変えてみてもいいのかもしれない。
しばらくこれでいたけれど、やっぱりこっちの方が好きだし。
うん、今日からしばらくそうしてみよう。
唐揚げの衣。
小麦粉より片栗粉の方が好きだな。
柿ピーなんてのもあるらしいから、いつかそれも試してみたいなぁ。
『衣替え』
君がいなくなる。遠くへ行ってしまう。
君が引越しする日。僕は君の家まで駆けていった。
トラックに乗った君が「ばいばい」と手を振った。
遠ざかる君に向かって、声が枯れるまで君の名前を叫びたかった。
その日の僕は風邪を引いていて、声がほとんど出なかった。
消え入りそうな声で、君の名前を呟いた。ぼろぼろに泣きながら呟いた。
あれから何年経ったか――。
思わぬ君との再会に、またあの日のようにぼろぼろと泣いてしまった。
「泣き虫なのは変わってないんだね」と君は笑った。
まるで今でも子供のように、君は僕をぎゅっと抱き締めた。
僕は今度こそ、声が枯れるまで君の名前を呼んだ。
『声が枯れるまで』
始まりはいつも君からだった。
保育園で、初めて出会った時、「よろしく!」と手を差し伸べてきたのは君からだった。
それから、同じ小学校、中学校と進み、いつも君は声をかけてきてくれていた。
高校も「同じところへ行こうよ!」と君が言ってくれたから、また一緒に進学したんだ。
恋仲になったのも、君が顔を真っ赤にしながら想いを告げてきてくれたから。同じ気持ちだったから、また君から言われてしまって、少し情けなくなったけど、嬉しかった。
「一緒に暮らさない?」そう言ったのも君からだった。そうして、二人きりの新しい生活が始まったんだ。
始まりはいつも君からだった。
だから、今度ばかりは、僕から始めさせてもらう。
そう決意して、君の為に用意した小さな箱をポケットに忍ばせた。
『始まりはいつも』
誰かと出逢いたい。
同じものを見ている、誰かと。
もしかしたら、今、すれ違った誰かが、その運命の人なのかもしれない。
家に帰ってその箱を開く。
あ、データの交換できてる!
今でもすれ違い通信やってる人いるんだなぁ。
『すれ違い』
空が高く、青く澄んでいる。
なんて気持ちの良い天気だろうか。
ところで、秋の空がなぜ高く感じるか知ってるかい?
秋の高気圧は大陸から生まれて、海生まれとは違い、その高気圧は乾燥していて不純物が少ないから、太陽からの青い光が届きやすくて澄んで見える。そして、秋は高気圧と低気圧が交互に来る。すると、高い位置に雲が生まれる。それが秋の空が高く感じる理由。
すっきりと広がる空。気持ちが良くて、目を細める。過ごしやすい季節だ。
そうだ、こんな言葉もあるね。『天高く馬肥ゆる秋』。
この言葉は、空は晴れて、馬の食欲は増し、肥えて逞しくなるってことわざ。簡単に言えば、秋は快適だね! ってこと。
でも馬だけじゃないよね。食欲の秋って言うくらいだ。
食欲……止まらずに困ってます……。『天高く我肥ゆる秋』……。
あぁ、今日も秋晴れ。本当に気持ちの良い空だなぁー!
『秋晴れ』