僕たちは人間なのだから、感情に光と影があり抱えきれない悲しみを背負わないといけない瞬間が必ず訪れてしまう。
僕は、大切な人の逃れられない哀しみや淋しさを半分こしたいと常日頃から思って生きてきたし、行動してきたつもりだけれど、そう思い行動する事で自分を保っていたのだと最近気付いてしまった。
大切な人たちみんなから、僕は生かされていたんだね
/光と影
余計なひと言を勢い余って言いそうになって、それでもグッと堪えて喉からお腹に飲み込めた時、成長したなと思った。
「いつか私たちさぁ、大人になって長いこと付き合ってる彼氏がいたりしてさ、そんでビルとビルの隙間で再会とかしたりすんのかなぁ?」
間延びした声が、私たちをまだまだガキンチョのままにさせる。
私の心に、消えない焔はあるだろうか。私たちの心に今日はきちんと刻み込まれているだろうか。
そんないつ消えたっておかしくない、ゆらめく焔のようなしょうもない会話だって愛おしい三年間だった。
/消えない焔
私がすぐに謝るのは、決して優しいからではなくてその後相手の強い怒りを買うのが怖いから。
私がポジティブでいるのは、決して周りの士気をあげたいからではなくて、そうでもしないと両足で立っていられないから。
いつだって自分都合で私は弱かった。強くなる為には、強くいるフリをしないといけないみたい。
私が息を吸い込めば、揺れる羽根がゆらゆらと舞った。その羽根の自由さを、私に分けてください。なんて、また自分都合なお願い事をしていることに気がついて、ほんの少しだけ泣いた。
/揺れる羽根
大きなマスクで口元を覆う、口下手な彼の唯一の手がかりは目だった。前髪が重くて眉すらもきちんと見えないからくっきりとした二重の目が唯一の手がかりだった。
「一緒に住むか?」
親を亡くした彼の唯一の家族になりたい。元々仲の良い従兄弟ではなかったし、どちらかといえば俺も口下手だ。首を縦にも横にも振らない彼はどこを見ているんだろう。君が紡いできた日々を、今から君が紡ぐ歌を、俺にもっと教えてくれよ。
言葉で返答はしてくれなかったけれど、彼の母親譲りの目がぴくっと動いたのだけが答えだった。
/君が紡ぐ歌
良いことと不安なこと。心配したことは大抵のことがうまく行く。不安や心配は杞憂だったりする。
我々はみんな揃って同じ森の中。良いこともあれば、悪いこともある世界の中にいる。光があれば靄もある。光と靄の狭間で私たちは生きている。そんな不安定が、楽しいと思う。
/光と靄の狭間で