アシロ

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2/11/2025, 1:54:12 PM

コアの中心部、機械のワタシのカラダに宿る
コレの正体がずっとワカラなくて、フシギだった。
ロコモコを初めて食べた時、コアが大きく飛び跳ねた気がして、それを伝えたらアナタは嬉しそうに微笑んで、今度はギュッと掴まれたような感覚を覚えたコレのことを、ワタシは未だに理解出来ずにいる。

2/10/2025, 3:57:18 PM

※天体観測部の二人。見る人によってはBLかもしれないのでご注意。



 ただの興味本位で、流れ星マニアの先輩に聞いてみた。
「望先輩って、流れ星に何か願い事とかしたことあるんすか?」
 もはや恒例となりつつある、俺が部活後に部誌を書く様を真正面に陣取りニコニコと眺める先輩。丁度ペットボトルのジュースを飲んでいた先輩のその片手から徐にキャップが落下し、軽い音を立て机の上に着地したそれは、衝撃で一度飛び跳ねた後、やがて静止する。しかし、俺からしてみれば軽いと感じたそれは先輩からしたらどうやら地球に隕石が衝突するのと同程度ぐらいには重々しく破壊力に特化したものだったようで、何も言葉を返してこない先輩を不審に思い部誌から顔を上げた俺は、世界の終わりにでも直面したかのような有り様でペットボトル片手に口を戦慄かせる先輩の顔とご対面することとなる。
「······ゆーやくんって、もしかして······大怪我してる人に対して平気で拷問とか出来ちゃうタイプ······?」
「どうしてそうなった?」
 もう一度言わせて頂く。どうしてそうなった?
「俺にわけわからん属性勝手に追加するのやめてもらっていいっすか?」
 これでもかという呆れ顔を作りながら片肘を机に乗せ頬杖をつきながら先輩を睨めば、「だって!」と先輩はペットボトルを机の上にダンッ! と勢いよく置き、負けじとこちらを見つめ返してくる。せめてキャップを閉めてからにしろ、中身ちょっと机の上に飛んだだろ今。
「落ちていく星の欠片に人間の欲望とかいう汚くて馬鹿デカい荷物背負わせるなんて! そんなの出来るわけないでしょ! そんなのは鬼畜の所業だよ!! 星の欠片が可哀相じゃん!!」
「だからって健全な男子高校生に向かって“平気で拷問出来そう”とかいうクソみたいなレッテル貼るのやめてください」
 いつもヘラヘラしている先輩にしては珍しく、口をヘの字にしてムスーッとした顔をしているが、それだというのに尚も醸し出されるこのフニャフニャ感は多分もう魂レベルで刻み込まれてどうにもならないのだろう。「ゆーやくんってほんとデリカシーないよね!」とか言いながらぷんすこしているが、その台詞そっくりそのままブーメランだろうが。
「じゃあこれは仮に、仮にの話ですよ? 流れ星とか全く関係ない仮にの話で、ただ純粋に、何か願い事するなら先輩はどんなことお願いするんです?」
「えーー? そうだなぁ~······星の欠片にお願い事する人間全員滅びますように!」
「物騒」
 流れ星マニア······否、流れ星過激派はやはり言うことが違う。過激派って怖いな。今後一切この人に流れ星の話題振るのやめようかな。
「ちょっと~~! 真に受けないでよ~~! 半分しか本気じゃないしぃ~~!!」
「半分本気な時点でヤバいってことに気付いてくれませんかね」
 二人の間の見えない心の距離がじわりじわりと広がっていっていることに気付かれたのか、先輩はそんな本気か冗談かわからないフォローを入れてくるが、一つわかったことはこの人はガチでヤバい人間だということだけだ。フォローがフォローになっていない。むしろ墓穴掘ってるよこの人。自分で勝手に自爆してるよ。
「じゃあこっちも聞かせてもらうけどさぁ~! ゆーやくんのお願い事は~??」
「えぇ······」
「もーー! そんなあからさまにダルそうな顔しなくたっていいじゃぁ~ん!!」
「だって、んな急に言われましても······」
「俺だって急に話振られたんだけどぉ~~!?」
 理不尽だー! 先輩虐めるのがそんなに楽しいのー! とか何とか喚いてる先輩はとりあえず放っておいて、自分のお願い事について考えてみる。······考えてみた、のだが。
「いやぁ······ないっすね」
「え~? うっそだぁ~! またそうやって、俺のこと言いくるめようとしてるでしょ~~!」
「いや、ガチで何も思いつかなくて。マジのマジで」
「······マジのマジで?」
「マジのマジで。だから······」
 顔面にデカデカと「疑ってます!」と書いてあるような先輩の様子を見ていたら、急にここまでの遣り取りのくだらなさに笑いが込み上げてきて、俺は伏し目がちに小さく口の端を持ち上げる。
「望先輩の所にたくさん流れ星が来ますように」
「へ?」
「俺自身のお願い事は特にないんで、これで一旦ファイナルアンサーです」
「······」
「そうすれば、汚くて馬鹿デカい荷物背負わなきゃいけなくなる奴も少なくなるでしょ?」
 ね? と首を傾げて問い掛ければ、ぽかんと口を開けていた望先輩の口角も徐々に上がっていって。
「······あはっ。何それ、俺目掛けて星の欠片達が集中砲火? ······最高じゃん」
 その光景を思い描いて興奮しているのか、先輩の瞳孔は開き気味で、フニャフニャ感も今は鳴りを潜めている。やっぱ流れ星過激派ってこえーな、なんて感想を改めて抱きつつ。
「ま、いつかそうなるために流れ星に好かれるよう、今度見つけた時にはお願いしとけばいいんじゃないですか?」
「やっぱりゆーやくんて前世で処刑人か何かだった?」
 お前達のことをこんなにも愛してくれてる人のこと、ちゃんとお前らも愛してやれよな。
 そう、今は見えない星々に願いを飛ばした。

