鈴木

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7/3/2025, 12:16:22 PM

「…何か、やりたい事とか、欲しいものとか…無いか?」

長く続いた静寂を、勇気を出して切り裂いた

今ここで声を出せるのは、俺だけだったから。

『…とおくへ、いきたいなぁ』

冷たい電子版に表示されたその言葉を、
叶えてやれる訳でもなく。

俺はただ、また黙って泣く事しかできなかった。




***




病で声も発せない死にかけの子を想像しました


狭い病室を出て自由に遠くへ行きたい気持ちと、

長く続く辛い闘病生活を終えて遠くへ逝きたい気持ち。


本当に叶えたいのは前者だけど、叶わないと分かっているから、叶う範囲で願った後者。

漢字に変換もせず打ち込んだのは、そう出来ない程に弱っているのと、決めきれなかった2つの願いを込めたかったから。


主人公くんはそれを分かってて、何も言えなくなったと。


本当はこういうのって解説とか入れない方が良いんでしょうが、入れたくなっちゃったので追記です。
自由に楽しみます。

6/24/2025, 8:28:51 PM

少女の1000年の嘘が
空をこんなにも明るく照らした

嘘吐きな盗人は
最期まで嘘を嘘と知られぬままに
使命を全うしたのだ

陰の英雄である彼女を
今はただ、静かに見送ろう



6/25:[空はこんなにも]

▶︎真っ先にセファリアが思い浮かびました。
せめて彼女が西風の果てで、ゆっくり眠れますように。

6/10/2025, 4:14:20 PM

「────美しい」

ナンパしようと思った訳では無い。
彼は本当に、他に形容する語彙が無い己が憎い程に、美しい。

「──それは、俺に言ったのか?」

聞き慣れてきた言葉の筈なのに、ハトが豆鉄砲を食らったような顔をしている。

あぁ、そんな表情もまた、美しいなんて。

ずるい人だ。

6/10/2025, 8:20:19 AM

【どうしてこの世界は】


ある星に、世界を守ろうとした英雄が居た

「僕が皆を守ってみせるから、信じて欲しい」

しかし、英雄の仲間達は次々と倒れ
遂には民衆の手によって命を落とす者も現れる

「どうして…」

英雄は問う、何故この危機に人同士で争うのかと

「英雄達は信じられない!彼らは支配欲に駆られ、我々のオアシスを奪い取ろうと目論んでいるのだ!」

そうして、英雄の最後の仲間が倒された時。

星は終わりを告げ、崩壊が始まった

「─────皆を守ってくれ、英雄」

英雄は仲間の遺言を思い出し、逃げ惑う民衆を見て嘲笑した

「どうして、この世界は───」

一度も曇らなかった英雄の瞳は、失望の色で染まっている。



英雄はどうすれば良かったのだろうか。

仲間を殺した世界を見捨てて、共に滅ぶのか

仲間の遺言に従って、最後まで世界を守るのか

どちらにせよ、英雄の瞳はもう、あの頃の輝きを取り戻せないだろう。

5/25/2025, 6:57:41 PM

轟く雷鳴の中で

ただ、雨だけが

私に優しくしてくれた

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