川柳えむ

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8/18/2023, 9:49:08 PM

 あなたは私の鏡。
 同じ顔で笑い、泣いた。

 でも少しだけ、鏡の方が頭が良い気がした。完璧に私にそっくりな鏡。私を真似る、真似られることができる鏡。
 それなのに、私より頭が良くちゃダメじゃない?

 鏡を壊す。すると、とてもすっきりした。
 紫鏡なら聞いたことがあるけれど、赤い鏡は初めて見たわ。とても綺麗ね。


『鏡』

8/18/2023, 6:48:28 AM

 彼女が落としたネックレスを、いつまでも捨てられずにずっと持っている。

「必ず帰るから」
 そう言った彼女を信じて、いつまでも。
「また会うまで持っていてよ」と、彼女に託されたようで。

 あれから数年。未だ持ち主は現れていない。
「俺のじゃねーんだぞ……」
 あまりにも持ち主と長い間離れすぎて、まるで今じゃ自分の物になってしまったようだ。たしかに、元々自分が手に入れた物で、それを彼女に渡したのだが。

 彼女が帰ってくるまで。彼女の首に再びこのネックレスが掛けられるまで。いつかその日が来るまで。
「早く帰ってこいよ」
 あの日の言葉を信じて。宝物のように、大切に手元に置いておく。


『いつまでも捨てられないもの』

8/16/2023, 8:26:57 PM

 世の中にはいろんな形の誇らしさがあるらしい。
 何かに対して誇らしさを持っている人間は、それだけで良い顔をしていた。
 自分にとってはどうだろう。
 これが自分の誇らしさだ! と胸を張って言えることがあるだろうか?
 こうやって一生懸命毎日を生きているだけで、頑張っている! と胸を張ってもいいだろうか?
 昔、毎日死にたいと膝を抱えていたこともあった。
 そんな日々を乗り越えて、今、どうにか毎日を生きている。そう。それだけで、自分が誇らしい。
 加えて、あともう一つ言うなら。
 毎日文章を投稿すると目標を立て、こうして実践できていることが誇らしさかな(笑)


『誇らしさ』

8/15/2023, 9:18:35 PM

 夜の海は、墨汁をこぼしたかのように。真っ暗な水平線がただただ続いている。
 闇の中、波の音だけ響く世界に、得体の知れない恐怖を感じたものである。

 そして今、私はまた恐怖している。
 あの夜の海を思い起こすような、激しくこぼした墨汁。
 賃貸の床。
 夏休みの宿題である習字をやっていた息子。

 得体の知れている恐怖は、当時感じた恐怖よりもっとずっと怖いものだった。


『夜の海』

8/14/2023, 6:13:32 PM

『自転車に乗って』……うーん。『自転車に乗って』かぁ。イメージしてみると、自転車に乗って好きな人に会いに行くとか、河原を自転車で走るとか、そんな爽やかなのしか出てこないなぁ。そういえば、そんなタイトルの歌もあった気がする。
 どんなお話がいいかな。なかなか思い浮かばないね。

 お題に沿った文章を投稿するアプリ。
 そのアプリの本日のお題を見て、思考を巡らせる。

 ありきたりなのじゃなくて、もっと変わった内容がいいなぁ。
 そうだ。実際に、自転車に乗って走りながら考えてみるといいかもしれない。
 久しぶりの自転車、乗れるかなぁ?

『台風○号は強い勢力を保ったまま北上し、××県が暴風域に――』

 そうですか。

 家の中から荒れた空を見上げる。早く天気になぁれ。
 晴れた空の下、自転車に乗って走る自分の姿を想像した。


『自転車に乗って』

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