前回投稿分に繋がるおはなし。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこでは管理局に勤めている不思議なハムスターたちが、ギーギー!ちゅーちゅー!
複数匹して小さなデモ行進をしていました。
というのも明日、
すなわち来月から
ハムズの天敵たるキツネが最短1年
管理局に「修行」の名目で解き放たれるのです。
子狐です。好奇心旺盛です。
まだまだ我慢を知らないお年頃です。
ハムズの基本的鼠権を侵害してはなりません
(現実逃避)
「我々ハムスターの!
安全に仕事をする権利を守れー!」
ギーギー!ちゅーちゅー!
先頭をトトトト歩くのは、法務部所属のハム。
ビジネスネームをカナリアといいます。
「狐の横暴を許すなー!」
ギーギー!ちゅーちゅー!
カナリアの後ろをタタタタ歩くのは、カナリアと同じく法務部所属のハム。
ビジネスネームをムクドリといいます。
「配慮を!我々ハムスターへの、配慮を!」
ギィー!ギィー!
ムクドリの後ろをトタトタタ歩くのも、カナリアやムクドリと同じく法務部所属のハム。
そうです。彼等は皆みんな、同じ法務部、同じ執行課実動班、特集情報部門の職員なのです。
なんなら修行に来るという子狐の、責任者としての部署が法務部執行課実動班、特殊「即応」部門。
すなわち自分たちのご近所部署でして。
「狐の受け入れ延期を!受け入れ延期を!」
「暴力ハンタイー!!」
2匹して横断幕を咥えたり、背中に旗を括り付けたり、ハムズのデモ行進は本格的。
あらあら可愛い。人間局員や理性と常識ある肉食獣人局員たちが、行進を見守ります。
可愛らしくもドチャクソ必死なデモ行進に参加せず、自分の仕事を虚ろ目で続けるのが、
今回のお題回収役ハム、ヒクイドリです。
「ああ、今日も平和だな」
現実逃避ハム、ヒクイドリの担当は、管理局内に作られた全世界図書館の分館、通称「図書室」。
ここの室長をしておるのです。
「カナリアたちは、仕事をしてるだろうか」
ヒクイドリにカナリアたちの叫びは聞こえません。
聞こえないったら、聞こえません。
いまヒクイドリの耳は、圏外なのです(現実逃避)
近距離の無線波でお送りしています(お題回収)
図書室に生息して一緒に仕事をしている魔法生物たちは、虚ろ目ヒクイドリが珍しくて興味津々。
おちょくりに来てはヒクイドリに、仕事しろと小突かれています。
チチッ、チチチ、魔法の木ネズミなどはモフモフ尻尾をピラピラしながら、ヒクイドリにちょっかいを出しておりました。
「知らん。知らん。俺は何も聞いてない」
ウソつけ、ウソつけ。チチチ。
「お前もサボってないで、やることをやれ。
昼休みはもう少し先だぞ」
現実逃避が見えてるぞ室長。チチチ。
「おいそこ、なにをしてる。扉を閉めろ。今は妙なパレードを見る時間じゃないぞ」
仕事しごと。ああ、シゴト。
不思議なハムスター、ヒクイドリは現実逃避中。
その逃避はだいたい2時間程度、続きましたとさ。
「君は今!
カントーちほうへの だいいっぽを ふみだした!」
26〜7年前に御三家の水タイプを連れて冒険したのが、懐かしい思い出の物書きです。
手持ちに某バイオな危機のキャラ名を付けておったのも、懐かしい思い出。
というハナシは置いといて、今回のおはなしのはじまりはじまり。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
来月からその組織に都内某所在住の稲荷子狐が、最短1年の修行に出されることになりました。
体験入学ならぬ、体験入局も無事終了。
お母さん狐やお父さん狐、おじいちゃん狐におばあちゃん狐を含めた面談・相談もスムーズに、
契約手続きまで全部終わりまして、
ちょっと早めに、ささやかな入局式が、稲荷子狐のために執り行われたのでした。
「君は今!
