鈴木

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8/26/2024, 3:42:18 PM

今回は『私の日記帳』ですね。

現代の日本人で日記帳を書いている人って、
きっとそんなに多くないですよね。

でも僕は日記帳が好きです。日記帳はとても素晴らしい文化だと思います。

ちょうど僕は、高校に入ると同時に島から引っ越したので、日記帳を買ったんですよ。

オシャレな洋風の日記帳で、僕の好きな天使が表紙にちょこんと居る可愛いやつです。

小さな鍵が付いてるので、無くさないように大切に使っています。

日記って面白いですよね。
マメに書く人の日記帳は、その人の人生そのものだと言っても過言ではないと僕は思います。

文書だけじゃなく、字の書き方や日記帳自体の劣化具合によっても、持ち主の事を色々想像ができて楽しいです。

現代人の日記帳が、1000年後 未来の人に発見されたら、とても貴重な資料として国の研究機関に贈呈…とかなるんでしょうかね?

そういえば、ある日友達に「どうしてそんなに日記を書き続けているの?」と聞かれた事があります。

僕も聞かれて初めて、理由を考えました。

きっと僕は、僕って人間が何を考えて、何を食べて、何を経験して、何を見て生きてきたのか、死んだ後もこの世界に残していきたいんです。

僕は、色んな人の記憶に残っていたい。
僕が死んだ時に、沢山の人に悲しいんでもらいたい。
僕が生きていることで、誰かを笑顔にできる、そんな人間になりたい。

だからこの夢を実現する為の1歩として、僕の人生が詰まった日記帳を書き続ける。



長くなってしまいましたね。
次回辺りはまたお話を書いてみたいと思います。

8/19/2024, 1:38:37 PM

夏の始まり

今宵輝く

水無川

空模様に恵まれて

並んで見上げる

君と僕

8/18/2024, 7:04:05 PM

僕はたまに

鏡を見かけると

その中の世界に

行きたくなる

移した光景を忠実に再現するのが鏡なのだから

行ったところで現状は同じなのかもしれない

でも

もし僕の現状を反転させた世界が

鏡の中にあるのだとしたら

その中の僕はきっと

とても幸せな人生を送っているのだろう

だから僕は

その可能性にかけて

鏡の中の世界に行きたい

8/17/2024, 4:41:16 PM

昔、手芸好きな母がくれた

白い花型のブローチを

僕はいつまでも捨てられないでいる




小さい頃から可愛らしい物が嫌いだった

でも母は、僕にフリルのついたワンピースやピンク色のぬいぐるみのような、可愛らしい物ばかり買い与えた

絵を描いたりお人形で遊ぶ事よりも外で運動していたかったし

恐竜やドラゴンみたいな強くてカッコイイ生物が大好きだった

自分の性別に初めて違和感を覚えたのは、小学四年生の時

僕はクラスの女の子に恋をして、告白して、フラれた。

「───でも、▇▇▇ちゃんは女の子でしょ?」

その後のことはショックでよく覚えていない





僕はあの告白の日から塞ぎ込むようになり

母には随分と心配させてしまっていたと思う

色々な事を一人でグルグル考えて、母に配慮するような余裕は
あの頃の自分にはなかったから。

『きっと誰にも受け入れられない』

『母が悲しむかもしれない』

『女の子らしくならないと』

何よりも悩んだのは結婚や子供の事だ

僕の結婚式を見る日が楽しみだとか、孫ができたらこんな事をしてあげたいと、母はいつも語っていたから。

それを語る時の母は本当に楽しそうで、父が亡くなってから毎日どこか暗い表情も、その時だけは輝いていた事をよく覚えている。

だから拒絶されると思い、母には言えなかった






冬の寒い日

いつものように高校に行って授業を受けていると

突然、血相を変えた担任の先生が教室に飛び込んできた

「▇▇▇、落ち着いて聞いてくれ────」

頭の中が真っ白になった

クラスの皆が心配の目を向ける中、先生の車に乗せてもらい

病院まで送ってもらったが

間に合わなかった

母は膵臓癌だったと医者に告げられた

高校に入ってから一人暮らしをしていた僕は母の異変に気づけなくて

