神様の我儘で
孤独に生き孤独に死ぬ運命の少年が居た
その少年は、ただ家族を愛していただけなのに
美しかったその姿は枯れ果てて
髪は少しパサつき
陶器の如く真っ白な肌は痩せこけて
服から僅かに覗く手足は、簡単に折れてしまいそうなほど細い
しかし、少年は澄んだ瞳の輝きを失ってはいなかった。
自分が世界から嫌われた果てで処刑される運命にあると分かっていても
少年は、最期まで家族の傍に在りたいと願った
たとえ嵐が来ようとも
俺が貴方を護ります
世界が貴方を憎んでも
俺は貴方の味方です
誰もが貴方を嫌っても
俺だけは貴方を愛し続けます
だから貴方に、生きて欲しい
翼の折れた小鳥を拾った
鳥籠の中で大切に育てて
その翼は完治した
僕はその小鳥を、空に返すべきだと考えた
籠の中で、外の世界を知らないまま一生を過ごすなんて
僕ならそんな人生、嫌だと思ったから。
どんな生き物にも、自由に生きる権利がある
そうして小鳥が飛び立ってから数日後
家の近くの森で、息絶えている小鳥を見つけた
きっと自分より大きな生き物に襲われてしまったのだろう
僕は、どうするのが正解だったのか
今でも分からない
"友情"
関係性が深い非親族相手である"友だち"と呼ばれる人間関係間の感情、思いやる心のこと。 友同士の間に生まれる情愛。
それなら、俺のこいつに向けた感情は、友情ではないのだろう
「泊めてくれてありがとなー!さすが俺の親友!」
「次はないからな。そろそろ遊びは控えろ」
顔が整っていて女性の扱いが上手いから、よくモテる。
だが女遊びの激しい奴で、もう10年の付き合いになる俺でも、長続きしている所を見た事がない。
「わかってるって。あ、風呂借りるね」
「…好きにしろ」
今回のように浮気がバレて、俺の部屋に泊まりたいとせがんでくるのも初めてではない。俺がどんな気でいるかも知らないで…ほんと呑気な奴だ。
「なぁ…お前さ」
「ん?」
「俺のこと、どう思ってるんだ」
俺が柄にもない事を言ったからか、少しの間驚いたように硬直した後、いつもの悪戯な笑みを浮かべた。
「良い奴!かな。こんな俺の事、見放さないでそばに居てくれる、良い"友達"だと思ってるよ」
「…そうか」
知っていた事だ。
今更それを聞いて、落ち込むだとかそんな事は無いけれど。
あぁ、俺はもう手遅れなんだろう。可能性が無いと知っていても、こいつの中で少しでも特別な存在という立場を手放せない。
「……ところで、お前は彼女とかできた?」
「知ってるだろ、俺は興味が無いんだ」
「あぁ、そうだろうね。君はぜひそのままで居てくれよ」
「言われなくても。」
***
俺が君に抱いている感情は、友情なんて健全なものじゃない
でも、もう手放せないんだ
花咲いて
彩り移ろう
初夏の道