あなたは私の鏡。
同じ顔で笑い、泣いた。
でも少しだけ、鏡の方が頭が良い気がした。完璧に私にそっくりな鏡。私を真似る、真似られることができる鏡。
それなのに、私より頭が良くちゃダメじゃない?
鏡を壊す。すると、とてもすっきりした。
紫鏡なら聞いたことがあるけれど、赤い鏡は初めて見たわ。とても綺麗ね。
『鏡』
彼女が落としたネックレスを、いつまでも捨てられずにずっと持っている。
「必ず帰るから」
そう言った彼女を信じて、いつまでも。
「また会うまで持っていてよ」と、彼女に託されたようで。
あれから数年。未だ持ち主は現れていない。
「俺のじゃねーんだぞ……」
あまりにも持ち主と長い間離れすぎて、まるで今じゃ自分の物になってしまったようだ。たしかに、元々自分が手に入れた物で、それを彼女に渡したのだが。
彼女が帰ってくるまで。彼女の首に再びこのネックレスが掛けられるまで。いつかその日が来るまで。
「早く帰ってこいよ」
あの日の言葉を信じて。宝物のように、大切に手元に置いておく。
『いつまでも捨てられないもの』
世の中にはいろんな形の誇らしさがあるらしい。
何かに対して誇らしさを持っている人間は、それだけで良い顔をしていた。
自分にとってはどうだろう。
これが自分の誇らしさだ! と胸を張って言えることがあるだろうか?
こうやって一生懸命毎日を生きているだけで、頑張っている! と胸を張ってもいいだろうか?
昔、毎日死にたいと膝を抱えていたこともあった。
そんな日々を乗り越えて、今、どうにか毎日を生きている。そう。それだけで、自分が誇らしい。
加えて、あともう一つ言うなら。
毎日文章を投稿すると目標を立て、こうして実践できていることが誇らしさかな(笑)
『誇らしさ』
夜の海は、墨汁をこぼしたかのように。真っ暗な水平線がただただ続いている。
闇の中、波の音だけ響く世界に、得体の知れない恐怖を感じたものである。
そして今、私はまた恐怖している。
あの夜の海を思い起こすような、激しくこぼした墨汁。
賃貸の床。
夏休みの宿題である習字をやっていた息子。
得体の知れている恐怖は、当時感じた恐怖よりもっとずっと怖いものだった。
『夜の海』
『自転車に乗って』……うーん。『自転車に乗って』かぁ。イメージしてみると、自転車に乗って好きな人に会いに行くとか、河原を自転車で走るとか、そんな爽やかなのしか出てこないなぁ。そういえば、そんなタイトルの歌もあった気がする。
どんなお話がいいかな。なかなか思い浮かばないね。
お題に沿った文章を投稿するアプリ。
そのアプリの本日のお題を見て、思考を巡らせる。
ありきたりなのじゃなくて、もっと変わった内容がいいなぁ。
そうだ。実際に、自転車に乗って走りながら考えてみるといいかもしれない。
久しぶりの自転車、乗れるかなぁ?
『台風○号は強い勢力を保ったまま北上し、××県が暴風域に――』
そうですか。
家の中から荒れた空を見上げる。早く天気になぁれ。
晴れた空の下、自転車に乗って走る自分の姿を想像した。
『自転車に乗って』