母も心配させたくないから、と伝えられなかったらしい

心に大きな穴が空いたような喪失感に見舞われて

顔がぐちゃぐちゃになるまで泣いた






お通夜や葬式が終わった後、母の担当医から呼び出された

「お母様はご自分の手で渡したいと言っていましたが……不躾ながら、私から渡させていただきます」

それが白い花のブローチだった。

調べてみればその花は"ブライダルベール"という、結婚式で花嫁が身につける花らしい。

僕はそれを知った時 色んな感情や考えに襲われて

数日熱で寝込んでしまった



出来栄えはあまり良くないし

こういう可愛い物は好きじゃない

何よりこれを見ると胸が傷んで苦しくなるから

捨ててしまおうと思っていた



それでも、これが母からの最期の贈り物だと思うと

これが傍にある事に頭をかかえながらも

いつまでも捨てられない






***



「久しぶりに来たなぁ、叔母さんの家」

「あら、随分とイケメンになったねぇ」

「そうかな?ありがとう」

「あぁ、そうだ。貴方に渡さなきゃいけない物があったの」
「仕事が忙しくて遅くなってしまってごめんなさいね。」

「なになに?お小遣いとか?」

「ふふ、もうそんな歳ではないでしょう?ほらこれ、貴方のお母さんから」

「…手紙?」

「そうよ。もしかしたら自分では伝えられないかもしれないからって言ってたわ。私にはなんの事か分からないけれど」

「…ありがとう、読んでみるよ」

「…和樹、あんまり抱え込んじゃ駄目よ。とりあえず、自分の部屋でゆっくり読んで来なさい?」

「うん。そうするよ」




───────────────────────────────────────

▇▇▇▇へ


これを貴方が読んでいるという事は、私はもうこの世にいないのでしょうね。

…これ、言ってみたかったの!

ふざけてごめんなさい、本題に移りますね。


貴方が塞ぎ込むようになったのは、小学生くらいだったかしら。
それがとても言い出せないことで、貴方が深く深く悩んでいた事は、知っています。

でもお母さんは、貴方のお母さんだから

なんとなく理由はわかっていたのよ。

私は何度、貴方の心を傷つけてしまったのだろうかと
暫くは落ち込んでしまったけれど

私よりも貴方の方が何倍も辛い思いをしていたわよね。

そんな貴方に、上手く寄り添えなかった私を

どうか許してちょうだい。

私が何を言っても、貴方は傷ついてしまうかもしれないと
臆病になってしまいました。

そうしているうちに、病気が見つかって

もう治せないと医者に言われてしまい

私から離れて、少しだけ明るくなった貴方には
伝えられなかったの。

突然いなくなってごめんなさい。



最後に、私から貴女に贈り物があるの

きっともう誰かから受け取っているかな?

お母さん、器用じゃないから不格好になってしまったけどね

気持ちを込めて作ったから、大切にしてくれると嬉しいです。

この花はブライダルベールと言ってね、花嫁に贈る物なのだけれど…

どうしても貴方にこの花を贈りたかったの。

この花のブローチはね、私の結婚式の時に

私の母が意味を誤解していて

私の旦那、貴方のお父さんの胸元に付けてしまったの

私はそれがとてもおかしくって、でもお父さんはとても嬉しそうで

もし子供が生まれたら、その子が結婚する時に同じ物を贈ろうって、お父さんと約束していたの。
(もちろん貴方が嫌がったら胸元には付けないつもりでいたわよ!)

それにね、この花の花言葉

とっても素敵なのよ。


私は貴方の傍にいられないけど

貴方の幸せを、いつまでも願い続けているわ


                    お母さんより

───────────────────────────────────────












途中叔母の口にした「和樹」という名前は改名後の主人公のものです。

母の名前と父の名前から1文字ずつ取って、「和樹」

生まれた子が男の子だったらつけようとしていた名前だと

叔母に教えてもらったので、この名前にしたそうです。

8/15/2024, 6:28:15 PM

【夜の海】
(BL作品になります。苦手な方はスクロールしてください)