君の世界を別の世界による侵略から守る、最前線の組織に、正式な協力者としての籍を得た!」
ピシッとした制服を来たイケボさんが、よく通る活力たっぷりな声で、子狐に言いました。
「来月から君は、世界線管理局の法務部執行課に所属して、そこから環境整備部に出向するカタチで、私達の仕事を手伝ってもらうことになる」
コンコン子狐にはイケボの言葉が、難しくてサッパリ分かりませんでしたが、
入局式に集まった収蔵部のお嬢さん、
経理部のエンジニア、
法務部執行課のいち部署の部門長と副部門長、
それから環境整備部のイケボさんと白ヤギ獣人さん&黒ヤギ獣人さんタッグが、
それぞれ子狐を温かく歓迎しておったので、
コンコン子狐はそれだけで、嬉しくなりました。
「これが、君が1年使う局員証。
そして君が使っても良い局員寮の個室のカギだ」
紛失したら、法務部でも、私にでも、すぐに正直に相談するのだぞ。
イケボ制服さんが子狐用に、ヒモの長さを調節したストラップを、すっと、かけてくれました。
「他に君が必要なものは、既に、君のご両親に渡してある。心配しなくて良いぞ」
少しずつ慣れていこうね〜。
収蔵部のお嬢さん、子狐の頭を撫でて言いました。
ひとまず初日は、まず俺様のコタツに来いや。
経理部のエンジニアさんも、笑って言いました。
イケボ局員による説明が終わった後は、法務部所属の野郎2人のおはなしです。
「さて、子狐」
部門長が難しいハナシを云々するのを、副部門長が要約して、子狐にも分かるように翻訳します。
「君は今から……厳密には来月からだけれど、
私達の仲間として、私達の仕事のお手伝いをしてもらうことになる。
分からないことも多いだろう。困りごともでてくるだろう。誰でも良いから、頼るんだよ」
キツネ、たよる!こやこや!
ちょっと偉くなった気のする子狐は、胸を張って、尻尾をピタピタ、ぱたぱた。
元気よく返事して、イケボ局員から貰ったカギと局員証を、じっくり、観察しましたとさ。
私、永遠の後輩こと高葉井が住む東京に、先日久しぶりに雨が降った。
スマホの天気予報によると、来週も来週で数日の雨が続くらしくて、
曇った物憂げな空が、当分の間、続くらしい。
更に東京は先々週からスギ花粉のシーズンが開始。
量としては、まだまだ酷くはなってないらしいけど、重度な花粉症持ちのフォロワーの中には、さっそく症状が出始めてるってポストがあった。
最近動画アプリで鼻うがいの広告見るけど
アレってぶっちゃけ効くのかな(物憂げ)
あと避粉地ってなに( )
ニュース動画で観たけど標高1000メートルより上はスギ花粉少ないってホント( )
「あらぁ、高葉井ちゃん、スギ花粉持ち?」
「多古副館長は大丈夫なんですか」
「アタシは何も気にならないわ。
アレが良いらしいわよ。ゴボウ。食物繊維」
「食物繊維」
「ゴボウ茶も良いらしいから、アタシ作ってみたのよ。皮付きゴボウをスライスして乾燥させて。
フライパンで乾煎りして完成らしくて。
諸事情で見事に空焼きしてたわ」
あーだこーだ、云々。
私の職場、私立図書館の中にある、食堂付き飲食スペースで、花粉症対策ランチが今年も登場して、
さっそく職員価格で頼んで食べてたら、
オネェな副館長、多古副館長が私を見つけて、
中くらいで薄めの紙バッグを持って、私の向かい側に座った––副館長もこれからランチらしかった。
「もうホントに憂鬱だったわ。穴空いたもの」
紙バッグの中は、新しいフライパンらしい。
「乾煎りしてる間に世界線管理局関連で連絡が来るでしょ?対応してたら別件来たでしょ?
