夜半
ジャンジャンジャン
けたたましい音がする
ジャンジャン
ああ、五月蝿い
ジャンジャンジャン
暗がりで目を開ける
ジャンジャン
外が騒がしい
ジャンジャンジャン
"山火事じゃ!皆早う逃げろ!"
ジャンジャン
カーテンを開ける
ジャンジャンジャン
人々が逃げ惑っている
ジャンジャン
裏山の上の方に赤い炎が見える
ジャンジャンジャン
雷でも落ちたか
ジャンジャン
それにしても今時、
ジャンジャンジャン
〇〇で知らせるって珍しいな
ジャンジャン
ああ、逃げなきゃ
ジャンジャンジャン
足がもつれる
ジャンジャン
前方へつんのめる
ジャンジャンジャン
壁へ頭を打ちつけて意識が遠のく
ジャンジャン
ジャンジャンジャン
ジャンジャン
…
目が覚める
壁に投げつけられた目覚まし時計が、変な鳴り方で鳴り続けている
ああ、夢か
カーテンを開けて裏山を見る
緑豊かでどこも燃えていない
ホっとひと息ついた瞬間、ふと思い出した。
そうだ、あれは半鐘、半鐘だ。
半鐘の記憶を夢に見たのだ。
―――鐘の記憶
#33【鐘の音】
8/6/2023, 5:23:11 AM