サクラソウ

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5/11/2026, 1:35:50 PM

三日月が輝いて見えるのは、暗闇があるからこそ。
わたしが過去に感じていた痛みや卑屈さがあったからこそ、今、貴方の愛を誰よりも深く、温かく感じ取る事が出来るんだよ。
貴方はわたしの「欠けた部分」さえも、愛おしい個性として照らしてくれる。
貴方いう強い光に導かれ、わたしという三日月が自分だけの輝きを放ち始める。一人の夜は孤独だったけれど、二人の夜はこんなにも優しい光に満ち溢れている。
​だから、わたしは漆黒の宇宙に向かって愛を叫ぶ。
もしも来世があるならば。
わたしは南十字星に生まれ変わって、貴方を照らす道標になるから。
必ず貴方を見つけて、また夫婦になるの。
天の川を超えて、永遠に離れぬように。

5/10/2026, 1:26:31 PM

ひらり。ひらり。
二羽のモンシロチョウが、仲良く舞っている。
蒲公英の上で寄り添い、桜の間を摺り抜けながら。
「まるで、わたしと貴方みたいだね」
仲睦まじい二羽を見て、わたしは昼の陽の眩しさに目を細め、そっと手を伸ばした。
すると。
そのうちの一羽が、わたしの指先にふわり…と留まった。
「すげぇ…お前、チョウを操れるのか?」
吃驚顔の貴方。
「うぅん、偶然だよ。ほら、行きな。もう一羽が寂しがってるから」
遠くで羽ばたいてたチョウが、わたしに近付いて来た。
再び寄り添うと、二羽はわたしと貴方の頭上で輪舞を踊った。
それを見ていた貴方が、わたしの手を取り、そっと口づけを落とす。
「俺達も、あのチョウのように踊ろうか」
「うふふ…お手柔らかにお願いするわ」
皐月の青空の下。
二人が踊るのは、花の円舞曲。

5/9/2026, 2:10:42 PM

僕は、小さな村に住んでいた。
何も無い、本当に小さな小さな村だったけど、みんなとても優しかった。
そんな中、僕は其処に住む少女に恋をしていた。
二人で見る、海に沈む夕陽。
僕が採った椰子の実のジュースを飲んだりしたね。
どんなに愛しくても。
僕は、その娘に触れる事は出来無かった。
だって、僕は触れた人間の寿命を吸い取ってしまうから。
どんなに大切だと思っても。
僕は、その娘と口づけをする事すら叶わないんだ。
そんなある日。
向かい合って、浜辺に座っていたら。
突然、後ろから風が吹いて来た。
「大丈夫かい?砂、目に入らなかキスしたった?」
僕は訊ねた。
そして、驚いた。
その娘は、唇をきゅっと尖らせ、頬を染めていたからだ。
「風が、貴方の匂いがしたから。貴方とキスした気分になってたのよ」
風が止んだ事を残念がり、小首を傾げながらはにかんでいる。
だから、それ以来。
風が吹くと、あの娘を思い出すんだ。
夜空と同じ色の髪、鳶色の素肌、白い麻のワンピース。
忘れられない、何時までも。
何時までも、僕の心から離れない。

5/8/2026, 12:26:17 PM

ちょうど一年前。
貴方と、桜の名所に行ったよね。
二人でお弁当を作って。
猫ちゃん形のお稲荷さん、味がしっかり染み込んだ唐揚げ、アスパラのベーコン巻きとミニトマトを串に刺したものを貴方が担当して。
タコさんウインナー、ポテトサラダ、そして貴方がリクエストしてくれた甘い卵焼きがわたしの担当。
「お前の卵焼きは、世界で一番美味い」
そう、褒めてくれる。
生憎の雨で、桜は未だ五分咲きだったけれど。
駐車場に車を停めて、其処で食べたお弁当は幸せ満開の味だったね。

5/7/2026, 1:43:23 PM

わたしの初恋は、確か小学2年生の頃。
虐められっ子だったわたしを庇ってくれた、同じクラスの男の子。
頭が良くて、運動神経抜群だった事しか覚えてない。
それから、何度も恋をした。
人に言えない恋もした。
もう二度と、恋をしないと決めた或る日。
わたしは恋に落ちた。
顔を見ただけで上手くお喋り出来無くて、もじもじしてた。
声を聞くだけで胸の鼓動が速くなり、頬が紅く染まった。
今迄好きになった人以上に、好き。
こんなの初めて。
貴方に出会った日、それがわたしの本当の初恋の日。

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