話し込んでたら、パン!ですって。
やだわぁもう」
「せかいせん かんりきょく?」
「あら言ってなかったかしら。こっちは兼務よ。
向こうで法務部やってるの」
「かんりきょく……??」
物憂げに空焚きしたフライパンを観察する多古館長が、ぼーっと頭に浮かんでくる。
「すごいのよ。火を止めた後も、パキパキって。
アンタは気をつけるのよ」
よほど衝撃的だったのか、多古副館長は私に、そのとき撮った写真を見せてくれた。
空いてたのは、小さな穴だった。
私は空焚きしたことがないから、ぶっちゃけよく知らないけど、おっかない音がするらしい。
そりゃそうだと思う。だって金属に穴だ。
多古副館長の物憂げな空焚きは、それはそれは、大事件だったんだと思う。
「同じ間違いをしないように、アタシ、今回は鉄製のフライパン買ったわ」
「重くないですか」
「でも空焚きオッケーらしいもの。あとでシーズニングしてもらうの」
「しーずにんぐ?」
「そう。シーズニング」
これからはジャンジャン高火力料理作ってやるわ。
副館長はそう言って、ぱくぱく、豚の生姜焼き定食を食べ始めた。
私も私でシーズニングって知らなくて、パッと調べて、スマホをしまって、
それから、春の花粉対策ランチに付いてきたお茶に、最初に口をつけた。
「あっ。ゴボウ」
「なに。ゴボウ茶?」
今朝かもっと前か知らないけど、物憂げ空焚きをやらかした副館長が、私のお茶を見てる。
結果として副館長、ゴボウ茶だけ単品で注文して、
2杯くらい、飲んだみたいだった。
全開投稿分からの続き物。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
このたびコンコン、都内某所の稲荷子狐が、
すなわち、お題回収役の「小さな命」が、
とってって、ちってって。
1日だけ、体験入学ならぬ体験入局したのでした。
というのも稲荷子狐、立派な稲荷狐となるために、
来月からひとまず1年、管理局へ週5で修行に出されることになりまして。
「お前が管理局に籍を置く間の責任は、俺たち法務部執行課、実動班特殊即応部門が持つ」
とってって、ちってって。
子狐を管理局に連れてきた法務部局員の野郎その1が、歩きながら言いました。
ただコンコン子狐は子供なので、野郎の言ってる言葉がサッパリ分かりません。
「ひとまずぅ、半年くらいは、収蔵部のお仕事、手伝ってほしーの。よろしくね〜」
とってって、ちってって。
子狐を管理局に連れてきた収蔵部局員のお嬢さんも、歩きながら言いました。
お嬢さんの言葉は、コンコン子狐、分かります。
子狐は優しいお嬢さんが大好き!
手伝ってほしいなら、やぶさかでないのです。
「聞いたハナシだと、お前のこと預かるの、環境整備部になるらしいぞ」
とってって、ちってって。
経理部のエンジニアが言うには、小さな命、子狐を預かる部署は法務部でも収蔵部でもなく、
子狐の知らない、環境整備部という部署とのこと。
どんなとこだろう。
子狐はちょっと考えましたが、難しかったので、数秒で考えるのをやめました。
「さあ。今日の最初の目的地に着いたよ」
来月からの修行についての、説明と体験をする前に、小さな命たる稲荷子狐が連れてこられたのは、
世界線管理局の局員だけが使用できる、大食堂。
すなわち、朝ごはんです。
美味しいものを食べながら、これからの説明をしよう、という魂胆なのです。
「これから最短1年、お世話になる食堂だよぉ。
あたし、使い方教えてあげるー」
おいで、おいで!
収蔵部のお嬢さん、子狐を先導するように、
レストランや飛行機なんかで見かけるサービスワゴンをガラガラ押して
『サービスワゴンをガラガラ押して』??
「世界線管理局には〜、人間も、獣人も、妖精もドラゴンも、宇宙タコも深淵イカもいるから、
いろ〜んな『食べ物』に対応してるんだよー」
ガラガラ、がらがら!