2/9/2025, 4:32:54 PM

黄色い温かな日差しの中
見上げた空は快晴で
喉に詰まって出てこないこの気持ちを吐き出してみたくなって
精一杯の深呼吸をしてみたけれど、こんなことすら
何だかとっても難しくて、息が詰まって苦しくて
かなり遠くに離れてしまった君の背に、未練がましく腕を伸ばすことしか出来なかった

2/8/2025, 3:35:36 PM

とんでもなく長く感じる、遙か先にある、いや······あるのかすらもはやわからない
おそろしいほどに果てしない、君の心へ通じる道
苦しいけど諦めきれなくて、痛いけど目指すことをやめられない
······あとどれだけ歩けば、手を伸ばせば、私にその心を掴まえることが出来るの?

2/7/2025, 3:15:06 PM

 長い一日を終え、ボフン、と重力に逆らうことなくベッドにうつ伏せに倒れる。
 全身の力を抜き、静かに瞼を閉じる。広がるのは真っ黒な暗闇。この暗闇は何でも自由に描くことが出来る私だけのキャンバスだ。ここにだけ、私の自由は存在する。
 まずはそこに、上司を模した人間を描いてみる。如何にもプライドが高そうで、なのに大して仕事が出来るわけでもなく、しかし自分の言うことやることが全て正しいのだとどういう根拠か信じきり、部下にはこれでもかというほど嫌味ったらしく説教をする。こんな奴を人間として認識してやることすら私には耐え難い。こんな、そこに居るだけで他人を不快にし不幸にする奴、生ゴミも同然だ。
 なので私は、黒いキャンバスに描かれた人間もどきを、汚い生ゴミで上から覆い隠してやる。人間もどきは助けを求めるように腕を上げ、バタバタと醜く足掻く。呆れた。なので、頭上に巨人の足のようなものを浮かび上がらせ、生ゴミごとそれを踏み潰してやった。紙のように薄っぺらくなったそれは、描き込んだ風のエフェクトによりふわふわひらひらと何処かへ飛んでいった。そのまま燃やしてやればよかったかな、と思ったけど、それはまた今度にしようと思う。
 真っ黒に戻ったキャンバスに次に描いたのは、学生の頃、私のことを虐めていた女子連中。ざっと十人ぐらい、全員同じセーラー服を着て、個性も何も無いみんなお揃いの背中までのロングヘア。誰が誰なのか見分けなんてつくわけもない。見分けるような意味も必要もなかったけど。
 私は彼女ら全員の手首を縄で縛り、頭上に棒状のものを描き加えてそこにそれぞれの手首を括り付け、吊し上げてやる。何かの虫みたいにモゾモゾと体を捩らせ逃れようとする彼女らの姿に苛立ちが募り、一人ずつ頭から水をぶっかけてやった。その後、私はキャンバスにハサミを追加し、彼女らの制服を上から下まで乱雑にジョキジョキと切り裂いていく。そのついでに、髪の毛や肌もチョキンと切ってやる。