「…何か、やりたい事とか、欲しいものとか…無いか?」
長く続いた静寂を、勇気を出して切り裂いた
今ここで声を出せるのは、俺だけだったから。
『…とおくへ、いきたいなぁ』
冷たい電子版に表示されたその言葉を、
叶えてやれる訳でもなく。
俺はただ、また黙って泣く事しかできなかった。
***
病で声も発せない死にかけの子を想像しました
狭い病室を出て自由に遠くへ行きたい気持ちと、
長く続く辛い闘病生活を終えて遠くへ逝きたい気持ち。
本当に叶えたいのは前者だけど、叶わないと分かっているから、叶う範囲で願った後者。
漢字に変換もせず打ち込んだのは、そう出来ない程に弱っているのと、決めきれなかった2つの願いを込めたかったから。
主人公くんはそれを分かってて、何も言えなくなったと。
本当はこういうのって解説とか入れない方が良いんでしょうが、入れたくなっちゃったので追記です。
自由に楽しみます。
少女の1000年の嘘が
空をこんなにも明るく照らした
嘘吐きな盗人は
最期まで嘘を嘘と知られぬままに
使命を全うしたのだ
陰の英雄である彼女を
今はただ、静かに見送ろう
6/25:[空はこんなにも]
▶︎真っ先にセファリアが思い浮かびました。
せめて彼女が西風の果てで、ゆっくり眠れますように。
「────美しい」
ナンパしようと思った訳では無い。
彼は本当に、他に形容する語彙が無い己が憎い程に、美しい。
「──それは、俺に言ったのか?」
聞き慣れてきた言葉の筈なのに、ハトが豆鉄砲を食らったような顔をしている。
あぁ、そんな表情もまた、美しいなんて。
ずるい人だ。
【どうしてこの世界は】
ある星に、世界を守ろうとした英雄が居た
「僕が皆を守ってみせるから、信じて欲しい」
しかし、英雄の仲間達は次々と倒れ
遂には民衆の手によって命を落とす者も現れる
「どうして…」
英雄は問う、何故この危機に人同士で争うのかと
「英雄達は信じられない!彼らは支配欲に駆られ、我々のオアシスを奪い取ろうと目論んでいるのだ!」
そうして、英雄の最後の仲間が倒された時。
星は終わりを告げ、崩壊が始まった
「─────皆を守ってくれ、英雄」
英雄は仲間の遺言を思い出し、逃げ惑う民衆を見て嘲笑した
「どうして、この世界は───」
一度も曇らなかった英雄の瞳は、失望の色で染まっている。
英雄はどうすれば良かったのだろうか。
仲間を殺した世界を見捨てて、共に滅ぶのか
仲間の遺言に従って、最後まで世界を守るのか
どちらにせよ、英雄の瞳はもう、あの頃の輝きを取り戻せないだろう。
轟く雷鳴の中で
ただ、雨だけが
私に優しくしてくれた