「夜の海って、引き寄せられるよね」


そう言ってズボンの裾を捲り上げ、早速 足元を浸らせている。


「いくら夏でも夜の海水は少し冷たいぞ。」

「うわっ…本当だ、冷たい!」


物知りなんだね、と笑う菜月。
こいつは数年ぶりに突然 連絡を寄越したかと思えば、いきなりいつもの海で集合だ、なんて言い出した。

自由奔放で人を振り回す性格は変わっていないようだった。


「この冷たさも、慣れればどうってことないね。」

「それは感覚が麻痺しているからだ」

「…冬真は相変わらず冷たいなぁ」

俺が素っ気ない返事を続けると、菜月はムッとした表情で浜辺に立つ俺に近づき、頭を小突いてきた。


「お仕置。久しぶりに会ったんだから、もっと楽しく話そ!」


楽しく…か。
俺はこいつがどうしてここまで楽しそうなのか理解ができない。だから、つい聞いてしまった。


「まずは突然俺を呼び付けた理由を教えてくれないのか」

「あぁ、…理由ね。」


俺が理由を求めると、菜月は何も言わずに膝の少し下辺りが浸かるほどの深さまで進んで行く。


「…菜月?どこまで行くんだ?」


田舎の夜の海はとても暗く、明かりといえば月光くらいだ。
不幸な事に今日の空は曇り気味で、月光も淡い光だった。

無言で、一切こちらに振り返らずに足を進める菜月の姿が、少しずつ影に飲まれた所で、俺はつい声を荒らげてしまった


「菜月!!」

柄にもなく大きな声を出した俺に驚いたのか、下半身が水に浸かりきった辺りで菜月は足を止めた。

暗くてよく見えないが、俺の居る浜辺の方に振り返った菜月は
いつもの脳天気な笑みを浮かべているように見えた。


「理由が知りたいなら、ここまで来てよ。冬真。」


両手を広げて俺を海の中に誘い込む。
その甘い声と表情で、どれほど騙してきたんだろうか。

俺はもう、一度これに騙されている。
だから馬鹿だった過去の俺と同じ道を辿りたくないと、思っていたのに。

今ここで菜月を見捨てられないくらいには、俺の中には過去の情が残っているようだ。


「今、行くから…それ以上は進むなよ」

「心配性だなぁ、冬真は。」


海に入るのは久しぶりだった。思っていたよりも海水の中は進みずらくて、俺は少し焦りながら菜月の元に近ずいて行く。

その間も菜月に動く様子はなく、俺の頼みをちゃんと聞いてくれているようだった。

俺があと少しで辿り着く、という所で、菜月は自ら俺の胸に飛び込んできた。


「ふふ、捕まっちゃった」

「っはぁ…ふざけるのも大概にしろよ、本気で焦っただろ」


菜月の体が冷えていた事と、何事もなく捕まえられた安堵感から、俺は思わず菜月を抱き締めてしまった。

それに嫌がる様子もなく、菜月は俺の背中に手を回して俺を抱き返す。こうして密着すると自分の心音がハッキリと聞こえてきて、その心拍数の速さに思わず少し赤面した。


「冬真、焦りすぎ。でも嬉しいなぁ」

「…お前は少し危機感を持て。夜の海は危ないから、話は車に戻ってからだ。」


そう言って腕を引こうとすると、菜月は俺の手を振り払った。


「ううん、俺はまだ戻らない。」
「理由を知りたいんだよね?」

「…なんだ」


菜月は呼吸を整えながら、俺の手を弱々しく握る。
少し間が空いて、波の音にかき消されそうな小さな声でこう言った。


「俺、結婚させられるんだ」


それは震えた声だった。

長年傍にいた俺でも、見たことのない姿だ。
…いや、1度あったかもしれない。

1度目は、自身を操り人形のように扱う両親が恐ろしいと、夜の海で泣いていた菜月を慰めた時。

菜月の両親は大企業の経営者で、とても厳しい人達だった。
菜月のことを所有物としか思っておらず、自分達の利益のためになら結婚くらい勝手に決めるだろう。


「冬真、俺のこと、まだ好き?」


菜月の口からそんな言葉が出るなんて思いもしなかった。

あの頃の俺達の関係は、今思えばとても曖昧だ。
俺は菜月に惹かれていたが、菜月の気持ちは不安定だった。

ただ、健全な関係ではなかったんだ。
だから菜月の両親にバレて、それで終わった。

それなのに、菜月がなんともない顔でお別れを言うから、俺はそれが辛くて、今でも夜夢に見るくらいだ。


「…俺はずっと、お前が好きだよ」

「俺ね、冬真以外と結婚するなら、死ぬほうが良いって思うの」


冷たい海の中にいるからか、混乱していた脳は少しずつ冷静さを取り戻してきた。


「心中したいのか?」

「…うん。だから、呼んだんだ」
「初めて冬真に会った場所で、冬真と死にたかった」


海で心中なんてロマンチックでしょ?と冗談を言っているが、
その声は相変わらず怯えているように聞こえる。

お前はきっと、外の世界を知らないから
逃げ道がほかに思いつかなかったんだろう。


「…もし捕まったら、その時は心中でもいい。」
「でもまずは、俺と一緒に駆け落ちしてくれ」

「…プロポーズ?」

「…あぁ、そうだな。結婚できる国に行こう。
 金は俺が稼ぐから、菜月は家事をやってくれ。2人で支え合えば駆け落ちなんて楽勝だ。」

「冬真と、結婚…」


俺が駆け落ちの段取りを具体的に説明してやると、先程まで浮かべていた緊張や不安の表情が和らいできた。

休日の朝は一緒に散歩をしよう。とか、ペアルックのパジャマを買おう。だとか続けて言うと、どんどん菜月の表情が可愛らしく緩んでくる。


「…ふふ、悪くないね!」


菜月は何に対しても経験が浅いから、きっと何をしても楽しめる。どうせ死ぬなら、最後に盛大な反抗期を起こして、楽しい事を沢山教えてから一緒に死んであげよう。


「まずは、そろそろ車に戻るぞ」

「うん、旦那様のお願いだからね。ちゃんと聞くよ」


今度は素直に俺に手を引かせてくれた。
長い間浸かっていたから完全にお互い冷えきってしまったが、
そんな事が気にならないくらいには良い収穫があった。



菜月は、夜の海は引き寄せられると言っていたな

あの日の俺もそうだった

悩み事があって、なんとなく海に引き寄せられて

浜辺で菜月を見つけたんだ

だから、海には少し…いやかなり、感謝している。

あの日、俺達を出会わせてくれたのは

間違いなくこの魅力的な夜の海だった



***



オチが難しい…今回のテーマも楽しかったけど
文才のない自分には苦しかったです💦
上手くできているか不安ですが、楽しんで貰えたら嬉しいです。

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