───道を、間違えたんだ。
君を、王様にする為に。
ただ君だけを愛して
ただ君だけのためにやり直し
ただ君だけの為に人を殺して
ただ君だけの為に英雄を討ち
ただ君だけの為に国を滅ぼした
この物語は、そんな俺を君が討伐する事で完成する。
「───どうして?」
俺を見て揺れる君の瞳は、とても美しい色をしていた。
「───愛してる」
ただ君だけの為に生きた俺は
ただ君だけの手で人生を終えた
確かに僕は
「どんなに離れていてもいつか君に会いにいく」
と約束したけれど
どれだけお金を稼いでも、
どれだけ時間を費やしても、
どれだけ手を伸ばしても、
どれだけ君を愛していても、
届かない場所に、行ってしまった
君は卑怯だ
こんな形で、僕に約束を破らせるなんて
────これは叙事詩の始まりに過ぎない。
誰も知らない、隠された星に
とある英雄が1人。
救世主と謳われ、崇められ、特には疎まれる。
共に戦う仲間達の命を背負い
彼は1人進み続ける。
その道には黄金の血が流れ
神の一瞥を得ようとも、先は見えない暗闇。
それでも彼は、独り進み続けるのだ
そうするしか、ないのだ。
あの日の自分への、贖罪の為に。
「結婚してください」
彼は少し恥ずかしそうに、けれど真っ直ぐにそう言った
「はい」
彼女は微笑む。ほんのり染まった頬が可愛らしい
実にお似合いの2人だろう?
彼と彼女の友人は、それぞれが祝福の拍手を送っている
僕だってもちろん、泣くほど喜んで祝福してやったさ
『大きくなったら結婚しようね』
そんな、遠い日の約束を
早く忘れられるように
もう何年も前から思い悩んで辛い日々を送ってるけど
自殺を考える程じゃなかったんだ
学生の子が自殺するニュースを見る度に
「この子は周りに助けてくれる人がいなかったんだろうな」
とか他人事に思ってたけど
「僕の周りに助けてくれる人はいないんだな」
って、最近よく思う
昔よりも『自殺』って手段が、身近に感じる