琲 or 紅茶 ・緑茶 or ほうじ茶
さて、どっちが良いかな。
鼻歌交じりで台所に立つ。
タイムリミットは彼女が起きてくる7時。
用意、スタート!
―――口福な[朝]
#31【目が覚めるまでに】
白い壁。壁に窓。窓からは青空が見える。
ここは病院の入院棟。ここは私がいた病室。
随分長い間入院していたように思う。移ろいゆく四季を、いったい何回見送っただろう。
医師が色々と手を尽くしてくれたが治療の甲斐虚しく、私は死んでしまった。
今私は霊安室にいる。顔に白い布をかけられて、斎場に運ばれるのを待っている。
そんな私の亡骸を横目に、わたしは病室まで戻ってきた。そう、わたしは私。わたしは私のいわゆる"幽霊"とか"おばけ"というやつ。本当は、わたしは私の傍にいなきゃいけないような気がするけど。
わたしがここに戻ってきた理由はただ一つ。この窓からの眺めを最後にもう一度見るため。この窓からの見える日によって色の違う空や形を変えながら流れていく雲、極稀に飛んで行く鳥を見るのが好きだった。
想いを馳せつつベッド腰掛け窓から外を眺めていると、後ろのドアが開いた。入ってきたのは担当してくれていた医師。いつも、草臥れた白衣とすっかり履き潰したサンダルで、俯き加減でやってくる先生。
足を止め、目を見開きこちらに向いている。え?わたしが視える?疑問に思っていると、先生がゆっくりと口を開いた。「どうしてここにいるの?」
そこから、何故か解らないけど体を抜け出せたこと、この部屋にもう一度だけ来たかったこと、先生への感謝の気持ちなどを一気に捲し立てた。
先生はそれらを静かに聞いていた。そして「助けてあげられなくてゴメンね」と言った。しかし、今のわたしにはそんなこと、もはやどうでも良かった。死んだ者が蘇ることはないのだから。そんなことよりも、これからどうなっていくのか、それが気になってしかたがなかった。そんなわたしの気持ちを見透かすかのように、先生は言った。「早く自分のご遺体の傍に戻ることをおすすめするよ」
先生が言うには、もうすぐ迎えが来るが、その時きちんと傍にいないと体だけ持って行かれて、取り残されてしまうらしいのだ。「そうやって取り残されて、どこにも行けなくなったのが、いわゆる地縛霊とか浮遊霊ってやつね」そう無表情のまま先生が言う。
何故先生がそんなことを知っているのか不思議だったが、深追いしてはいけない気がして聞けなかった。そして、このままこの部屋に居続けるのも良いかなと思ったが、お世話になった先生や病院に迷惑をかけるのも嫌なので、大人しく私の傍に帰ることにした。
またいつか会えますか?そう言ったわたしに先生は「さぁ、どうだろうね」「でも、もしまた会えたら、その時はお茶でもしましょう」そう言って笑いかけてくれた。
その笑顔が見れただけで満足です!そう言って、わたしは私の傍に帰った。
先生は静かに見送ってくれた。
私の傍に戻ると、見知らぬ人が3人立っていた。葬儀屋さんかな、と思ったがよく解らない。
3人の内の1人が、表に続くドアを開けた。すると目が眩むほどの光が差し込んできた。ああ、これはお迎えだ。わたしは悟った。これでこの世とは本当のお別れ。
またね、先生。まだ来ないでね。でも、いつかまたね。
―――旅立ち[死]
#30【病室】