"友情"
関係性が深い非親族相手である"友だち"と呼ばれる人間関係間の感情、思いやる心のこと。 友同士の間に生まれる情愛。
それなら、俺のこいつに向けた感情は、友情ではないのだろう
「泊めてくれてありがとなー!さすが俺の親友!」
「次はないからな。そろそろ遊びは控えろ」
顔が整っていて女性の扱いが上手いから、よくモテる。
だが女遊びの激しい奴で、もう10年の付き合いになる俺でも、長続きしている所を見た事がない。
「わかってるって。あ、風呂借りるね」
「…好きにしろ」
今回のように浮気がバレて、俺の部屋に泊まりたいとせがんでくるのも初めてではない。俺がどんな気でいるかも知らないで…ほんと呑気な奴だ。
「なぁ…お前さ」
「ん?」
「俺のこと、どう思ってるんだ」
俺が柄にもない事を言ったからか、少しの間驚いたように硬直した後、いつもの悪戯な笑みを浮かべた。
「良い奴!かな。こんな俺の事、見放さないでそばに居てくれる、良い"友達"だと思ってるよ」
「…そうか」
知っていた事だ。
今更それを聞いて、落ち込むだとかそんな事は無いけれど。
あぁ、俺はもう手遅れなんだろう。可能性が無いと知っていても、こいつの中で少しでも特別な存在という立場を手放せない。
「……ところで、お前は彼女とかできた?」
「知ってるだろ、俺は興味が無いんだ」
「あぁ、そうだろうね。君はぜひそのままで居てくれよ」
「言われなくても。」
***
俺が君に抱いている感情は、友情なんて健全なものじゃない
でも、もう手放せないんだ
7/24/2024, 1:26:47 PM