川柳えむ

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 始まりはいつも君からだった。
 保育園で、初めて出会った時、「よろしく!」と手を差し伸べてきたのは君からだった。
 それから、同じ小学校、中学校と進み、いつも君は声をかけてきてくれていた。
 高校も「同じところへ行こうよ!」と君が言ってくれたから、また一緒に進学したんだ。
 恋仲になったのも、君が顔を真っ赤にしながら想いを告げてきてくれたから。同じ気持ちだったから、また君から言われてしまって、少し情けなくなったけど、嬉しかった。
「一緒に暮らさない?」そう言ったのも君からだった。そうして、二人きりの新しい生活が始まったんだ。

 始まりはいつも君からだった。
 だから、今度ばかりは、僕から始めさせてもらう。
 そう決意して、君の為に用意した小さな箱をポケットに忍ばせた。


『始まりはいつも』

10/20/2023, 8:30:22 PM