川柳えむ

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8/23/2023, 7:47:09 PM

 海だ海だ海だー! 海へ行くぞー!

 そんな(子供達の)提案の元、家族で海へと飛び出した。
 青い空、青い海、白い雲、白い砂浜。
 冷たい海水が広がるこの空間は、暑い夏を乗り越える為に用意された絶好の舞台だ(いや海水熱くなってるだろというツッコミはいらない)。
 ちゃんと浮き輪にバナナボート、ビーチボールやパラソルなんかも。ありとあらゆる必要な物を用意した。日焼け止めだってばっちりだ。

 とうとう車は海へと到着した。
 さあ、楽しもう! このきらめく世界を満喫するのだ! 行け、子供達よ!
 お父さん? お父さんはいいんだよ。

 ……だって、泳げないからね!


『海へ』

8/22/2023, 7:24:01 PM

『愛情の裏返し』ってやつだろ? 知ってる知ってる。
 だから俺はいくらでも受け入れる。
 君が俺のことを悪く言ったって。
 君が俺のことを避けたって。
 君がどれだけ俺に素直に接しられなくても、俺はちゃんと許すよ。
 でも、他の男と仲良くして気を引こうとするのはやめてほしいな。
 そんなことしなくても、俺はもう君のものだから。君には敵わないんだから。
 そういえばこの間の返事はまだかな? さすがにそろそろ何か一言くらい欲しいよ。
 しょうがないから今日は会って直接話そうか。たまにはこっち見て会話してくれてもいいだろ。
 その顔は何だ? その目は何だ? もっと笑えよ。楽しそうにしろ。嬉しそうにしろ。いい加減に、逃げるなんて許さない。いくら愛情の裏返しといっても、少しくらい「愛してる」の言葉を聞かせてくれ。ああわかってる。ちゃんと俺のことを愛してくれていることくらい。だから、俺にそんな態度を取ってしまうんだもんな。
 俺は優しいから、いくらでも君を許すし、それ以外の愛情表現してくれるのを待ってあげる。
 囚われた君のその表情も嫌いじゃないしね。


『裏返し』

8/21/2023, 10:34:30 PM

 鳥になりたかった。
 あの大空を自由に舞う鳥のように。

 だから、ひとまず、鳥のコスプレをしてみた。今流行りの映画のキャラクターのコスプレだ。
 でも、何か違った。
 次に、空を飛んでみようと思って、某鳥人間のコンテストに出場してみた。
 近付いた気はしたけれど、これもどうやら違ったようだ。
 今度は、じゃあ鳥を観察してみようと、文鳥を飼ってみた。
 でも、飼われた鳥は鳥籠の中で、少し行動範囲を広げたとしてもせいぜい部屋の中だけで、あの大空を舞う鳥とは違った。
 最後に、鳥の何に憧れたのか考えて、空を飛ぶならこれかと思って、飛行機のパイロットになってみた。
 空は飛べたけど、決まった道程ばかりだった。

 ある日、飛行機にトラブルが発生した。
 必死の対応も虚しく、機体はバラバラになって宙を舞った。
 でも、気付いた。
 ようやく空高く舞うことができたと。もしかしたら、自分が望んでいたのはこの眺めなのかもしれない。
 幽霊になったらもっと自由に大空を舞うことができるだろうか?
 地面に叩きつけられる刹那。僕の心は満ちていた。安らかで穏やかな表情をきっとしていた。


『鳥のように』

8/20/2023, 11:15:20 AM

 嫌だ。別れたくない。
 まるで今生の別れかのように、君から離れられないでいる。
 もう少しだけ、せめてあと10分だけでも。許される限界まで傍にいたい。

 どうせ君はすぐに僕のことなんて忘れるんだろう?
 さよならを言う前に、お願いだ。
 どうか君を抱かせてくれ。
 できれば吸わせてくれ。
 吸うのが駄目なら肉球ぷにぷにさせてくれ。
 それも駄目ならせめて撫でさせてくれ!

 とても迷惑そうな顔をした君の頭や首元、体を撫でる。
 抱きつこうとすると、両前足でこっちの顔面を押さえつけてきた。激しい拒否の体勢だ。
 それでも僕は懲りない。
 離れたくない! 独り暮らしの部屋になんか帰りたくない! 持って帰りたい! うちの猫かわいー!!

 また帰省してくるまで、僕のこと忘れないでね。


『さよならを言う前に』

8/19/2023, 5:10:17 PM

 君の笑った顔が好きだ。
 泣いている顔もいいけど、できれば笑っていてほしい。もちろん、泣いてくれないと困る人もいるだろう。それでも僕はやっぱり、明るく笑っている君が好きだ。
 でも、今だけは、ちょっとくらい落ち込んでくれてもいいかも。だって、さすがに暑過ぎるからね。

 今日も空は青く澄んで、太陽がにっこりと笑っている。
 明日はどんな顔を見せてくれるだろうか。


『空模様』

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