嫌だ。別れたくない。
まるで今生の別れかのように、君から離れられないでいる。
もう少しだけ、せめてあと10分だけでも。許される限界まで傍にいたい。
どうせ君はすぐに僕のことなんて忘れるんだろう?
さよならを言う前に、お願いだ。
どうか君を抱かせてくれ。
できれば吸わせてくれ。
吸うのが駄目なら肉球ぷにぷにさせてくれ。
それも駄目ならせめて撫でさせてくれ!
とても迷惑そうな顔をした君の頭や首元、体を撫でる。
抱きつこうとすると、両前足でこっちの顔面を押さえつけてきた。激しい拒否の体勢だ。
それでも僕は懲りない。
離れたくない! 独り暮らしの部屋になんか帰りたくない! 持って帰りたい! うちの猫かわいー!!
また帰省してくるまで、僕のこと忘れないでね。
『さよならを言う前に』
8/20/2023, 11:15:20 AM