小さな命たる稲荷狐と、比較的小さな命と思われるお嬢さんが、
食堂ブースを巡って巡って、様々な飲み物、様々な食物、様々な香りの物をポイポイポイ!
注文してはワゴンに並べて、とても幸せそうです。
「コンちゃんは狐で、神様のお使いさんだから、
コッチとコッチにお世話になると思うー」
「おあげさん!おあげさん!」
「お餅もあるよぉ」
ガラガラ、がらがら!
小さな命、小さなカラダの、どこに「それだけ」の美味を収蔵するやら分からないほど、
ワゴンの上は、たくさんのご馳走でいっぱい。
「よぉし。」
「よぉし!」
小さな命ーズは大満足!
たくさんの料理を並べてようやく、体験修行の説明が始まりました。
最終的に小さな命の子狐と、小さめの命と言えなくもないお嬢さんは、
存分に美味を堪能して、おかわりも2回して、
修行説明の朝ごはんは予定の時間から1時間、遅れて終了しましたとさ。
月日が経つのは本当に早いもので、このアカウントも来月3月1日で4年目となります。
シーズン3の終わり、シーズン4の開始に向けて、こんなおはなしをご用意しました。
最近最近の都内某所、某深めの森の中にある不思議な稲荷神社では、
本物の稲荷子狐が新しい就業場所に向けて、
子狐のお母さんから、話を聞いておりました。
お母さん狐の後ろには、子狐が来月から週5でお世話になる機関、世界線管理局の局員さんが4人。
法務部の野郎2人と、収蔵部のお嬢さん、それから環境整備部のイケボさんが、
来月本格始動する子狐の新修行の、いわば体験修行のために、それぞれ、集まっておりました。
「よく聞きなさい」
子狐のお母さん、言いました。
「お前も今年の春からは、立派な稲荷狐の見習いとして、新しい修行をしなければなりません。
新しい場所へ行き、人間たちの困りごとを聞いてやって、稲荷秘術を更に磨くのです」
「はい!かかさん!」
稲荷子狐は元気いっぱい!
紅白しめ縄のリボンと、稲荷宝珠柄の赤い前掛けでおめかしして、ご機嫌です。
子供の狐というのは、稲荷狐にせよ普通の狐にせよ、好奇心旺盛なのです。
なにより管理局には
子狐にジャーキーをくれる受付のお姉さんと
子狐と遊んでくれる経理部のエンジニアさんと
子狐を優しく撫でてくれる収蔵部のお嬢さんと
要するに、善良な局員がいっぱい居るのです。
特に受付のお姉さんは
それこそ今回のお題どおり、コンコン子狐のモフモフにメロメロのメロ!
Love you! Love you! モフモフ中毒者でして。
その日も受付のお姉さん、法務部局員たちと一緒に、子狐を迎えに行きたいと、
直前の直前まで、粘っておったそうなのです。
『うおぉぉぉぉ!子狐くん!Love you!』
「時間です。そろそろ行きましょう」
法務部の野郎その1が言いまして、コンコン子狐は上等な、神社のしめ縄をつけた大きめのペット用キャリーに入れられました。
キャリーの中はフカフカもふもふ。ちゃんと清められておって、とっても快適です。
「今日は体験ですから、たくさん、色々なところを、見てくるのですよ」
ああ、ああ。可愛い可愛い 愛する我が子。
コンコン子狐の生まれた春から去年の夏、そして秋を通り越して今までを思い出し、
お母さん狐はついつい、目頭があつくなります。
「かかさん、いってきます、いってきます!」
高級ペットキャリーに入れられてご満悦な子狐は、修行先たる管理局の男女局員に連れられて、
東京を離れ、この世界を離れて、「ここ」ではない別の世界に存在する「世界線管理局」へ出発。
新しい修行先に、ご挨拶がてら、体験入局です。
コンコン稲荷子狐に待っている、1日かぎりの体験がどうなったかは、
それは次のお題のおはなしに、続くのです。