全員が全員不格好な姿になったので、最後に私はライターをキャンバスに付け加え、点火したライターを何の躊躇いもなく彼女達の僅かに残された布地に近付け、火を燃え移らせた。劈くような悲鳴がただただ煩い。十人も居るんだから当たり前か。私の時は両手が使えたから、すぐに叩いて何とか火を消したんだったっけ。よかったねお前ら、私が十人じゃなくて。燃え尽き骨だけとなった彼女らに順番に蹴りを入れて崩されたジグソーパズルみたいな有り様にし、飽きたのでまた新しいキャンバスを用意する。
 キャンバスに、一人の人間を登場させる。ショートボブっぽい髪型で、見るからに根暗そうなどんよりとした空気を纏った、スーツを着た女。彼女は周囲の人間達に揉まれ流され、日々を生き抜くだけで精一杯、といった様子で、たった一つ何かを成し遂げるだけでゼェゼェと息切れを起こしている。上司からは「仕事が遅い」と怒られ、同僚からは「要領が悪い」「特に関わりたくない」などと陰口を言われ、せっかく自分一人で成し遂げた作業は他の誰かに呆気なく奪われ、その人物の手柄として横取りされる。なんて生き辛い、哀れな生き物なんだろう。お前に生きてる価値なんてないよ。いい加減理解しよ? 受け入れよ? お前の人生、ずっとそんなんだったじゃん。これからだってずっと変わらないよ。
 だから私は、その女に太く丈夫な縄を渡してあげた。サービスで踏み台も追加してやる。あ、天井がいい? それともドアノブ派? まぁいいや。そんなどうでもいいこと、マジでどうでもいいや。
 女は踏み台に足を掛け、首に縄を巻き付ける。そうして······虚ろな目をしたまま、踏み台を蹴り飛ばした。そうして、まるでチラシで作られた安っぽく湿気ったてるてる坊主のように、ぷらん、ぷらん、と静かに全身を振り子のように揺らしている。邪魔なので、ロープを切って、下にどさりと落下してきたそれ目掛けて思いっきり踏み台を真上から落としてやった。でろりと濁った眼球、あらゆる液体が垂れ流された汚い体。少しだけ伸びたように感じる首にはくっきりとした縄の痕。それが、もう生きていないはずのそれが、ギョロリと瞳を動かし“私”を見、そして口を開いた。
「私が死んだんだから、“私”も死ねば?」
 ······私は瞳を開け、黒のキャンバスの世界から現実世界へと戻ってくる。うん、今日も有意義な時間だった。いつも通り、この言葉で締めよう。
「お前ら全員早く死ねや」
 誰にも言えない毎日の日課。誰にも言えない私の人間性。誰にも言えない、この一人遊びの楽しさ、喜び。
 明日も明後日もその次の日も、私はこうやって秘密裏に、誰に知られることもなく、恨み辛みの対象へ攻撃し気分を高揚させてはそれらの死を望みそのままの形で口にし、全身全霊をもって呪うのだ。ああ、早く成就しますように!

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