君のその涙の跡に触れて、訳を聞きたくなった。
なんで、僕に泣きつくんだろう。
どうせ今回も、恋愛のことなんだろうけど。
あんな男となんか付き合うから、君は僕の家に
転がり込んでしまうんだ。無防備に寝てしまうんだ。
それが、僕を男として認識していないようで胸が
苦しくなった。君に向けられる「友達」という目が
僕には苦しいよ。
半袖。そんなのとっくに、5月から着ている。
もしも過去へと行けるなら。
私は、人生を最初からやり直すだろう。
大きな後悔があるみたいに何かやり直したいことが
あるわけじゃないけど、今の自分から見た子供の
世界は面白そうだと思ってしまうのが理由の1つだ。
そしてもう1度、自分の大切な人たちに出会い直す。
自分がこの歳のときには何があったかな、と世の中を
見てみるのも面白そうだ。
つまり、過去に行くことはとにかく面白そうなのだ。
今の自分がやっていないことを新しく始めるも良し、
今と同じような人生を歩むも良し。他人の運命までは
変えられずとも、自分の人生を多少は豊かなものに
出来たら良いと思うだけなのだ。
ああ、これは嘘じゃないよ。初めてだったんだ。
こんなに好きになったのは。
だから動揺してしまって…。
こうやって、伝えたかったのに。
遅くなってごめん。大好きなんだ、君の全てが。
君のおかげさ。君無しで生きられなくなったのも。
…抱きしめてもいい?
信じて。絶対、大丈夫だから。
幸せにするから。
「またいつか会いましょう。
その時には、きっと私たち幸せになっていますから。
その時も、きっと私たち生きていますから。
その時だけは、誰にも壊すことができませんから。
その時を万が一にも壊されないように、守り、生き、
攻撃も躱してみせるのです。私たちが、またいつか
会える日までそれを続けるのです。
会えた時には私たち、きっと笑えていますから。
抱き合い、生を実感しているはずですから。」
煌めく一等星の下で、私たちは小指を絡めた。
点々と無限に広がっているように見える星は、
華々しくも儚さを纏っていた。また会おうと交わす
には、その日は絶好の日であった。
「お願いですから、忘れないでくださいね。」
そうやって私に背を向けて歩き出したその足元の、
黒いチューリップが月の光を纏って揺れていた。